《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》堂若菜《みどうわかな》の日記 総括
「……なんですか? これは」
私は堂若菜の日記を読み終えて、正直な想を口にした。
日記そのものからは、目新しいなにかが見つかったわけじゃない。
天ヶ瀬佑樹の日記で提示された謎は、よりいっそう不明瞭になった。
堂若菜が殺された理由などまったく分からないし、地下室のも不明のままだ。
もちろん、いくつかの新報は得た。
7月12日の日記。堂若菜に聲をかけた謎の男。――「でてくれ」を繰り返した人。さらにM高校の國語教師、工藤桃花が語った、1980年の事件。さらに、堂若菜殺害より前から、地下について調査を開始していた袴田みなも……。
気になったことはいくつもある。
だが、一番不思議に思ったのは、そして不気味にじたのは、
「最後の文章……。いや、もう、怪文と呼ぶべきでしょう。これはなんですか?」
「書いたのが堂若菜でないことは、明白でしょうね」
A氏は、言った。
「日付が、堂若菜殺害後のものですし……。いや、日付などはいくらでもゴマカシが効くとして、やはりその文章の容が。……この文章は、堂若菜も、そして天ヶ瀬佑樹も殺されたあと、何者かがこの日記帳を手し、赤いボールペンで書きなぐったものでしょう。それが誰かは分かりませんが」
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「まっとうな神狀態の人間が書いたとは思えませんね。この文章は。……書いたのが誰かは分からないんでしょう?」
「筆跡は、堂若菜のものでも天ヶ瀬佑樹のものでも、そして他のありとあらゆる事件関係者のものとも違います。……まあこんな文章を書くくらいですから、明らかに、尋常ならざる神狀態で執筆したのでしょうし、筆跡鑑定もあまり意味をなさないでしょうがね」
「なんにせよ、謎が多すぎます。この2冊の日記帳から出てきた事件は」
私は本音で語った。
1980年から7年ごとに起きる指風鈴殺人事件。
1980年に死亡した岡部子。……人と心中したらしいが、相手の人の報や死はいまのところ、日記に登場していない。
さらに、1987年に死亡した北條凜、1994年に死亡した三段坂夏。
そして2001年に死亡した堂若菜と、そのし後に殺された長谷川幸平と天ヶ瀬佑樹。
すべての事件はM高校の地下室に集結していると思われるが、だからといって、こうまで學校関係者が連続で死亡し、しかもどの人にも繋がりがいまいち見當たらないのは異様だ。すべての被害者は、M高校の人間ということ以外になんの接點もないのだから。
そう、接點がない。
接點がある人間が殺されるのならば、まだ理解もできようが……。
接點……
といえば……
「山本キキラと袴田みなも」
私の心を見かしたかのように、A氏が口を開いた。
「このふたりは、天ヶ瀬や堂、長谷川と違って、過去の事件と接點があります。1994年の埋め立て工事のときの、工事業者の娘である袴田みなも。そして1994年の事件の被害者、三段坂夏のイトコである山本キキラ。……このふたりから、事件の全容があるいは見えるかもしれない。……先生はそうお考えではないですか?」
「いや、まさにそうです。それでなくても、最初に登場した天ヶ瀬グループ、5人の仲間たちのうち、3人までが殺されて、殘っているのはこのふたりですからね。このふたりの行から事件のことが推理できるかもしれない。いや、きっとできるはずです」
「……だといいのですが。……それではこちらをごらんください」
A氏は、小さな手帳を私に差し出してきた。
山本綺々羅、と表紙の右下に、しい字で書かれてある。
「これは……」
「山本キキラの手帳です。ほとんどはスケジュール管理や、プリクラなどをるために使っていますが、7月からは日記としても使っています。――綺々羅、というのが彼の名前の漢字なのですね。書きにくいので、みんなキキラとカタカナで書いていますが。本人もよくひらがなやカタカナで書いていたみたいで」
「山本キキラの日記! これは興味深い。天ヶ瀬の日記でも後半から姿を消した彼の向がつかめたら、違うことが分かるかもですね!」
「先生のご期待に沿う容ならいいのですがね。……なんといいますか、この日記は……」
A氏の目がった。
「天ヶ瀬グループの人間関係を、別の角度から見る日記になりますよ」
なにか、楽しむような眼であった。
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