《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》29.新たな問題
「……は?」
私の提案に目を丸くするユリウス。
私自もすぐに我に返ったものの、このまま話を進めることにした。
「私がユリウス様の代理で、夜會に出席するんです」
忙しい婚約者や夫の代わりに、が夜會などに出ることは珍しくはないと聞く。
現狀、ユリウスが獨令嬢たちの猛攻から逃れる方法はこれしかない。
「なので、ユリウス様はお気兼ねなくご欠席ください」
「……君の気持ちはありがたいが、それはやめた方がいい」
「やっぱり難しいですか?」
「難しい難しくないの話ではなく、君のが心配だ」
神妙な顔つきのユリウスに言われる。
夜會って、そんなに危険な場所だったろうか。
「私目當てで出席した令嬢たちから目の敵にされるぞ」
ああ、なるほど。
「そこは想定の範囲です」
それに、し前までは睨まれたり、罵られることは日常茶飯事だったのだ。
彼らの悪意や敵意をけ止める覚悟は出來ている。
「私には盡くさないんじゃなかったのか?」
呆れているような、戸っているような聲だった。
そういえばユリウスと初めて會った時、そんなことを言った覚えがある。
本人はとっくに忘れていたことを覚えていたのか。
私は首を橫に振って、彼の問いに答えた。
「私をロートリアス家から連れ出してくれた恩返しのつもりです」
とかとか、そういった甘いによるものではない。
ただ、困っているのを放っておけない。そんな単純な理由だ。
私の夫は指を顎に添えながら、私に尋ねた。
「アニス、本當にいいのか?」
「はい」
即答すると、い表のまま自分の頭をやや暴な手付きで掻く。
そして申し訳なさそうな聲で一言。
「……すまない、アニス」
別に私が好きでやっていることだから、謝らなくてもいいんだけどな。
と思っていると、
「だが、俺も一緒に行く」
「え?」
「客が一人増えたところで何も問題はない」
そうなると、私が行く意味がないのでは。
僅かに首を傾げていると、ユリウスは私をちらりと見ながら言葉を続けた。
「…………だから、ついて來てくれないだろうか」
「それは全然構わないのですが……アッ」
私が聲を上げると、ユリウスの肩がびくっと跳ねた。驚かせて申し訳ない。
「ユリウス様。たった今、大変なことを思い出したんですが」
「何だ?」
「……私、貴族のパーティーに一度も參加したことがなかったです」
「一度も!?」
ユリウスが驚愕で目を見開く。
二十代半ばの令嬢がまだデビュタントすら済ませていないと発覚したのだ。當然の反応だった。
「今まで何をやっていたんだ、君は!」
「仕事です」
「……そ、そうか」
聲を震わせながら答えると、あっさり納得してくれた。
しかし新たな問題の発生だ。
デビュタントすらしていない私が、夜會で公爵夫人としての立ち振舞いが出來るかどうか。
ユリウスの足を引っ張る未來しか見えない。
「なるほど。そのようなことでしたら」
ドアが突然開き、真顔のメイド長が執務室にカツカツと足音を立てながらってきた。
私たちが呆然としていると、彼は眼鏡のブリッジを上げながら言った。
「──この私にお任せください」
「え~、フレイがいないの寂しいなぁ」
つまらなそうにを尖らせるポワールに、私はお土産を買うことを約束した。
これから數日間、フレイは急な用事で実家に里帰りすることにして姿を消す。
そしてアニスとして、夜會での行儀作法をみっちり仕込まれることになった。
【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本物の悪女となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】
公爵令嬢のアサリアは、皇太子のルイスに婚約破棄された。 ルイス皇太子が聖女のオリーネに浮気をして、公爵令嬢なのに捨てられた女として不名譽な名がついた。 それだけではなく、ルイス皇太子と聖女オリーネに嵌められて、皇室を殺そうとしたとでっちあげられて処刑となった。 「嫌だ、死にたくない…もっと遊びたい、あの二人に復讐を――」 処刑される瞬間、強くそう思っていたら…アサリアは二年前に回帰した。 なぜ回帰したのかはわからない、だけど彼女はやり直すチャンスを得た。 脇役のような立ち振る舞いをしていたが、今度こそ自分の人生を歩む。 「たとえ本物の悪女となろうと、私は今度こそ人生を楽しむわ」 ◆書籍化、コミカライズが決定いたしました! 皆様の応援のお陰です、ありがとうございます! ※短編からの連載版となっています。短編の続きは5話からです。 短編、日間総合1位(5/1) 連載版、日間総合1位(5/2、5/3) 週間総合1位(5/5〜5/8) 月間総合2位
8 66転生先は異世界學園
黒野凪咲は至って普通の女子高生 だったが交通事故で 死んでしまう。 しかし女神を名乗る女性に 生き返らせてもらい 魔法學園に入り 彼女の學園生活は幕を上げる。
8 189天の仙人様
殺人鬼に殺された主人公はたった一つだけ犯してしまった罪のために天國へ行けず、輪廻の巡りに乗ることになる。しかし、その場にいた大天狗は主人公の魂を気に入り、仙人への道へと歩ませる。主人公はそれを受け入れ一歩ずつ仙人への道を上っていくのである。生まれ変わった場所で、今度こそ美しく人生を生きる男の物語。
8 58Re:legend
いつも通りの生活をしていた主人公涼宮竜何故かしらんが変なやつらに異世界に召喚されたあげくわけのわからないことに付き合わされる… 何故召喚されたのが僕だったんだろう… 感想等お待ちしてます。書いてくださると嬉しいです。
8 57獣少女と共同生活!?
ある日、朝倉 誠は仕事帰りの電車で寢てしまい、とある田舎に來てしまう。 次の電車まで暇つぶしに山へ散歩に行くと、そこにはウサギのコスプレをした少女がいた。 彼女から帰る場所がなくなったと聞いた誠は、自分の家に招待。そして暫くの間、一緒に過ごすことに。 果たして、彼女との生活がどのようなものになるのか? ※作者からの一言 この作品は初投稿で、まだ不慣れなところがあります。ご了承下さい。 また、投稿間隔は気まぐれですが、金曜日に投稿出來るように努力します。毎週ではないですが……。 1話あたりの文字數が1,000〜2,000文字と少ないですが、ご了承下さい。 リクエストなども隨時受け付けています。全ては不可能ですが、面白そうなものは採用させて頂く予定です。 また、小説投稿サイト「ハーメルン」でも投稿しているので、そちらも宜しくお願いします。
8 160ワールド・ワード・デスティネーション
僕はあかりに何が出來たのだろう。 戀人「あかり」を突然失った僕が體験した夏の冒険ストーリーと、平和な瀬戸內の島で暮らす少女の不思議な世界。 ぜひ瀬戸內海の穏やかな海を想像しながら読んで欲しい、一夏の物語。
8 142