《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》最強はクランを作る⑩
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固まりけない黒とティタを、金の大きな矢の形をしたエフェクトが貫く。
「がっ!」
「いっつぅ……」
その衝撃に、二人はうめき聲――衝撃はあれど痛みはほぼないはずなのに――を上げた。
バインドの効果切れまで、殘り2秒だ。自分の使うスキルは長年のでカウントできる。急ぎ、二人から距離をとりスローレンジを発させる。だが、耐を積んでいたか持っていたらしい黒には効かなかった。流石盾職と言うべきだろう。
「チッ」
それでもかかると踏んでいた私は予定が狂い舌打ちする。
次のきを考えているその間に、黒の剣が赤のエフェクトを帯びる。足の速さではティタに及ばないものの流石は戦士職を経由した盾だ。音もなく近付き、を一線しようと右から迫る。
杖でけ止めるにはあまりにも心もとない。急ぎ畫面左下にあるクイック武変更のボタンを押しニ刀に持ち返る。
腰に出現した刀の柄を摑むよりも早く、駆け寄った黒の剣が己の腹部を橫なぎに切り伏せた。
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「ぐっ!」
ダメージを食らい、衝撃で100mほど吹き飛ばされた。を起こそうとして気付く、衝撃のデバフ――剣スキル:一閃パラディンのみが使用できる固有スキルにより、ダメージを追った場合、20%の確立で発するデバフだ――が表示される。
あぁ、これ死んだかな……。
そう思いつつ、遠めに見えるメンバーを確認すれば、黒vs大次郎先生、シロ、宗乃助と1vs3で殺(や)り合っている。
キヨシとさゆたんは、どうしたのだろう? と先ほど遣り合っていた位置を見れば、二人と宮ネェが、芝生に座り完全に見守りの勢で見守っていた。
ティタのスローのデバフが切れているのに気付き、急いでこうとするも未だ、衝撃のデバフでけず、ティタを視線で探せば、シロの後方にティタの死が転がっていた。
いつの間にか倒されていたようだ。
デバフの表示を眺め、カウントがるのを待つ間、黒たちの戦いを見學する。
できることなら、直にでも參加したいのだが、……それしかやれることがない。
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先生は、弓を用に使い、近付こうとする黒の足運びを邪魔している。一歩踏み出せば、その足を狙ったように矢が突き刺さる。それを避けるようにく黒の視力も素晴らしい。
先生の矢を上手く避けつつ、徐々に距離をつめようとすれば、シロの両手剣が暴風のような音を立て襲いかかる。
あれを一撃でも貰えば、メイジはひとたまりもない。
前進するのを諦め後へと異すれば、スキル:バックアタックを使い移した宗乃助から短剣による攻撃を貰うことになる。
ジリジリと左へと追いやられていく、黒。それを追撃するシロ、先生、宗乃助。
なんとも上手いコンビネーションだ。
と、ここで漸くデバフが解除される。必死に戦う彼らに気づかれる前にバフを自にかける。
さて、どうやって切り込もうか?
そのまま行けば多勢に無勢でやられるのはやる前から判っていることだ。
この面子を相手に勝つには、力だけでは足りないと脳を必死に働かせ思考する。
ん……? 楽しくて忘れてたけど、これって負ける為の戦いだったはず……。
それなら折角だしと、ひとつダメもとで試してみようと新しく覚えて、使ったことがない魔法を試してみることにした。
新しい魔法を試すのは、いつでもワクワクするものだ。
顔が緩むのをじつつ、トランスパレンシーを詠唱し明化するとゆっくりと50M手前まで、4人へ近付いた。
杖をかかげ、聲に出し詠唱すれば、トランスパレンシーの効果が消え。姿がになる。
「イリュージョン カリエンテ」
詠唱の言葉を言い終え、かかげた杖がり輝くと、急に決闘場に影が差し始める。
空を見上げれば、澄み渡っていたはずの青空に厚く雷を伴った雲がかかり渦を巻きはじめた。
渦は急速に早まり、渦の中心から雲を割り赤黒いをした何かが徐々に姿を現した。
獰猛な金の目、深く避けた口には鋭い牙が何本も並び、赤黒くる長く太い尾と大きなを支えるのに十分な大きさを持つ雙翼を羽撃かせ、それは轟音と土煙を上げ、私の頭上へと舞い降りた。
「グルォヴォォォォ」
腹の下に隠される形で、呆然とドラゴンの腹を見上げれば、唖然とした表の黒たちへ、威嚇するようにひと鳴きする。
鳴き聲だけで、耳鳴りがなり、地が揺れ平衡覚を失いそうになる。
ゆっくりとした作で、ドラゴンが4本の足を踏ん張り、尾を何度か打ちつけたかと思えば、突然強烈なに視界が覆われた。眩しさから目を背けるよう瞼を瞑った。
濁流が流れるような音が鳴り響き。その音が止むと同時に、瞼を開けば見える範囲全てが紅蓮の炎に包まれていた。
「ぇ……?」
魔法を使った本人でさえこの景の意味がわからない……。
なにがどうなったのか、必死に考えようとするもあまりの事に思考がついていかない。
ドラゴンが赤いエフェクトに変わり徐々に薄れいくと同時に、視界を塞いだ紅蓮の炎が消えていく。
後に殘ったのは、無傷の闘技場とその場に灰の死となった仲間、そして、ポツンと立つ私。
”黒龍” お前なんっっつうものぶち込んでくれてんの!!
