《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年7月15日(日)

みんなで海に行った。

昨日買った、ワンピースの水著。

気合れて買った、甲斐はあった、のかしら。

天ヶ瀬くん、私のことときどきチラチラ見ていたし。

もっともそれ以上に、若菜のほうを見ていたけどね。

若菜は中學時代のスクール水著だったのに、天ヶ瀬くんはそんな若菜に見惚れてた。

……悔しいわね。だから、海水浴の途中、キキラとふたりでちょっと愚癡ったわ。

「若菜っち、やっぱり天然の男殺しだよね~」

「男殺しというより天ヶ瀬くん殺しよね。天ヶ瀬くんは、若菜がすることならなんでもOKだもの」

「……言えてる。あ~あ、ウチら、気合れて水著買ってきたのになんだかバカみたいじゃん」

「ちょいちょい、お二人さん、オレを忘れてやいませんかって! ふたりとも、水著姿、めちゃくちゃセクシーで素晴らしいぜ!」

「は? 別にアンタに褒められても嬉しかねーし」

「むしろセクハラよね。週明けに先生に相談しようかしら」

「ジーザスッ! そりゃねえぜ!」

大げさにすっころんだ、長谷川くん。

私とキキラは、大きく笑った。彼もいいひとよね。ほんと、いいお友達。ふふふ。

ところで海水浴は楽しかったのだけど、途中で私たちの空気を盛り下げるひとが登場した。

クラスメイトの安愚楽士弦《あぐらしずる》くん。私とはあまり話したことがないけれど、キキラとはし親しいみたい。

その安愚楽くん。

たまたま海を通りがかったようだけど、彼は私たちに怪談を披したの。

このM高校の地下には地下室があって、そこは戦時中、病院だったこと。

そして戦爭に反対したひとたちを無理やりれて、拷問していた、ということを。

私はそういう話、嫌いじゃない。

小學生のころは學校の怪談話を好んで見たり聞いたりしていたし、ホラー映畫も大好き。

だけど、みんなで海に遊びに來ているときにそういう話をされても、困る。

空気を読んでほしい。実際……若菜もキキラも、怖がっていたもの。

でも、気になるといえば気になるわね。

M高校の地下室。元病院。調べてみたいわ。

前述したけれど、そういう話そのものは、嫌いじゃないのよ、私。

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