《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》最強はクランを作る①

黒の言葉をのらりくらりとわしていたら元クラメンの先生と宮ネェまで合流した。三人がかりでクラン立ち上げを力説されてしまった私は、渋々クランを立ちあげる約束をすることに……。

前日の話をすっかり忘れてログインした私に、黒から談がる。今日なら人數いるし、今から必要なクエストをやるぞと告げられた。

諦め半分了承した私はまず大聖堂――城を所有する大都市にのみある神殿みたいな聖堂だ――で、クエストをける。

今回選んだ城下街は、神の名を冠する【ヘラ】だ。

ヘラは、中央に広場があり、そこから東西に分斷された街並みになっている。

東はNPCが暮らす住民區で、クエストなんかでお世話になる區域。

西はプレイヤーが店を開いたりクランハウスが立っていたりする區域と商業區、大聖堂やポータルなんかもある。

ポータルから降りると、すぐに目的地が目にった。

大聖堂は、フランスのシャルトルにある、シャルトル大聖堂をそのまま移させてきたかのようなしさを湛え佇んでいる。

相変わらず綺麗だな。と再確認して、口を潛る。

聖堂部はバシリカ型と呼ばれる十字の形になっており、正面にクエストをける司教的NPC――フラシヌさんが立っていた。

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探す必要も無くフラシヌさんの前へ行き、彼を視界に収めれば會話するかどうかの選択が出る。

今回はクエストをけるため會話をするの方を選択して、話しかければ視線上にウィンドウが現れ選択肢が表示される。

・ 大聖堂について質問をする。

・ 大聖堂に寄付を収める。

・ クランを作る。

・ 転職する。

・ 一日奴隷になる。

間違い無いか確認するためリストを良く見れば……奴隷って。こんなところに、罠張らなくてもいいのに……。

興味本位で奴隷もやってみたいけれど、今回はクランを作るをタップ。

新しく立ち上がったウィンドウから、クエスト容が表示される。わざわざウィンドウを読まなくてもフラシヌさんが喋ってくれているのでそちらを聞く。

容を簡潔に纏めるとこんなじ。

Lv十以上のキャラクターであること。以下のリストのを集めて持ってくること。

――仲間と協力しナイアスにある【 誓いの湖 】周囲に湧くモブから、アイテム=誓い(水)を二十五個集めること。

――仲間と協力しドリアスにある【 誓いの森 】周囲に湧くモブから、アイテム=誓い(木)を二十五個集めること。

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――仲間と協力しネペレにある【 誓いの山 】山頂付近に湧くモブから、アイテム=誓い(空)を二十五個集めること。

――仲間と協力しネキュレネにある【 誓いの跡 】周囲に湧くモブから、アイテム=誓い(地)を二十五個集めること。

「はぁ~~~マジ、メンドクサイ……」

クエスト容のだるさに、ついつい溜息と本音がれてしまう。

病ゲー故にアイテムのドロップ率は、非常に悪い。

クエストに必要なアイテムでさえ、その確率は五十分の一である。それを二十五個ずつ集めて來いと言われている。

あぁ、ヤバイ。クラン創設を止めたい気分になってきた。これこのまんまぶっちしたら、確実に黒たちが切れるよね。いやだけど、本當に面倒だけど……仕方ない。

再び大きな溜息を一つ落として、クエストを諾。ピコンと軽快な音がなり、フラシヌさんが超絶いい笑顔で「頑張って下さい」と、勵ましてくれる。去り際、手を振る彼の頭上に!マーク――クエスト中である表示がされていた。

気分転換ついでに善悪の塔にでも登ろうかと一瞬考え、皆が待ってるんだろうなと諦める。

私の行を読んだように、タイミングを見計らった宮ネェから談が屆く。

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”宮様” renクエけた~?

”ren” ……今すぐクエ拒否したい。

”宮様” 卻下で、こっちは準備終わってるから、準備してナイアス集合ね!

”ren” ……マジでやるの?

”宮様” や・る・の!

