《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》最強はクランを作る④
ドリアスに戻ると、オフにしていたPTチャットを開いた。
すると、皆戻っているようで、全チャで誰かが殺されたとんでいると言う話題の話しをしていた。
『ただいま』
『うん。つか、あいつがなんかやったんだろ?』
『おかえり』
『おかー。ren、狩り楽しかったか?』
『おかえり。飯食わず狩りするとか流石、廃人!』
『おかえり。なんで狩っちゃったの?』
『ん。最初だけは楽しかった』
シロが、ティタの言葉に返事をするのをぶった切り會話にれば、即座にキヨシが楽しかったか聞いた。先生が廃人と褒め、宮ネェが理由を聞いてくる。
素直に、最初だけと答えておいた。
『おかでしゅ。最初だけなんでしゅか?』
『おかえりでござる。最初だけって……?』
『おぉ。renおかえり。で? またあの兇悪な笑い浮かべ來たのか?』
數拍置いて、さゆたんと宗之助が意味が分らないと言わんばかりに、質問を返せば、黒が兇悪な笑顔とか言う……。
『一番殺したい奴に逃げられた』
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『そいつの名前は?』
『ドッセイ』
『理由は?』
『善悪の塔で、モブ大量に引いてたから助けてやったら、目の前で帰還遣われてMPKされかけた』
さゆたんたちの質問に答えれば、シロが名前を聞いてくる。撮影したSSで確認した名前を教えると、先生がし楽しそうに理由を聞いてきた。
理由を伝え、さっきの狩りを思い出す。
最初は本當に楽しかった。ワクワクして、だけど殺したい奴に逃げられて――。
やっぱり、いらっとする。
次は、メイジ優先じゃなくて、一番最初にあいつを殺すことにしよう。と心に決めた。
虹に輝く蝶が視界に現れる。ヒラヒラと大きくしい羽をかし、私の眼前までくると弾け消えた。
視界に手紙のマーク現れる。
タップすれば畫面が表示され、信箱――右上Newと赤い文字で新著があることを知らせてくれる――を開けば、差出人名が宮様になっている。
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これ、SSよん
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短いメッセージの表示の下に畫像添付を現すクリップ見たいなマークがあり開いてみれば、全チャで流れていたらしい、文章を切り取り纏めたSSだった。
『ありがとう。後で確認しとく』
宮ネェは、ウィンク付きでいいわよ~と答えてくれた。
私がレッドになっていようと、全く気にしないのは慣れているからだろう。
気づけばさっきの戦闘で重戦士の剣に打撃を與えるため使っていた二刀の耐久が、殘り十をきっている。『ちょっと耐久戻して來る』と言い置き、急いで鍛冶屋へ向う。
このゲームでの武は、耐久がゼロになると破壊されてしまう。破壊と言っても消える訳ではなく、殘骸になるだけだ。
殘骸を持ち込めば修理は可能なのだが、強化値、屬強化値、錬のどれかを必ず失うことになる。
レイドなどの特殊な狀況下では、耐久を戻す専用の砥石がある。
鍛冶屋に到著し、NPCで安くない金額を払い、耐久を復舊してもらい。
皆の元へ早歩きで戻った。
私が共に行することで、他のメンバーが襲撃されるのは忍びない。このメンツだと喜びそうだが、一応警戒は必要とディティクションスクロールを使いマップを確認する。
マップには特に問題がなかったので、行こうとPTチャットで促した。
目的地である、誓いの森はドリアスの街から南に徒歩30分かかる。
その間、できるかぎり周りを警戒しつつ進んでいく。
『あ~。まじで、裝備しいなぁ~』
『お前どうせ、GM(ゲームマスター)に見放されてるから、消滅させるだけだろ……』
『まぁ、キヨシらしいけどね』
キヨシの言葉に、呆れた顔でティタが答える。それに同意する先生はケラケラと笑っている。
突如、キヨシが私へパンと両手を合わせ拝みはじめた。
何事かと首を傾げていれば。
『renに拝んどけば、きっと功する!』
