《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》24.ソフィアの話①
自分には世界一幸せになる権利がある。
だってこんなに可いのだから。
ソフィアはい頃からそう信じ続けていたし、それが當然のことだと思っていた。
「可いわねぇ、ソフィア。將來あなたはきっと私にそっくりのに長するわよ」
「びじょ? びじょになるといいことがあるの?」
エメラルドグリーンの瞳を瞬かせながら尋ねるソフィアに、母は笑みを深くした。
「たくさんあるわよ。みんなにされるし、可いドレスやアクセサリーをたくさん買うことが出來るし、味しいものを好きなだけ食べられるのよ」
「すごいすごーい! わたし、びじょになるー!」
「うふふ。可い上に素直な子。あの出來損ないの姉とは大違い……」
母が一瞬だけ不機嫌そうな顔をするので、ソフィアはコテンと首を傾げる。
アニス。いつも部屋に引きこもっている姉だ。
「おねえちゃんはできそこないなの?」
「ええ! 私に全然似てないし、格だって暗いし……あれじゃあ、まともな結婚相手は見つからないでしょうね」
「ソフィアのおねえちゃんなのに?」
「そうよ。でも、あなたは違うわ。何もかもがアニスよりも優れているの」
母の両腕がソフィアを優しく抱き締める。
その溫もりに目を細めながら、ソフィアは、姉に関する記憶を手繰り寄せた。
メイドに世話をしてもらっていないのか、いつもあちこちに跳ねた髪。
母にも父にも似ていない顔は、雨が降り出す寸前のようなどんよりとした表ばかり浮かべている。
安のドレスは何度も著ているせいで生地が傷んで、裾は所々破れる寸前だった。
本當に自分の姉なのかと疑うような有り様。同じ屋敷に住んでいるというのに。
暫く顔を合わせていないアニスの姿を思い返し、芽生えたのは同や憐憫ではなく優越だった。
自分は生まれつき姉よりも勝っている。
そう自覚すると、頬が勝手に緩んだ。
だが世界は、そこまでソフィアに優しいわけではなかった。
貴族だというのに我が家は何故かお金がなくて、しいドレスやアクセサリーを自由に買えなかったのだ。
使用人に給金を支払わず、退職金もなしに無理矢理解雇させることもあった。
茶會に出席した他の子たちは、好きなものを好きなだけ買ってもらえると話していた。
なのに、どうして私だけ……
怒りの矛先はアニスへ向いた。
母がそうしていたから。
それに使用人に八つ當たりしている時は怒る父も、アニスを責めている時は何も言わなかった。
だから姉には何をしてもいい。
そんな常識が、ソフィアの脳にり込まれていった。
そしていつからか、アニスは外に働きに出るようになった。
その稼ぎは微々たるものだったが、ないよりはまし。
それらは、ソフィアのアクセサリーを買うための足しにはなっていた。
心ともにボロボロになりながら働くアニス。ソフィアは姉に謝していたし、同時に見下してもいた。
そんな姉が『自分をしていないから』なんて理由だけで、オラリア公ユリウスに選ばれた。
しかもアニスに會いにやって來るのだという。
そのことを知り、ソフィアは慌てて実家に戻った。
そして彼の優れた容姿の虜となった。
自分の夫であるハロルドも、涼しげな顔立ちの持ち主だ。しかし、ユリウスには到底及ばない。
ソフィアは姉を馬鹿にするような態度を取りつつ、心は嫉妬で煮えくり返っていた。
伯爵邸に戻ってからハロルドにを囁かれても、ソフィアの心は一向に癒されなかった。
むしろ、『ユリウスを手にれたい』という求が日に日に強くなっていく。
母譲りの貌を持つ自分なら、きっと彼を真実のに目覚めさせられる。
だから、そのチャンスがしい。そんなソフィアの願いを葉えてくれたのは、ハロルドだった。
アニスのことを話すと、彼は愕然としていた。
「君の姉がオラリア公爵と婚約!? なのに、どうしてマリカード家には何の援助もしようとしないんだ。そんなのおかしいじゃないか!」
「そうなの?」
「我が家はオラリア家とは近い間柄になったんだ。俺たちが支援を求めるのは當然の権利さ!」
「ユリウス様と私が……近い間柄……」
不満そうにを尖らせる夫の橫で、ソフィアはおとぎ話に憧れるのように目を輝かせた。
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