３時間目、國語の授業中、メモ用紙が回ってきた。手紙だ。

國語の工藤ちゃんは可いけどノンビリしたの先生だから、みんなけっこう私語とか手紙回しとかしたりするのだ。

で、なんの手紙だと思って開けてみたら長谷川のバカからだった。用件はというと、

『子更室がのぞけるところがあるらしい。晝休み行ってみようぜ（堂たちにはむろんナイショで！）』

やっぱりこいつはバカだと思った。

こんな手紙、もし回している途中で子とか先生に見つかったらどうするんだよ。

工藤ちゃんがいくら優しくてもこれが見つかったら叱られること間違いなしだぞ。

でも手紙は見つからずに済んだ。

で、俺は……晝休み。いっしょにお弁當を食べようとってきた若菜たちに「今日は學食」と斷って、長谷川といっしょにそのポイントへ出向いたわけだ。

仕方ないやん。

子更室やぞ。

仕方ないやんけ!!

で、そのポイントに行ってみた。

學校の南西部にある、プレハブ倉庫の屋に登れば、校舎の１階がのぞけるって話らしい。

プレハブはいま、子バスケ部と子バレー部が共用で部室として使っている建なんだが、さてその屋上に実際に上ってみた。

なるほど、確かに校舎の１階がのぞける。子更室の中が、わずかに見える。

「だけどよ、これ、逆に向こうからも見えねえか？」

「……だな」

倉庫の上に登っているんだから、當然だ。

子更室側からはもちろん、そもそも近くを歩いている生徒からも姿は丸見えだ。こんなリスクのあるのぞきはごめんだ。実行したら速攻で捕まる。

俺たちはため息をついて、屋の上から降りた。

「時間の無駄だったな」

「まだ諦めるのは早いぜ、天ヶ瀬。作戦を考えるんだ」

セリフだけ見たらカッコいいが、やろうとしていることはただののぞきである。

「をひそめる方法を見つけようぜ。迷彩服を著てのぞくとか」

「プレハブの上で迷彩服とか、かえって目立つだろ、アホか」

「おっ、なら、ここはどうだ。ほら、このプレハブの橫の茂みの中がちょっとへこんでるぞ。ここから死角になるからちょっと見ただけじゃ外からは見つからん」

「貓くらいしかれないだろ、そんなチャチなへこみ。第一そこにっても外はのぞけねえよ」

「ダメ出しばかりしてないで、しはオメーも案を出せよ！」

「なにを出せってんだよ。のぞきのアイデア出しとかむなしすぎるぜ」

そう言ったときだった。

倉庫の裏手に、地下に続いていく階段みたいなのが見えた。

なんだ、これ。近づいて見てみると、やっぱり下に降りる階段だった。まるでＲＰＧのダンジョンのり口だ。

「長谷川、これ、なんだと思う？」

「知らねえよ。そこも置じゃねえの？」

長谷川は興味なさげだった。

でも俺は気になる。こんな地下室へのり口があるなんて。

冒険してみねえかって長谷川に言ったけど「ガキかよ」って鼻で笑われただけだった。ノリの悪いやつ。冒険心を忘れちゃいけないぜ、まったく。

さて若菜に「俺らは學食」って言った手前、しばらく教室に戻ることもできず。戻ったところで弁當を取り出すわけにもいかない。

かといって金も持っていなかったため、俺と長谷川はウォータークーラーで水だけ飲んで空腹をごまかした。

あとになって思えば、弁當を食ってからのぞきに行けばよかった。なんであんなに急いでいたんだろう。晝休みだから、のぞけたところで子は更室の中にいないのに……。

に支配されていた。

俺らってほんとバカ。アホ。スケベ。エロ大魔王。