『馬鹿だ』
『確かにでしゅ』
あぁ、やっぱり馬鹿だと思っていると、黒もさゆたんも同じ意見らしかった。
そう言えば思い出し、アイテムボックスを開いてみれば、さっきの狩りで拾った +13ロングボウがっていた。
後で、返さないと……。
掲示板に上がっていたと言うクエストの攻略報などの話して、歩いているとすぐに誓いの森へと到著した。
他にもPTがいることなども考え、周囲を一周まわってみる。
人気がない狩場のせいか私たち以外のプレイヤーはいなかった。
嵌めやすそうな大木同士が折り重なった場所を確保し、バフをかける。
『バフ』
前回とかわらないバフをれていく。黒とティタにはヘイストⅡ(+25)も追加しておく。
二人がモブを釣るため走っていくのを見送り、キヨシさゆたんの二人にマジックオブアブソール(+25)をかける。
この狩場のモンスターの屬は水と地になる。
設置型魔法のアースバインドの効果が出にくい屬がいる。強化してあるし、ここのLv帯のモブならば、問題はないだろうと同じ魔法を設置しておく。
『十五』
ティタのカウントがる。頭の中で5秒數えてから先生、シロ、宗之助にヘイトⅡ(+25)と攻撃力UPを狙って、ファイヤー ウェポン(+25)をかける。
ティタと黒がジグザグに走り、お互いのタイミングを計ると、木の隙間へとり込んだ。
レンジ ヘイトのエフェクトがあがり、引いてきたモブが重なり合う。
黒が、槍に持ち替え攻撃をはじめる。りきれず、バラけたモブもティタが、ソードスプリットを使いダメージを與えることで、引き寄せる。
ティタが、武を持ち替えたところで、2人にもファイヤー ウェポン(+25)をかけ、バインド(+18)を発させた。
小気味良いクリティカル音が響く、次々と數を減らしていくモブに、ドラゴン オブ ブレスを浴びせつつ、バフを更新する。
モブが全て消え、二人が引きに行く間にシステムログを確認すれば、あれだけ引いてきたのに、アイテムが一個……。
鬱になりそうだ。
『何個でた?』
『……一』
『マジ?』
『y』
聞いた先生は空を見上げ、キヨシは項垂れ、宮ネェとさゆたんは切なそうに苦笑いを浮かべ、宗之助は乾いた聲で笑っていた。
『戻るぞ』
『十二』
引き役二人の聲に、皆が顔をあげ真面目な表がかわる。
一度目と同じ作業を繰り返す。十四回目の引きで漸く誓い(木)が二十五個になった。
帰りの道すがら、クエストの面倒さを話す。
『クソみたいなドロップ率だな』
引き役で、走ってはモブにボコられるという、マゾな行を繰り返す黒が吐き捨てるように言えば、他のメンバーも無言で頷いていた。
『マゾ過ぎだよー』
『しかし、ゼロは流石に酷いでござるな』
ティタと宗之助が言っているのはきっと、七回目と十回目の引きでドロップがゼロだったことだろう。
流石にあの時は、私ですら空を見上げそうになった。
いくら病ゲーと言うほどマゾイゲームでも流石にドロップゼロはきつい。
『そう言えば、renの名前綺麗なになったわね!』
話題を変えるように、宮ネェが振ってくる。
自分の名前を、表示させてみれば薄いオレンジになっていた。
FPK(フィールド・プレイヤー・キル)と呼ばれる行為。
要は、狩場で白ネームのプレイヤーに対し、攻撃を加えただけで十分間、オレンジに名前が変わる。殺せば、赤。
十人で黒ネーム。
百人で、名前の表示バグり、冥界落ち。
冥界の最奧に落とされたプレイヤーは、通路にいるモブを倒しながらえげつない罠が所狹しと置いてある道を進む。死のうが、ログアウトしようが出口を出るまで冥界から戻ることが出來ない。
私も過去に冥界に落ちたことがある。初めての冥界フィールドに過酷さを知らない私は、無駄にワクワクしていた。
実際に経験した冥界は、巨大迷路のように広いフィールドだった。モブは強いし、迷路は途中で道順が変わるしで、本當に最悪だった。
それ以來私は、必ず百人殺す前に課金したアイテムを使うようにした。運営の商法にもれなくお世話になっていることは腹立たしいが、冥界に行く思いをするぐらいなら買った方がいい。【 清らかな心 】を!
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