《悪魔の証明 R2》第12話 011 マウロ・パウロ(1)
「いいかい、マウロ。僕たちの目的は、どこまでも腐ったこの世界に正義の鉄槌を下すことだ。良心の呵責など覚える必要はない。誰に會っても、誰を見てもね。もう何十年も前から世界は何も変わっちゃいない。相変わらず富裕層は富裕層だし、貧乏人は貧乏人のまま。こんな何の変化もない閉塞した社會は、僕たちの代で終わらせなければならない」
このフリッツの臺詞に、僕は深く首を縦に振った。
もう後もどりはできない。
さらに決意の強さをフリッツに証明するかのように力一杯拳を握り締めた。
「そうだ、マウロ。過去、數々のテロリストたちがやってきたことを、同じように実行するだけ。何も心配はいらない。先人たちは、自らが乗った飛行機を破するという恐怖を味わいながらテロを実行してきた。それに比べれば、僕たちがスカイブリッジライナーを破することなんて容易いことさ」
飛行機の破……
彼のこの一言に、僕の心が敏に反応した。
しが苦しくなり鼻から息を大げさに吸った。さらに空気をれようとセーターの襟をパタつかせたタイミングで脳裏にぼやけた青い空が浮かび上がってきた。
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し荒いテレビ畫面の中で、その飛行機は飛んでいた。
白い羽を広げて、まるで白鳥が優雅に空の旅路を楽しんでいるかのようだった。
スピーカーかられてくる男の気な聲。仲の良いカップルだったのだろう。
節々に聞こえてくるふたりの會話からは、これから始まる大慘事をスクープしようなどという意図は微塵もじられない。
彼らのハンディカメラは、ただ大空を飛ぶ飛行機を捉え続けていた。
撮影目的は初めから飛行機が飛んでいる姿を映像におさめることだったらしく、男の姿はテレビ畫面に一切映ることはなかった。
突然、その飛行機を追って橫にスクロールしていた畫面がきを止めた。
被寫がきを止めたせいだ。
いや、あまりにも予定調和のようだったから、この番組を観覧していた自分にはそうじられただけかもしれない。當時かったせいもあるだろう。
いずれにせよ、一秒後ためらう様子もなくその飛行機の腹部が発した。
一瞬のうちに飛行機の白い機は々に分解され青い空の中で散っていった。
破の余韻もなく、畫面は切り替わった。
晶の中に映ったのは広い芝生。煙がところどころで舞い上がっていた。
今回はプロのテレビカメラマンが撮影しているからなのか、テレビ畫面に流れている映像は若干高畫質だった。
その後、何の傷もなく畫面は市街地へと移った。
飛行機の殘骸がそこら中にぶちまけられていた。
道路の上で橫たわる無數の死。きっと上から落ちてきた機の塊に巻き込まれたのだろう。
慘な空気を変えようと思ったのだろうか、突発的に不自然な程の海がテレビ畫面全を占拠した。
スカイブリッジが作り上げられていく行程が、ハイスピードで映像に描寫されていく。程なくして、太平洋の真ん中を一直線に割る鉄橋が完した。
そこで、なぜか急に畫面が暗転する。
現れたのは、絆。
畫面の奧からフェードインしてくる白い巨大な明朝の文字。そして、それはゆっくりとあざとく海の上で拡大していった。
おもむろに映像は繁華街へとスイッチした。どうやら、街頭ビジョンがそのシーンのメインのようだ。
その中に映しだされていた文字はまた絆。
この番組を制作したテレビ局によるテロに傷ついた日本人の結束を呼びかけるための、彼らにとっては粋な演出だったのだろう。
だが、そのサブリミナル映像のすぐ外では今日を生きることに困ったホームレスたちが食べを探すためにゴミをあさっているに違いなかった。
なぜ彼らはカメラのスコープの範囲外で起きている重大な事実を同じ畫面の中で伝えようとしないのだろう。
當時の僕は不思議に思ったものだ。
さらに絆は広々とした敷地を持った稚園の中にも現れた。
カメラが一人の子供に寄り始めると、ばらばらだった子供たちがその中央に集まり始め、わざとらしく手を取り合って先程の子供を中心にし人のを作っていった。
一張羅の服を著た子供たちは総じてつやのいいで幸せそうに笑っていた。
間もなく限りなく人工的な円が完した。
この時間帯に貧民街の小さな公園で遊んでいる汚らしい服を著た子供たちが、おそらくは一生ることのできないであろう見栄えの良い円が。
そして、カメラは満點の星空を見上げた。
思い返す限り、あれは今まで僕が見た中で一番きれいな星空だった。
この番組を作ったプロデューサーとしては、テロに対する斷固たる思いや、平和の大切さを表現したかったのだろう。
だが、あまりにもそれは現実に即していない。
その偽の星空の下では、今と同じく當時も平然と富の強奪や富の簒奪が行われていたはずなのだから。
僕は思う。
貧困に陥った人間に平和を訴えたところで何の効果ももたらさないと、なぜ彼らは考えないのだろうか。
ところで絆って何?
「そんなワイヤー、とっくの昔に切れてるんだよ」
自問してから、そう呟いた。
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