《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》68.対峙
「ユリウス様、こちらはロートリアス家ではないのですか?」
後ろから聞こえた聲に振り向く。そこには馬に乗ったマリーと、何故か青ざめた表で彼にしがみつくミルティーユの姿があった。
「こ、このメイド、馬のスピード出しすぎなんだけど……!」
「文句ならば、ユリウス様に仰ってください。私も追いかけるのに必死だったのです」
マリーは何食わぬ顔で、主人に責任転嫁した。
「マリー……ミルティーユはともかく、どうして君も來たんだ。これは私の問題なのに」
「いいえ。ユリウス様お一人では不安ですので、私もご同行させていただきます」
「そうよそうよ。あんた、私が來るまで萎びた植みたいになってたくせに!」
どちらの言葉も図星である。ユリウスは何も反論出來ず、ぐっと息を詰まらせた。
「ねぇ、そんなことよりもロートリアス家ってアニスの実家よね? だけど、ここにも帰って來ていないって話じゃなかった?」
「ああ。そのはずだが……」
「ちょっと、馬! アニスは本當にここにいるんでしょうね!?」
マリーの後ろから地面に降り立ったミルティーユが、白馬に詰め寄る。
「ブルァァァッ」
白馬は「俺を信用していないんか、ワレ」とばかりに、歯剝き出しで威嚇した。ミルティーユが「キャー」と悲鳴を上げながら後ずさる。
その様子を呆れ気味に傍観していたユリウスは、ふと何者かの視線をじた。
周囲を見渡すと、玄関付近にいたメイドがこちらをじっと見ていた。ユリウスと目が合った途端、お辭儀をすることもなく慌てて屋敷に戻って行く。
何かを隠しているのだろうか……?
メイドの様子に、ユリウスは違和を覚えた。
「如何しますか、ユリウス様」
「……ロートリアス男爵と話がしたい。ひょっとしたら、何か手がかりを摑んでいるかもしれないからな」
ロートリアス邸を見上げながら、ユリウスはそう言った。
ロートリアス家の使用人たちは、突然の訪問客にひどく狼狽していた。
ユリウスたちを応接間まで案すると、「々お待ちくださいませ」と出て行ったきり、戻って來る気配がない。
こっちから會いに行ってやると息巻くミルティーユを制止していると、ようやくロートリアス男爵夫妻がやって來た。
「ようこそお越しくださいました、オラリア公」
笑顔で握手を求めて來たロートリアス男爵に、ユリウスは素直に応じた。
夫人は恭しく頭を下げた。その後頭部には赤い寶石のバレッタを著けており、窓から差し込むを反してキラリとりを放つ。
だが夫人は頭を上げた直後に目を大きく見開くと、バレッタを素早く外してドレスのポケットにしまった。
隣でそれを見たロートリアス男爵も、僅かに強張った顔をしている。
「はは……さて、本日はどういったご用件でしょうか」
「ねえ。アニスは、本當にここにも帰ってきていないのかしら?」
単刀直に切り出したのはミルティーユだった。
ロートリアス男爵は、その問いかけに首を縦に振った。
「はい……まったく、あの馬鹿娘め。どこをほっつき歩いているのやら」
溜め息混じりに言うロートリアス男爵に、ユリウスはぴくりと眉をかした。
「彼は、何者かに拐された可能もある。自分から姿を消したと決めつけるのは、まだ早いと思うのだが」
「……それもそうですな。いや、私ども夫婦もアニスのことはとても心配しているのです」
「ええ。早く見付かるといいのだけれど」
頬に手を添えつつ、夫人が悲しそうに言う。
とんだ三文芝居だな。ユリウスは冷ややかな視線をロートリアス男爵夫妻に向けた。ユリウスに咎められたから、アニスを心配する振りをしているようにしか見えない。
「さて……大変申し訳ないのですが、そろそろお帰りいただけないでしょうか? 実はこの後、私も妻も大事な用事があるのです」
「……ああ。本日は突然押しかけて來てすまなかったな」
「いえいえ。アニスのことで何か分かりましたら、すぐに教えてください」