”ren” あぁ~。

倉庫により、必要な消耗品を取り出す。その後、NPCが運営する鍛冶屋に寄り、裝備の耐久を戻した。

宮ネェの指定したナイアスは【 ヘスティア 】と言う城下街から、さらに北東へ行った所にある村で誓いの泉が側にある。

ポータルを降りると今回のクエストを手伝ってくれる皆が揃って、待っていた。

參加者は黒龍――盾、白聖――弓、宮様――回復、大次郎先生――大鎚、キヨシーー攻撃魔法職、ティタ――雙剣使い、宗之助――暗殺者、さゆたん――攻撃魔法職と私――バフの計9人だ。

一PTあたり八人までと決まっているため、四、五に別れてPTを組むと、連合――PT同士の會話とバフ、得た経験値、ドロップを自分配にできる。但し、視認できる範囲にいればと付く――を組んだ。

「うんじゃま、行きますか~」

『キヨシ、白チャになってる』

『おぃ。キヨシ道そっちじゃねーよ』

『キヨシは、相変らずダメでござるな!』

意気揚々と走り出した、ボケをかますキヨシの白チャに宮ネェが突っ込み、走って行った方向に黒が更に突っ込んだ。

楽し気に笑った宗之助が最後に突っ込むと皆が、楽し気に笑い聲をあげた。

基本ソロメインの私だが、このメンバーと狩りは好きだ。馬鹿な事をしたり、無茶をしたり、やりたい放題だけれどバランスもいいしきやすい。

ナイアスの街から、北東に進みナイアス森林を抜け歩くこと三十分。青く煌めく誓いの湖へ到著する。

誓いの泉に出るモンスターは全て水屬で、出現するモンスターは四種類。リトルウンディーネ、シーキャット、シークラブとクラゲ。

海じゃないのに、シーって付くあたり適當な名前を付けただけのような気がしなくもない。

『バフれる』

バフは人數が増えれば増えるほどMP管理がシビアになって行く。今回のような狩りでは、一人ずつ疎らにれるより一気にPTごと、もしくは連合でれた方が管理しやすい。

範囲を外れてそうなPTメンバーに聲をかけ、側に來てもらうと連合でも使えるバフを選んでれていく。

エレメンタル エンチャント(+25)

マジック オブ ワイルド(+25)

マジック オブ ボディ(+25)

マジック オブ スピリット(+25)

マジック オブ マインド(+25)

マジック オブ シールド(+25)

ドラゴンマスター エンチャント:DEX(+5)

(DEX+7)

ドラゴンマスター エンチャント:STR(+5)

(STR+7)

ドラゴンマスター エンチャント:INT(+5)

(INT+7)

ドラゴンマスター エンチャント:MEN(+5)

(MEN+5)

バフをれ終わり、引きを始めていいと伝えて他に必要そうな個別バフを時間をおいてれる。

『相変らず、renのバフだとが軽くじるわw まー、釣ってくる』

『俺も行ってくるね~』

黒が珍しく褒めてくれたかと思うと走り出す。黒に追従する形でティタもモブを釣りにいった。

殲滅の破壊者――元クランの頃の癖だと思うけど、こうして元クラメンが集まると何故か必ずと言っていいほど範囲狩りになる。

まー今回はさゆたんとキヨシが居るからだろうけど、釣り役の黒とティタ――戦士職は毎回走らされて大変そう。回復が宮ネェだから、死ぬことはないだろうけど……。

『しかし、ドラゴンマスターなんて職、良くそこまで育てたわね~』

『だな。私もren見て育てようと思って、三次職までやったけど。Lv五で覚えるはずの魔法書が一ヵ月狩場に篭っても出なくて……萎えた』

『わかる。俺もさーやろうと思って諦めた!』

『キヨシ……それ、作っただけって言わないか? そう言えばドラマスの魔法書一冊いくらすんの?』

『拙者は無理でござる故、renを尊敬するでござるよ~』

『あたくちもドラマスになりたかったでしゅが……。嫁がこれ以上ゲームに時間かけるなら娘連れて実家に帰るって言うから、諦めたでしゅ』

ロリ絶壁エルフの宮ネェがシミジミ言えば、もじゃ髭ドワーフっぽい何かの大次郎先生が萎えた話をする。キャラを作って終了したキヨシに、白聖が突っ込む。

褒めてくれる宗之助に謝しつつ、さゆたんの逸話に耳を貸す。

宮様こと宮ネェは、リアル男だ。ゲームだけっぽい喋り方をする。格は、溫厚? いや、溫厚と言うよりは結構きつい? まー、とにかくいい奴で、用だけれど何故か料理にだけはその用さがない。

大次郎先生こと先生は、見た目こそ髭もじゃぼっさなずんぐりむっくりだが、元クラン唯一の良心である。常に冷靜沈著でクラメンを上手く纏めてくれた。私にとっては、本當に先生みたいな人だ。たまにとんでもないことを言い出すので注意が必要。

忍者口調の癖にイケメンシャム貓獣人の宗之助は、リアルでも本気で忍者を目指しているらしい。格は、お茶目で可い。人の好かない事は言わないし、良く私の実験にも付き合ってくれる。

