《高収悪夢治療バイト・未経験者歓迎》第58話 隣の馬場

用の貸し切り部屋、雰囲気の良い和室にはもう半分ほど席が埋まって人が座っていた。

「こんばんは」

「こんばんは。あ、バイトの方ですよね。とりあえずそっちの席へどうぞ」

3つ連なって並べられた大きな機の端っこのほうへ見知らぬに促されて座る。どうやらバイトはバイト、看護婦は看護婦で固まって座っているらしかった。

機の橫には座布団が並んでいて機の上には既にいくつかの料理と食が並んでいた。そして、その味しそうな料理よりも目を引くのは先に來ていた余所行きの服を著た春山だ。

「おつかれ」

「おつかれ様です」

増川が自然に春山と挨拶をわす。凜太は意気込んでいたもののやっぱり勇気が出せなくって軽く會釈して機の中では春山と離れた場所に座った。

「春山さん前のシフトの帰りあの後大丈夫だった?」

「はい。問題なかったです。すいません心配かけて」

増川はなんとなく自分と話している時より楽しそうな顔をしているように見えた。こんなにかわいいバイトの後輩なら男として可がらないはずもない。きっと増川も特別ながあるかは分からないが春山のことがお気にりなんだろう。

「――いや、あの後に友達に聞いたら真逆でさ」

「そうなんですか」

春山と増川の何の話か分からない笑い聲が聞こえている間に凜太は部屋にいる人たちをざっと見ていった。これが晝間の人たちなのかと借りて來た貓の姿勢で眺めた。

「やあ草部君。隣いいかな」

「あ、院長。こんばんは」

「知らない人が多いから張するかもしれないけど今日は好きなもの食べていってくれよ。君は期待の新人なんだから」

ずけずけと凜太のすぐ近くへ座ってくるのは馬場だった。座布団をし寄せてまで膝が當たる距離に座る。凜太はさりげなく逆にし遠ざかった。

そうはしつつも馬場が次自分の隣でいいのかと思った。もっと気の合う大人の人たちと飲むのかと思っていた。凜太的には知らない人が隣よりかは変人達の中心人である馬場が隣のほうが楽しめそうではあるけれど。

「それでどうかなここのバイトの調子は。このまま長く続けていけそう」

「まあ……はい。まだちょっと前の悪夢のことで悩んではいるんですけど」

「あれはね。気にせんでいい。メールでも言ったけどしょうがなかったよ」

「はい……」

「それよりも、本當助かったよバイトが1人増えて。あと1人どうにか増やせないかと思ってたんだよね。これからちょっと患者さん増えるから。草部君がってくれたおかげでもう探さなくてよくなった。このことはお禮言っとこうと思って」

「いえいえ。そんな」

「ここだけの話ちょっと最初の給料にもおまけしてあげるから。これからも頑張って。本當優秀よ君は」

やけに褒められて給料も増えるなんて悪い気はしないが、凜太は戸った。前の一件が無かったら素直に喜んでこの気さくなおじさんと楽しく會話できたのに。

しかし、それも酒がってくれば葉うと思った。馬場は全く気にしていないのが分かったから。

そうこうしているうちに桜田や宮部含めて今宵の宴に參加する人たちが集まった。席が全て埋まり、それぞれメニュー表を見て最初に頼むお酒を決めた。

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