《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》67.アニスを求めて

ユリウスは早速、牧場主に馬を借りたいと頼み込んだ。

あの白馬で人探しをさせると聞かされた牧場主は、「えぇ……?」と困の聲をらした。

「あいつ、かなりの馬鹿ですよ。他の馬を使った方がいいんじゃ……」

「いや。こちらをまっすぐ見據える目に、高い知じたんだ。……私はそれに賭けてみたい」

「多分、餌をしがってたんじゃねぇかなぁ」

そう言いながらも、牧場主は馬を用意してくれた。

それらを白馬に手早く裝著させていく。白馬はその間暴れ出すことなく、じっと耐えていた。

ミルティーユがご褒に人參を差し出すと、ボリボリと味しそうに食べ始める。

「ほぉ~……こいつがこんなに大人しくしてるところなんて、初めて見ましたよ」

牧場主が心した様子で言う。

「では行ってくる」

準備も整ったところで、ユリウスが白馬に乗った時だった。

「ちょっと! 私も連れて行きなさいよー!」

ミルティーユは白馬の前で両手を広げて、通せんぼした。ユリウスの「危ないから、急に目の前に立つな!」という怒號が、青空の下に響き渡る。

「何でお前までついて來ようとするんだ!」

「べ、別にいいじゃないのよ、暇なんだから!」

「……あのな、ミルティーユ。俺がのお前にしがみつかれて、まともに馬を走らせることが出來ると思うか?」

「キィ―――ッ!」

金切り聲を上げる従姉妹を放って、ユリウスは白馬の腹部を軽く蹴った。

「ヒヒーンッ」

白馬は高くいななくと、軽やかに走り出した。

ミルティーユがぐぬぬと悔しそうに拳を握り締めていると、「ミルティーユ様」と彼を呼ぶ聲が。

「アニス様を探しに行くのでしょう? 私の後ろにお乗りください」

の馬に乗ったマリーだった。

「あんた、馬に乗れるの!?」

「メイド長として、このくらい出來て當然です」

「そ、そう……」

マリーとミルティーユを乗せた馬が、ユリウスと白馬の後を追いかけていく。

その場に一人取り殘された牧場主は、ぼそりと呟いた。

「メイドさんが乗ってたのって、うちの馬だったような……」

まあ、後でちゃんと返してくれればいいか。

そう考えながら、牧場主は「二頭とも頑張れよ~」と呑気に手を振るのだった。

ユリウスを乗せた白馬が、とある建の正門前で立ち止まって「ブルルル」と啼く。

「……どういうことだ?」

アニスの生家であるロートリアス邸を見上げ、ユリウスは眉を顰めた。

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