《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年7月23日(月)
夏休み開始。
そういえば7月20日の終業式では、理事長と校長が事件についてれ、黙とうが行われた上、夏休みは軽率な行をつつしむようにと訓示を述べていた。異様な雰囲気の終業式だった。ひとがひとり、殺されたのだから無理もないけれど。
さて。
私は今日、まず學校に行ってみた。
事件についてなにか得るものはないかと思っていたのだ。
一番に會いたかったのは――工藤教諭だ。
あの、事件についてなにか隠している素振りだった彼。
まさか彼が若菜を殺したとは、さすがに思いたくないけれど、顔だけでも見ておきたかった。
しかし學校は、警察とマスコミが多く、それどころではなかった。
工藤教諭は職員室におらず、どこにいるのかも分からないし、ちょっと學校を出ようものならマスコミがやってきてインタビューを仕掛けてくる。うっとうしかった。
とはいえ――
まともそうな人もいた。
木戸、という新聞記者で、若いだった。
木戸史はあくまでも丁寧に、通りがかった私に意見を求めてきた。
私は未年なので、事件現場の第一発見者であることは公表されていない。だから木戸史も、私については、被害者と同じ學校の生徒として思うところをひとこと、という名目で尋ねてきた。
私は、木戸史と數分間だけ會話をした。
事件の関係者ではなく、あくまでもイチ學生としてインタビューに答え、なおかつ、彼からうまく報を聞き出そうと思った。この時點で、私が事件関係者であることをマスコミにらすのは、まだ早いと思ったのだ。
「M高校って昔も事件起きてるんですよねぇ~。岡部子、とかいう人が殺されてたって聞きましたぁ~」
間延びした聲で、いかにもちょっとヌケてる、というじで告げる。
すると木戸史は、そこに突っ込んできた。
「やっぱり生徒さんの間でも、過去の事件はうわさになっているんですか?」
「うーん、ちょっとだけ~。でも今回の事件とは関係があるのかどうか分かんないし~」
「學生さんの間で、どんな噂が飛びっているのでしょうか? よろしければ教えていただけませんか?」
「え~。そう言われても~」
……若菜とキキラを足して、2で割ったような口調で、私は話をはぐらかす。
はぐらかしつつ、適度に報は出して、なおかつ木戸史から報収集を試みた。
その結果、指が天井から吊るされる、いわゆる『指風鈴』は、21年前から連続して起きていることが分かった。以前、ネットでし調べたことはあったけれど、新聞記者から報を得たことでこれは確実な報となったわけだ。
岡部子。北條凜。三段坂夏。いずれもあの地下室で、指風鈴狀態で殺害されていた。
さらに、殺された3人はいずれもM高校の関係者だった。
岡部は生徒、北條は教師、三段坂は生徒、とそれぞれ立場はし違うけれど。
そして今回の若菜も、M高校の生徒……。
若いが7年に1度、指風鈴狀態で殺される。
これはどういう目的なの? なら誰でもいいの?
皆目、見當もつかない。もっと報を集めなくては。
と、こうして日記を書いていると安愚楽くんから連絡があった。
會って事件について話したい、と言う。私も彼に會いたいと思っていた。
電話で話してもいいけれど、だけど電話ってやっぱり聞き間違いとか多いから。大事な話は実際に會ってやりたいからね。
明日、會おう。事件について話し合おう。
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