《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年7月26日(木) 前半

クーラーをガンガンに効かせながら、日記を書こう。

外の太の日差しが見ていられない。明るいところに出たくない、いまはただ家の中で若菜のことを考えたい。

當日、つまり7月18日のことを整理する。

放課後、午後4時半くらいに、俺たち6人はの前に集合した。

メンバーは言うまでもなく、俺(天ヶ瀬)、若菜、みなも、キキラ、長谷川、安愚楽の6人だ。

俺たちはテンション高めでの中にっていった。いや、キキラはやっぱりなんとなく、つまらなそうというか怖そうにしていたけれど……。でも、キキラと同様にるのを嫌がっていた長谷川は、なぜだかその日は妙にハイになっていて、やる気まんまんで冒険をしようと言っていた。

そして俺が先頭に立ち、懐中電燈を持って、の中にっていく。

の中は、ひんやりとしていて、たぶん人間が掘ったものなんだろう。地面とか壁は固まっていて、歩きやすかった。

だがここでの冒険はアッサリと終わった。

5メートルか10メートルか、はっきりとは覚えていないが、しだけ進むと、もう目の前には壁があった。

つまり行き止まりになったのだ。しかしその壁は、コンクリートかなにかで作られた、人工的なものだった。やはりこのは人の手が加えられたものだった、と俺は思った。

「この奧には、やはり病院の地下室があるのかな。それが埋め立てられてこうなった……」

安愚楽がそう言いながら、コンクリートをコンコンと叩いた。

コンクリートは思ったよりも新しかった。地下ってこともあるのかもしれないが、何十年も経っているような印象はなかった。

「この奧に行きたいな。思い切り叩いたら、壊れないかな?」

安愚楽はそんな無茶を言ったが、この壁を人力で破壊するのはちょっと無茶だろう。

コンクリートや、この先は気になるけれど、ここから前には進めそうにない。

殘念だけど俺たちの冒険はここで終わりだ。そう思って振り返ると、

「……あれ?」

そこには、若菜がいなかった。

6人の中で一番後ろにいた若菜が、気が付いたら行方不明になっている。

いつ若菜が離したのか、誰も知らないし気が付いていなかった。……の中は一本道で、それもさほど深くない。もちろん抜け道なんかもなさそうだった。ここで消えてしまうことは考えられない。

「もう外に出たんじゃね?」

「私たちに、なにも言わずに?」

「気分が悪くなったとか、かな?」

「外に出たら、そのへんにいるだろ。……オレらも戻ろうぜ。」

キキラ、みなも、安愚楽、長谷川がそれぞれが言った。

もうの中の冒険もできそうにないし、若菜を探そう。

そう思って俺たちはの外に出たが、そこに若菜はいなかった。

おかしい。

みんながし、困の顔を見せ始めた。

みなもの言う通り、俺たちになにも言わずに離するなんて。若菜はそういうことをする子じゃないのに。

砂浜のほうまで行ってみたが、やはりそこにも若菜はいない。どういうことだ? なにか嫌な予がした俺たちは、それから學校の周辺はもちろん、校舎の中まで捜索を開始した。こういうとき、攜帯電話を持っていたら便利なのに。だけど若菜は持っていなかったんだ。そしてどこを探しても、若菜はいなかった。

やがて、

「みんなーっ!」

と、キキラの聲が響いた。

その聲音がしたほうへ、俺たち5人は結集する。

「み、見て。ここ、開いてる」

そう、學校西側にある、もうひとつの地下へのり口……。

あの階段の下にある分厚いドアが、なぜかその日に限って、開いていたのだ。

俺たちはお互いに顔を見合わせた。――どうする? 行く? 先生を呼んだほうが……。いや、でも……。

5人全員が冷や汗をかきながら、たぶんなんとなく予していた。この先にはきっと、ろくでもないことが待ちけている。

それでも、俺たちは――こうしてあとになって考えたら、先生に相談でもするべきだったんだろうけど、とにかくそのときは頭が回らなかった。俺たち5人は揃って地下へとっていった。

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