《高収悪夢治療バイト・未経験者歓迎》第39話 きづき
たぶん……もう変化終わった。それでも凜太はかなかった。
今回は怖いものを見たくないのに見てしまうというものじゃなくて、かなかった。変化を終えた霊はものすごい形相でこちらを睨みつけている。けれど、襲ってはこなかった。だから、凜太はかなかった。
ある程度距離は離れている。あれがしでも近づいてくればすぐに自分は逃げるだろう……けれどいっそ一思いに殺してほしいという気持ちもある。死ねば夢が覚めて、ここから逃れられる。この霊なら一瞬で殺してくれそうだ。
「やめましょう……落ち著いてください。まだ聲は屆いてるんですか?」
凜太は言いながら、後ろの階段をちらりと見て確認した。瞬時に階段に足をかけられるように。
もう霊がき出す前に逃げようか……。
「今すぐ……さっきの芋蟲を持ってこい。じゃないと、あなたも殺す」
どうせ、応答しないと思っていたが霊は返事をした。
「え…………あ、じゃあ俺持ってきますよ。そしたら……あのこれって夢じゃないですか。だから、僕たちには手を出さないで帰してほしいです」
「早く……しろ」
同意とみていいのか分からないほどだが霊は頷いた。その聲はを締め付けているような掠れた聲。年老いたの聲にも聞こえる。見た目も無數の管が皺のようにも見えて、まるでやまんばだ。
思いの外見逃されてしまった。死を経験する覚悟もしたのに。それならば……凜太はさっさとその場から離れる。
凜太はそれでいいじゃんと思った。あの霊はとにかく芋蟲を殺したがっているみたいで、誰でも彼でもという訳ではない。
「春山さん。その芋蟲、やっぱり殺そう」
赤いの部屋に戻った凜太は提案した。春山はまだをめていて、凜太が部屋にった時も肩を浮かせた。
「なんだか知らないけどあいつはとにかくそいつを殺したがってる。この夢がおかしいのは一旦置いといて俺たちの安全を確保しよう。なにがどうなってるのか話し合うのもそれからでいい」
「だめ……」
「何で。あいつはもっとやばい姿になってるよ。いつ襲ってくるかも分からない」
「だって、この子泣いてるよ」
「え」
「助けてほしいってそう言ってる気がする」
春山の手の中で涙を流す芋蟲の目。春山の手から雫が流れ落ちる。
しかし、凜太はそれを見ても春山と同じ想を抱かなくて、正直気持ち悪かった。
「これは私の勘だけど、私にはこの子を殺せない」
純粋で真面目であるが故に、年を重ね賢しくなった自分では全く理解できない覚があって、理解できないことを言う。
春山は震えながらも芋蟲を守ろうという姿勢を見せた。
「できれば、そうしてあげたいけど、あいつ上ってくるよ。そうしたらどうするの。たとえ夢でも君が殺されるなんて俺は嫌だ」
「……上ってこないじゃん」
「……たしかに」
凜太はありのままを言った春山の言葉に、そういえばと納得させられた。さっきの様子だとすぐに痺れを切らしそうなのに靜かだった。気付かされて、ハッとすると急に心に余裕ができる。
あんな弱弱しい芋蟲を殺したいなら、自分でやればいいじゃないか。あの殺意なら自分達よりも簡単に殺せる。
あいつ、ここに上ってこれないんじゃないのか。
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