黒のマジギレ談に、意識が浮上する。
灰の死が消え、次々仲間が復活して戻ってくる。
「ren。皆に説明してくれるよね?」
ニコニコと笑った先生の言葉に、何故か、冷や汗が止まらない。
どう、説明すればいいだろう? 考えても、狀況が良く判らない……。
ただひとつ判るのは、この魔法は名前の通り、煉獄の竜カリエンテの幻を召還するものだと言うことだけだ。
「幻影を召還したみたい」
「は? アレで幻影なの?」
「まじかよ……」
「うっそだろ?」
「ありえないでしゅ」
「つか、あんなん耐えれるか! ログ見たら、62358ダメージとか出てたぞ!」
「耐えれないでござるよ」
幻影を召還したと説明すれば、宮ネェがあれで? と驚き、シロが言葉を失い。キヨシが、疑うと、さゆたんに否定された。
攻撃をけたティタにダメージ量で怒られ、泣きそうな宗乃助がガクッと項垂れた。
「ごめん。使ってみたかったから……」
そういい訳をすれば、一人のときに試せと皆から責められた。
ドスドスと足音を響かせ戻った黒に、拳骨を貰い愚癡愚癡と言われた。
今回は、自分に非があると反省する素振りを見せ、皆がしがっているであろう、スキル書か魔法書を、それぞれに一冊ずつ賠償として渡した。
マジで、チョロイやつらだ。
「ren、クラン登録しにいけよ?」
ニヤっと嫌な笑いを浮かべた黒の言葉に、そうだったと思い出し、項垂れた。
完全に、あの魔法のせいじゃん! 新しい魔法をワクワクと試す、自分の愚かさを呪ってやりたくなった……。
仕方なくクラン登録のため、闘技場を後にする。
皆は、魔法やスキルを覚えるため、それぞれの教の場所へと向うらしい。
待ち合わせ場所をポータルに決め、PTを組み直すと20分後集合ということで一時解散となった。
ポータルに乗り、クランを創設するため【 ヘラ 】の大聖堂へと向う。
クエストNPCに近付き、話しかけると畫面が出現する。
以前あった、1日奴隷になる。が今回は、1日人になる。に変化していた……。
この運営、本當にNPCで遊びすぎだと思いつつも、まずはクエストを完了させる。を選択する。
倉庫から取り出し、アイテムボックスへれておいた、誓い各種が25個ずつ減り、まるでパレードでも行っているかのような、甲高いラッパの音が大聖堂に響き渡ったと同時に、クエスト完了のウィンドウが表示された。
一度、ウィンドウを閉じて再度、NPCに話しかければ、選択肢にクランを創設する。と項目が増えていた。
早速、選びタップすれば、ウィンドウが切り替わりクラン名を力する空白のバーとキーボードが表示される。
【 Bloodthirsty Fairy 】と打ち込み、間違いがないか何度か確認してokと表示されたボタンをタップすれば、頭上から淡いにじり天使の羽と思しき、白い羽が降り注く。
無機質な音聲で【 新たに Bloodthirsty Fairy クランが創設されました。仲間と共にこの世界を楽しんでください 】と流れた。
PTチャットで、クランが創設できたことを伝え、クランのLv――クランLvとは、最大で10まであがる。Lv1~Lv5までは、NPCからのクエストをこなせば、あがっていく。Lv6からは、クエストがなくなりメンバーの貢獻ポイントでLvをあげていく仕様だ――をあげるためのクエストを新たにうけて、大神殿を後にした。
し早いが【 ヘラ 】から、皆が待つ【 ネキュレネ 】へ戻ると、既に皆がポータルで待っていてくれた。
誤文修正しました。
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