《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年7月12日(木)

佑ちゃんとハセガワくんは、今日はお弁當で、わたしたちと一緒にランチターイム。

みんなでおしゃべりしながら、ごはんを食べた。本當に楽しかった。こんなのが毎日続けばいいのに。

と、ここで終わっておけばただの日記なんだけど。

今日はちょっとだけブルー。っていうかコワイ?

學校帰りに男の人と會ったんだけど、

「こんにちは」

家の前でいきなり、聲をかけられた。

40歳くらい? の中年の男のひと。髪のが肩くらいまでびていて、ガリガリに痩せていて、目の下なんかすごいクマができてた。服もヨレヨレのポロシャツで、なんかバッチいじだった。

最初は、わたしになにか用があるのかなって思って、はいこんにちは、って返事したんだけど、そのオジサンは、なんだかニヤ~って笑って、わたしのほうをジロジロ見て、

「君ならいいかもしれない。君にしてもらえたら楽になれるかも」

「……はい?」

「あの、これから変なお願いをするんだけどね。気持ち悪がらないで聞いてほしいな。……ボクの頭をでてくれない? そうしないと、夜、眠れないんだ、ボク」

わたし、絶句。

意味が分からなくて、不気味だった。

だからずっと黙っていたんだけど、そしたらオジサンは今度いきなり、泣くような顔になってんだ。

「お願いだよ。よしよし、いい子いい子ってでてほしいんだ。あなたは悪くないからね、って言ってほしいんだ! 頼むよ、君のような子じゃないとダメなんだ! でてくれ! ボクの頭を! でてくれ……! 夜ぐっすりと眠りたいんだ!」

そこから先は、ずっともうその言葉だけ。

でてくれ!」

「よしよしって!」

でてくれ!」

「いい子いい子って!」

でてくれ!」

「あなたは悪くないからねって!」

「……でてくれ!」

「よしよしって!」

「……でてくれ!」

「いい子いい子って!」

「……でてくれ!」

「あなたは悪くないからねって!!」

これをひたすら繰り返すから、もうわたしのほうこそ泣きたくなって、家に飛び込んですぐに鍵をかけた。

オジサンは、追いかけてくることもなく、どこかへ行っちゃったみたいだけど。

いまになって後悔してるのは、そのオジサンが、わたしの家の場所を知っちゃったこと。家の中じゃなくて別のところに逃げたらよかった。うちはマンションとかじゃなくて一戸建てだから、あのオジサン、わたしの家がここだってこと分かっちゃったよね……。

とにかく怖い。不気味。

お父さんとお母さんにはもちろん相談した。

警察に言うべきだってお母さんは言ったんだけど、お父さんは「まだなにかされたわけじゃないし、これだけじゃ警察はかないよ」って言うだけで、とりあえず様子見ってじになった。

確かに、ただ聲をかけられただけじゃ逮捕はできないと思うけれど……。でも、怖いなあ。

なんだったんだろう、あのオジサン。

歩いている人になら、誰にでもああいう聲をかけるのかな。

それとも、わたしが目當て、だったのかな?

……まさかね~。

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