キヨシは、見た目ヒューマンの筋ダルマなのに魔法職を選ぶキチガイ。格は、明るく冗談好きで、人を笑わせる事が好き。裝備の強化に全全霊を駆ける余り、んな人に借金がある借金王でもある。元クラメンからは三馬鹿の一人と呼ばれたりしてた。

白聖こと白は、見た目エルフのイケメン風。リアルでも本當にイケメンらしい。見た目が良くてもフラれる理由は、格が非常に殘念なうえに巨好きなせいだろう。ゲームの白は、弓職として間違いなく上位にるほど上手いし、判斷力も悪くない。

さゆたんは、娘至上主義だ。キャラ名も自分の娘の名前を捩り(もじり)さゆたんととしたらしい。獨特的な語尾も娘に由來するし、一人稱をあたくちと呼んでいるのも娘さんに由來。

まぁ、元ヤンが子煩悩になるのは良くあること……。

病ゲーの職行についてはしややこしい。

まず、ゲーム開始時に選択できるのは一次職の二種類のみ。

一次職をLvカンストまで上げれば、二次職十六種類が選択可能となる。

二次職の職業選択次第で、三次職の選択肢が変わる。

二次職に転職すると同時にそれまで上げたLvはゼロになり、Lv百――カンストを再び目指す事になる。

二次職になると取得経験値も大幅にかわるため中々しんどいのだが……三次職よりはマシ。

カンストすると今度はサブ職業を選択できるようになる。

サブ職業と言うのは、メインとは違うクラスを選択でき、サブ職業をカンストまで持っていくとメイン職業でサブ職業のスキルが幾つか使えるようになる。同じものを選んでもいいのだが、三次職の職業に選択幅がなくなるのでお勧めしない。

サブ職業がカンストすると漸く三次職になれる訳だが、私は敢えて拒否した。何故かと言うと回復がしかったことと、三次職へ転職する際、表示された職業が公式に上がっている個數よりなかったせいだ。

私の事は置いておいて、三次職になるのを拒否すると第二サブ職業と言うものが選択できるようになる。それを選択すると、カンストした際に隠し職業が表示される。

私が選んだドラマスもこの隠し職業の一つで、基本ここに居るメンバーは皆隠し職業を選択している。

簡潔にドラマスになる方法を説明するとこんなじだ。

一次職をメイジ。

二次職でウィザードを選択。

サブ職業にグラディアートルを選び、三次職になることを拒否して第二のサブ職ドラゴンライダーを選ぶ。

全てをカンストさせることで三次職にドラゴンマスターが表示されるようになる。

結局、回復を取りたいと言いながら、全く違うものを選んでしまっているのだが気にしないでしい。

『正直、魔法書があるわけじゃないから、お勧めはできない』

『それな!』

『まー、マゾイわよね~』

『十』

ティタの合図に、會話を止め攻撃準備をはじめる。

纏める角に、設置型のデバフをしかけるのが私の仕事だ。

水屬は風屬に弱いことを考え、設置するデバフ魔法は風系の魔法を選ぶつもりだが……風系にデバフ自がない……。

・ポイズンクラウド(+20)

・バインド(+18)

仕方なくこの二つを設置しておいた。

『來る!』

先生の言葉と同時にティタと黒が大量のモブを引いて角にり込む。

『ok』

『k』

2人の合図と同時に、黒がレンジヘイト――まとめて一気にタゲを執るスキル――を使い。

宮ネェが回復職だけが使える十秒だけ連合全員が無敵になるバリアを発させ、さゆたんとキヨシが同時に風魔法テンペストで攻撃をしかける。

タゲが流れるのを防ぐため、バインド(+18)を発させると、宗之助、先生、黒、ティタ、シロが槍を使ってまとめてダメージをたたき出す。

キン! キン! ボフ! キン! キン! キン! ボフ!

クリティカルヒットの音――失敗の音が極まれにるが――鳴り響くと、半分程のモブが既に黃い粒子になっている。

もう一度、設置型のバインド(+18)を設置発させた。

HPの減り合を確認しつつ、宮ネェが回復を飛ばしていく。

バフを切らさないよう、時間を確認しつつ個別にヘイストⅡ(+25)を更新していく。

MPがきつそうな、キヨシ、さゆたん、宮ネェにMPドレイン効果のある、マジックオブアブソール(+25)をかけたところで一度目の狩りが終わった。

大量に流れるシステムログを確認すれば、誓い(水)は五個ドロップしているようだった。

修正:キヨシの存在忘れてたので、途中追加してあります。

加筆修正:転職に関してのあれこれ……。

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