《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年7月11日(水)

晝休み。

佑ちゃんはハセガワくんとふたりで、珍しく學食に行くっていうから、今日はひさびさにの子3人だけのお晝ごはんになりました。わたしとキキラちゃんとみなもちゃんの3人ね。

「天ヶ瀬、なんで學食なの? いつもお弁當のくせに今日に限って」

「學食じゃなくて、なにか他の用事でもあったりしてね。……國語のときに、手紙回しあってたじゃない、あのふたり」

「あ、してたしてた~。うんうん、怪しいね。じゃあ學食っていうのはウソかな?」

「アハハハッ! 育館裏でエロ本でも渡し合ってるんじゃね? なんて――」

「……ありえるわ。私、前、見ちゃったことがあるのよ。ふたりのカバンの中に、水著のの人が表紙の雑誌がっているの……」

「え? マジ? ギャグだったんだけど。……えー……あいつらそこまでエロいん? 學校にエロ本持ち込むとかヤバくない?」

「ま、待ってよ。水著のの人が表紙でも、普通の雑誌はあるよ。マンガ雑誌とかそういうのあるもん!」

佑ちゃんをかばうように、んでしまったわたし。

実際のところ、どうなんだろう。今日の佑ちゃんたちは本當に學食に向かったのでしょうか。

それともなにかエッチなことをするために別行を……? そ、そんなことはないよね。信じてるよ、佑ちゃん!

だけど――

ここから先はちょっとマジメな話なんだけど。

キキラちゃんとみなもちゃん。わたしの大事な友達。

だけど、ふたりとも。これは本當にただのカンなんだけど――

ふたりともたぶん、佑ちゃんのことが、好きなんだと思う。だって、ふたりとも、佑ちゃんがいないとき、佑ちゃんの話ばっかりしてるもん。

ふたりがのライバルだとしたら、どうしよう。

わたしは全然勝ち目がない。ふたりともすごく可いし、きれいだし、キラキラしてるもん。

みなもちゃんはすっごい綺麗な髪で、人で、頭も良くて、スタイルもいい。

キキラちゃんは笑顔で可くて、明るくて面白い子。佑ちゃんとは見ているテレビ番組とかも同じで波長が合うみたい。よくふたりでお笑いの話とかで盛り上がってる。うらやましい。

……どうしよう。

もし佑ちゃんと、キキラちゃんかみなもちゃんが付き合ったりしたら。

わたし、笑顔で祝福できるかなあ。おめでとうって言えるかなあ。うーん。

……やっぱり無理。だめ。

いくらキキラちゃんたちでも、佑ちゃんのことだけは譲りたくない。負けたくないよ。

だけどこのままじゃ、たぶん負けちゃう。佑ちゃんはかっこいいし、キキラちゃんたちじゃなくても、誰かほかのの子といつか本當に付き合っちゃう。

そんなのやだ。

佑ちゃんを取られたくない。

だから、このままじゃだめだ。

もうすぐ夏休みだし、勇気を出して、もっと行してみようと思う。そうしないと、いつまでも前に進めないから。

とりあえず……どうしよう。

どうやったらもっと佑ちゃんと仲良くなれるかな?

佑ちゃんに贈りでもしたらいいかな? でもどういう理由で? 誕生日はもう終わっちゃったし(佑ちゃんは4月生まれなのである。わたしは10月、みなもちゃんは6月、キキラちゃんは早生まれの3月で、ハセガワくんは確か12月でーす)……。

うーん。

どうしたらいいのかなあ。

(筆者注・ページの余白部分に、小さな痕が付著している)

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