《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》63.地下での再會
どこへ連れて行かれるのだろう。
私は恐怖をじながら、窓の外にずっと目を向けていた。
暫くすると、馬車が見知った道を走っていることに気づく。
何だか嫌な予がする。
「著いたぜ。さっさと降りろ」
私の実家、ロートリアス邸の前で馬車は停まった。
男が呆然とする私を、強引に外へ連れ出す。
男に引き摺られるようにして屋敷へると、使用人たちは私を見て笑っている。
そして私は、地下牢へと連れて行かれた。
屋敷に不法侵した者を捕らえておく場所だと、小さな頃に父から聞いたことがある。
「おら、この中にれ」
「きゃっ!」
男は私を鉄格子の檻の中へ突き飛ばすと、すぐに口の鍵を掛けてしまった。
「なっ……ここから出してください!」
「嫌だね。お前をここにれろって命令されたんだ」
「誰がそんなことを……!」
「私たちだよ、アニス」
男の背後に、人影が見える。
聲の主は父だった。
檻の中にった私に、冷たい眼差しを向けている。その隣には母の姿もあった。
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「いつ見ても不細工な顔ね。本當に私の娘なのかしら」
「お父様……お母様……?」
この狀況は一……
困しながら二人の顔を互に見ていると、父が冷ややかな聲で言う。
「アニス……お前さえいなければ、ソフィアはあんな目に遭わなかったのだ」
「あんな目って……」
「そうよ! あんたがオラリア公爵に頼んで、あの子を修道院送りにしたんだわ! なんて酷い姉なの!?」
母がヒステリックにぶ。
違う。ソフィアを修道院に送ると決めたのは、マリカード伯爵夫妻だ。
だが母は、私の言葉を信じてくれるだろうか。
「可哀想に。ソフィアは一生修道院から戻れないかもしれないのだ。だからアニス、お前にもたっぷりと苦しんでもらうぞ」
「……それは、私を殺すということでしょうか?」
絞り出すような聲で問うと、父は「いいや」とを吊り上げた。
「殺したら、それで終わりだろう? だからこの牢獄に一生閉じ込めることにした。世間にはお前は失蹤したと公表してな」
「本気ですか!? 私がいなくなれば、オラリア家からの援助も打ち切られますよ!」
「構わんさ。既に支援金は充分いただいたからな。お前はもう用済みだ」
「どうせオラリア公爵だって、あんたみたいな気な、うんざりしていると思うわ。あんたが消えて困る人間なんて、誰もいないのよ」
両親の言葉がに突き刺さる。
そんなことはないと否定したいのに、言葉が出てこない。
「さて、私たちはそろそろ上に戻るか。食事の時間だ」
「ああ、ちょっと待ってください旦那」
父を引き留めたのは、私を拐した男だった。
「こちらをどうぞ。あの娘がつけてましたよ」
そう言って父に差し出したのは、ルビーのバレッタだった。
私はハッとして、自分の髪をる。盜られたことに全然気づかなかった。
「あら、綺麗ねぇ。オラリア公爵にいただいたのかしら」
「か、返してください! それはとても大切なものなんです!!」
私は鉄格子を握り締めながら、聲を張り上げた。
ベアトリスが私にくれた、フレイの形見。誰にも渡すわけにはいかない。
だが母は、笑みを深くして言うのだった。
「このバレッタは、私が貰ってあげるわ。こんな高価なもの、あなたには勿ないもの」
「返して! お願いだから……!」
「ふふっ。質屋に持って行ったら、さぞや高値がつくでしょうよ」
両親と男が地下から出て行く。
私はその景を、睨みつけていた。
バレッタが奪われてしまったのだ。絶対に取り返さないといけない。
その強い思いが、私をい立たせる。
まずは牢屋から出しなければ。松明のだけが頼りの、薄暗い地下牢を見回す。
「何か使えそうな道は……ないかぁ」
そんなものが都合よく落ちているはずもなく、私はがっくりと項垂れた。
そして、地下牢に閉じ込められてから、數日が経った。
食事は一日に三回。
ただし運ばれてくるのは、固くて酸っぱいパンと、薄味の野菜スープだけ。
何も口にれないよりはましだが、流石にこの食事もそろそろ辛くなってきた。
お風呂もらせてもらえないから、がちょっとかゆい。
早く獄の方法を思いつかないと。スープを飲みながら、そう考えている時だった。
「あ……!」
私は今自分が持っているを見て、ある考えがピンと閃いたのだった。
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