《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年7月17日(火) 前半

晝休み。

安愚楽くんが、地下へのを見つけたというので、みんなで行ってみた。

それは學校の東側。雑木林の中にあった、工事現場みたいな

このの奧に、もしかして地下の病院跡地が!?

私のは高鳴った。行ってみたいわ。興味しんしん。

「どうだい、みんな。このの奧を、ちょっと冒険してみないかい?」

安愚楽くんが、そう言った。

若菜、キキラ、それに長谷川くんは嫌そうだったけど、私と天ヶ瀬くんは賛同した。

「楽しそう。私、こういうのやってみたかったの!」

「だよね。俺も冒険って嫌いじゃねえし。行ってみようぜ!」

天ヶ瀬くんと意見が一致した。嬉しい。

このとき、私は顔が赤くなっていたかもしれない。……はしたないことね、もう。

その後、晝休みいっぱいを使って、みんなでビーチバレーをした。

3対3でチーム分け。最初は、私と天ヶ瀬くんとキキラ対若菜と長谷川くんと安愚楽くんで分かれた。

「天ヶ瀬、おめえ、ハーレムじゃんかよ!」

「はっはっはー、悪ぃな、長谷川!」

「ほんと、両手に花ね、天ヶ瀬くん」

「キレイどころふたりで、嬉しかろ? 天ヶ瀬っ!」

「佑ちゃん、よかったねえ」

「ははは。……さあ堂さん、長谷川くん。僕らも負けないようにいこう!」

私を含むみんなのセリフを、ひとつひとつ、はっきりと覚えている。

それからチーム編を何度も変えて、休み時間が終わるまでバレーをして、最後はバレー部顧問の松下先生に「勝手にボールを使っているのは誰だぁ」って叱られて。……でも私はとても楽しかったわ。きっとみんなも楽しかったと思う。

改めて、考えるのだけど――

こんなに素晴らしい友達を持てたことを、私は誇りにしている。

私は、中學のころまで、あまり友達がいなかった。

別にいじめられていたとか、そういうわけじゃない。それなりに話す子もいた。

だけど心を許し合える本當の仲間は、いなかった。理由は――私自格もあるかもしれないけれど、ひとつは父親のこと。

地元でも有力な企業、袴田工務店の経営者で、県會議員まで務めている父、袴田幸助《はかまだこうすけ》。

父が有名で、選挙のたびに顔まで出るから、それが昔のクラスメイトからすると『袴田みなもは違う世界の人間』と映ったらしい。

それが悲しかった。

父がどうであれ私は私。

普通に付き合ってくれたら、それでいいのに。そう思っていた。

その普通の付き合いをしてくれているのが、いまの仲間たちだ。

天ヶ瀬くん、若菜、キキラ、長谷川くん。みんな素敵な友達。……安愚楽くんも、これまでは私たちのグループじゃなかったけれど、今日、いっしょにバレーをしたことで、友達になれたと思う。

……バレーからの帰り道。

天ヶ瀬くんは言った。

「そういえば明日の冒険さ、あのの中がどうなってるか分からねえじゃん。だからさ、集合場所を決めとこうぜ。もしの中で、俺たち仲間同士が離れ離れになっちまったら、あの砂浜にまた集合しよう」

その言葉に、みんながうなずいた。

一致団結、という気がして、嬉しかった。

私は天ヶ瀬くんが好き。

だけど、若菜のことも、みんなのことも大好き。

10年経っても、20年経っても、おばあちゃんになっても、みんなで集まって、笑い合える仲間でいたいな。

きっと私たちなら、この6人なら、それができると思う。

例えこの先、どんな未來が待ちけていたとしても……。

さて。

楽しい話はここまで。

ここからはし怖い出來事。

放課後。

私は若菜とふたりで、予定通り、図書館に向かったのだけど――

    人が読んでいる<指風鈴連続殺人事件 ~戀するカナリアと血獄の日記帳~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください