裝置の中で目覚めた凜太は笑った。目を開く前に一瞬走り抜けたような首からの痛みを確かにじながらも……それを飲み込んで笑った。生と死を同時にじながらの狂気の笑いだった。

息だけの笑いが勢い余って聲になりそうな時に裝置から出る。増川と馬場がし離れていて隣の春山はまだ起きていないようだった。

「ああ草部君。起きたね。ちょうど40分くらいか」

時計を見た時に、春山も目を覚ましてを起こした。時計の針は夢にってから40分後を指している。図らずとも凜太が目覚めたのは予定通りだった。

「ちょっと休憩にしようか。どう？休憩したらもう1回いけそう？」

「はい。大丈夫です。すぐにでも――」

凜太は休憩の間、1人で壁にもたれて過ごしていたけれど春山が現実で話しかけてくることは無かった。夢で言ったことについてもっと詳しいことを期待していたが、春山も1人で座っていた。

きっと勢いで言ってしまったのだろうから、恥ずかしがっているのだと思って凜太も気にする素振りを見せずに心を落ち著かせることに専念した。

現実でガッツポーズをするのは家に帰ってからだ。

「増川君と春山さんももう1回行ける？」

「僕はよく分かんないうちに帰ってきたので行きますよ」

「私は……ここに殘っていいですか。すみません。かなり神に來ていて」

春山は座ったままだが頭を下げながら言った。すると増川と馬場はかわいくて若い子のを気遣って快くお願いを許した。

春山が目覚めるまでの過ごし方を知らない2人にとっては夢の中で一何があったか分からないので、察したものは春山の恐怖験だったと思う。しかし凜太はの悩みでそれどころじゃないのではないかと思った。

実際に安全な部屋でじっとしているだけでも神にきつい夢ではあるけれど。

「じゃあ次の40分で今日のバイトは解散にしようかな」

そこから再び夢にった凜太が確認できたリセットされているか否かについては、殘念ながらリセットされているのが答えだった。洋館にり最初のボスがいる鍵のかかった部屋まで行くと、また鍵はかかった狀態になっていた。

ここもクリアできればかなり治療の功率は上がるはずだったが、まあノーミスで行かなければならないのは甘んじてけれるしかない。

今度は増川もいたのであまり興せずに自然と夢から覚めるのを待った凜太が帰るまでにも春山が話しかけてくることはなかった。凜太側も話しかけようと思えば張してなんと言っていいのか分からないのでそれについても帰ってから考えることにした。

一時はどうなることかと思った今日のシフトを終えて帰宅した凜太は我慢に次ぐ我慢の末のガッツポーズを発させた。そのまま鞄を投げ捨てて風呂場に行って思いきりぶ。浴槽に自分の耳までうるさいほど響かせた。

家の中に自分1人でなければ絶対にできないきをいくつもして今日の勝利を祝う。そして、誓った。俺は全てを手にれる……。

桜田ともっと仲良くなるのも諦めちゃいない。余りの幸せに人生の絶頂を向かえていた凜太はこの時、調子に乗っていた。