《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》32.蝶々が舞う

數日にわたって続けられたレッスンがようやく終わり、私はフレイに戻ることができた。

「ただいま、ポワールさん」

「おかえり~。お土産お土産!」

「はい、勿論買ってあります」

わくわくしているご様子のポワールに、チョコがった小箱をプレゼント。

とある地方の名産品で、マリーが調達してくれたものだ。

ほろ苦いチョコの中にメロンジュレを閉じ込めたお菓子で、私も食べさせてもらったがとても味しかった。

これなら、ポワールも喜んでくれると思う。

「わあっ、私チョコ大好きだから嬉しい。ありがとう~」

よしよし。

「そういえばフレイがいない間に大事件発生してたんだよね」

「大事件?」

「ユリウス様、よぼよぼのおじいさんとダンスしたんだけど、その人をぎっくり腰で診療所送りにしたんだって」

「なんて?」

わけが分からなくて、脳が理解することを拒んでいる。

「ユリウス様がダンスホールで中腰の男の人と踴ってるところを見た庭師がいるの。だけどその後でおじいさんの悲鳴が聞こえたらしくて、腰をやったんじゃないかって話」

「それは大変なことで……」

中腰の男は多分を酷使して疲れ果てた私で、悲鳴は屋の修理中に足をらせて落ちた大工のものだろう。

この屋敷では、本當に変な噂がよく広まるものだなぁ……

それにしても謎の裝チェンジといい、ユリウスの言といい、なんか々と引っかかる。

いつもは溫厚な格のユリウスが、踴っている最中に急に手を離したり、怖い顔で手を強く握って來たり。明らかに緒不安定な様子だった。

もしかしてあの人って……

そんなことを考えていると、ポワールが何かを差し出してきた。

「お土産のお禮に、蝶々のクッキーあげる!」

「え、あ、ありがとうございます……」

お土産を渡して、そのお禮としてお菓子をもらうなんて初めての経験だから、し驚いてしまった。

それは渡されたクッキーのクオリティーが、高いせいもある。

蝶の形を本そっくりに型どっているだけじゃなくて、マジパンで翅の模様の細部まで綺麗に描かれている。

もはや、蕓品の域に達しているのではないだろうか。

「こんなすごいもの、もらってしまっていいんですか?」

「いいのいいの。私はいっぱい食べたから」

「……それじゃあ遠慮なく」

片方の翅を齧ると、マジパンの甘さと生地の香ばしさが口の中に広がった。

「とっても味しいです」

「でしょでしょ~? あ、それと今晩は、ユリウス様もアニス様も夜會に出席するんだって。知ってるとは思うけど、一応教えておくね」

夜會。その単語を聞いてドキッとする。

ユリウスの妻として出席するわけだが、私にとってはこれが社界デビュー。

張しないわけがない。

しかしポワールとこうしておしゃべりしていたおかげで、それも大分解れた気がする。

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