びるような笑みを浮かべるロートリアス男爵に、ユリウスは「約束しよう」と頷いた。
【書籍化】その亀、地上最強【コミカライズ】
ブルーノは八歳の頃、祭りの出店で一匹の亀を手に入れた。 その亀、アイビーはすくすくと成長し続け……一軒家よりも大きくなった。 ブルーノはアイビーが討伐されぬよう、自らを従魔師(テイマー)として登録し、アイビーと一緒に冒険者生活を始めることに。 昔のようにブルーノの肩に乗りたくて、サイズ調整までできるようになったアイビーは……実は最強だった。 「あ、あれどうみてもプラズマブレス……」 「なっ、回復魔法まで!?」 「おいおい、どうしてグリフォンが亀に従ってるんだ……」 アイビーによる亀無雙が今、始まる――。 5/28日間ハイファンタジー1位! 5/29日間総合3位! 5/31週間総合5位! 6/1週間総合3位! 6/2週間ハイファンタジー1位!週間総合2位! 6/14月間5位! 【皆様の応援のおかげで書籍化&コミカライズ決定致しました!本當にありがとうございます!】
8 198【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔術師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】
※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
8 171ブアメードの血
異色のゾンビ小説<完結済> 狂気の科學者の手により、とらわれの身となった小説家志望の男、佐藤一志。 と、ありきたりの冒頭のようで、なんとその様子がなぜか大學の文化祭で上映される。 その上映會を観て兄と直感した妹、靜は探偵を雇い、物語は思いもよらぬ方向へ進んでいく… ゾンビ作品ではあまり描かれることのない ゾンビウィルスの作成方法(かなり奇抜)、 世界中が同時にゾンビ化し蔓延させる手段、 ゾンビ同士が襲い合わない理由、 そして、神を出現させる禁斷の方法※とは…… ※現実の世界でも実際にやろうとすれば、本當に神が出現するかも…絶対にやってはいけません!
8 66ファルダーミール -明日の世界-
どこにでもいる普通の高校生。 甘奈木 華彌徒[カンナギ カヤト]は、平和な日常を送っていた。 顔も性格も家柄も普通な彼には誰にも……いや……普通の人には言えない秘密があった。 その秘密とは、世に蔓延る亡者、一般的に言えば幽霊や妖怪を倒すことである。 ある時、友人にその事がばれてしまったがその友人はカヤトに変わらずに接した。いや、むしろ、自分からこの世ならざる者と関わろうとした……。 ───────────────────── 【目指せ、お気に入り1000人達成!?】 2018/10/5 あらすじの大幅改変をしました。 【更新は気長にお待ち下さい】 ─────────────────────
8 111天才と煩悩
小さい頃から天才と稱されていた泉信也 怪我によって普通へと変わってしまう そんな泉信也にある出來事をきっかけに 自分への考えなどを変える 新たなスタートを切る泉信也 そんな中、煩悩であった木下と出會う 天才と煩悩の二人が協力し兇悪なテロリストに向かう 天才と煩悩が作り出すストーリー 初めての小説です 掲載は毎週月曜日更新です よろしくお願いします
8 132幻影虛空の囚人
プロジェクト「DIVE」と一人の犠牲者、「So」によって生み出された究極の裝置、「DIE:VER(ダイバー)」。長らく空想の産物とされてきた「ゲームの世界への完全沒入」という技術を現実のものとしたこの裝置は、全世界からとてつもない注目を集めていた。 完成披露會の開催に際して、制作會社であり技術開発元でもある「吾蔵脳科學研究所」は、完成品を用いた実プレイテストを行うためにベータテスターを募集した。 その結果選ばれた5名のベータテスターが、新たな物語を繰り広げる事となる。
8 87