《悪魔の証明 R2》第11話 010 アカギ・エフ・セイレイ(1)

窓の奧に目をやってみると、そこは真っ暗な空。

現在スカイブリッジライナーは日本側の大陸棚を超えて公海の上を走っている。

この付近の時差がよくわからないので時刻は曖昧だが、地理から鑑みると、おそらくは二十四時から二時の間くらい。

が出ているはずもない。

もちろん、飛行機も飛んでいない。

一昔前は多數の飛行機が空に張り巡らされた空路を晝夜問わず飛んでいて、どこからでもその勇姿を眺めることができたという話を、以前誰かから勧められた本で読んだことがある。

今現在の夜にはそれは確認できないが、當時夜ともなると、飛行機の放つ信號がピカピカと赤くり、飛行機がひっきりなしに自分へ挨拶をしているかのようだったそうだ。

それは例え事実だったとしても、僕にとっては都市伝説のような話だった。

僕が生まれるずっと前から、ここスカイブリッジに限らずどの場所でも、飛行機が空で飛んでいる様子を拝める機會は稀となっている。

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だから、僕を含めた現代に住む人たちの多くは、過去の人たちが実際にそのような運用をしていたことだとしても、それが歴史的事実だとは信じられないのだ。

このような事態になった理由を説明するのは簡単だ。

過去にテロリストが飛行機破事件を連続させたせいで、それを憂慮した航空會社が飛行機の運行本數を激減させただけ。あまりにも単純な理由で、それが真実だとは思いたくないくらいだ。

テロリストがなぜ飛行機の運行に支障が出る程簡単に飛行機破テロを行えたかというと、ひとえにそれは當時開発されたばかりのハンニバル・ニトロ限定範囲指定戦略型ピンポイント弾のおかげに他ならない。

事実、彼らは民間軍需産業が政府に供給しているこの弾を様々な方法で手にれ機に持ち込み、次々と飛行機破テロを実行していった。

當時でも厳重だった空港のチェックをかい潛り、彼らが容易に飛行機の中へこの弾を持ち込めたのはこの弾にはある特があったからだ。

僕たちの生きる現代でも対処不可能なそのある特。戦略型ピンポイント弾は無臭かつあらゆるレーザーを無効化する。

そう、この弾は荷の検査に使われるX線をはじめとした障害探知レーザーにまったく反応しない特を持っていたのだ。この特ゆえに、空港におけるX線などによるベルトコンベア型の荷検査はまったく意味をなさなくなった。

例えば、スーツケースの中にこの弾をれたとすると、稅関の検査がチェックするモニタ上ではスーツケースの中はただの空間、影さえもない間だけに見えてしまう。つまり、この弾はその特殊な能により、オートマチックな稅関の荷検査を完全に素通りできてしまうのだ。

無論、航空會社としては時間をかけて乗客ひとりひとりの荷検査をしてなどいられない。それに大量の乗客をさばかなければ、売り上げが大幅に下がってしまい自社株が暴落してしまう。

かといって検査をしなければ、いつ飛行機が破されるかわかったものではない。その検査も度を著しく欠くから、命を惜しんで人々は飛行機に乗らなくなり、結果乗客が激減して利益が上がらない。

このようなジレンマに陥ってしまい倒産の危機に瀕したすべての航空會社は、飛行機に乗せるターゲットを稅関検査たちによる荷検査の目視チェック可能な人數――政治家や一部の富裕層だけに限定し、空から一般市民を運ぶことを諦め決死の覚悟でスカイブリッジ建設により長著しい鉄道業界へと參していった。

飛んで駄目なら鉄橋で行こう。

焦燥に包まれた當時の航空業界では、そのような標語がその當時流行したらしい。

とはいえ、當然、畑違いの業界へのこの參劇には否定的な意見も多く、現にこの混で航空會社はほぼすべて倒産したのだが、吸収合併を繰り返した數の航空會社はしぶとく生き殘った。

結果から先に述べると、その生存した航空會社にとって――會社経営的な観點からいうと――先の戦略は英斷だった。

國際線の運営経験がまったくなかった舊來の鉄道會社をそれらの航空會社はサービスで圧倒し、すぐに彼らはスカイブリッジ國際線での実権を握ることに功した。

そして、これにより、今度は、航空會社ではなく、多數の……ほぼすべての鉄道會社が、連鎖倒産するはめになった。

その後、スカイブリッジのほぼすべての運営は、競爭を生き殘った航空會社によって行われることになった。

完全な勝ち組の狀態になってからは、もはや彼らの経営をおびかす者は誰もいなくなった。経営基盤が安定し、多の浮き沈みがあるにせよ、株価も平均して高値を維持できるようになったからだ。

それは、飛行機に比べて數倍多く運行できる軽なスカイブリッジライナーからもたらされる恩恵でもあった。そう、運賃を以前の飛行機料金と同料金に設定することにより、航空業界にいたときより多くの利益を得ることを彼らは可能にしたのだ。

一般の人々の渡航手段はそれしかないにもかかわらず、運賃は元の鉄道會社の數十倍。年を追う毎にさらに搭乗人數が増え、その増加した各個人からの収益単価も高くなる。彼らが隆盛を極めたのも當然だった。

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