《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》52.リーヴェ家
早速このことをマリーに話すと、彼は「ありがとうございます」と私に頭を下げた。
メイド長であるマリーは、この屋敷で働く全ての使用人の仕事を把握・管理している。
全を取り仕切る人間がいなくなったら現場が混してしまう。なので彼が、オラリア家から離れるわけにはいかなかった。
「ユリウス様には、私からお伝えしておきますので」
「……よろしくお願いします」
私を気遣ってくれているのだと分かり、私は素直に甘えることにした。
「それからアニス様、一つお願いがあります」
「何でしょうか?」
「くれぐれもご自くださいと……母に伝えていただきたいのです」
マリーは、穏やかな聲で私にそう頼んだ。
リーヴェ伯爵は二年前に病で亡くなり、現在は夫人だけが使用人たちと暮らしているそうだ。
口には出さなくても、実家のことが隨分と気がかりだったんじゃないかな……
翌日の早朝。私は數日分の著替えがったトランクを持って、馬車に乗り込んだ。
見送りにはポワールが來てくれた。
「いってらっしゃーい。廚房は私に任せて!」
ビシッと親指を立てて言うと、屋敷へとすぐさま戻っていった。
これを言うために、朝のミーティングをわざわざ抜け出して來たらしい。
私は笑いながらポワールを見送ってから、執務室の窓を見上げた。
カーテンが閉め切られているから、まだ眠っているのだと思う。
し寂しさをじていると、馬車が走り出した。
住み慣れた屋敷が次第に遠ざかって行く。
一瞬、執務室のカーテンが揺れいたような気がした。
リーヴェ邸は、馬車で數時間の郊外にぽつんと佇んでいた。青い屋が特徴的な屋敷を、深緑の木々が取り囲んでいる。
花壇にはタンポポがたくさん育てられていて、まるで黃い絨毯のよう。
大きく深呼吸すると、植のらかな匂いがした。
兎の顔の形をしたドアノッカーで、木製の扉を數回叩くと、中からパタパタと足音が聞こえて來た。
「はーい、どちら様でしょうか」
出て來たのは、優しそうな老婦人。彼は、私を一目見るなり目を見張った。
「あなたは……」
を震わせるその様子に、私は目を瞬かせる。
すると、老婦人の後ろからひょっこりと顔を出したメイドが、「ああ」と合點がいった様子で聲を上げた。
「奧様……多分この方ですよ。オラリア家からのお手伝いさんって」
「あ、はい。フレイと申します」
私がそう名乗ると、メイドは驚いたように老婦人へ目を向けた。
しかし老婦人はそれに気づいていないのか、私に微笑みかける。
「私は、リーヴェ伯爵夫人のベアトリスと申します。よろしくお願いしますね、フレイさん」
先程見せた揺をじさせない穏やかな笑みだった。
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