《疑似転生記》捜索難航中

期末試験を終え、クラス対抗の魔法競技大會も終えて、あとは夏休みまでのつなぎのような日々を過ごすだけの7月に突した。試験結果も帰って來て赤點を回避した者たちは、授業など上の空で高校最初の夏休みをどのように過ごすか考えている。

「えーと、海には行きたいよね。それにお泊まりは、『魔法演舞』の本選があるから、他には何かな。ねぇ芽は何処行きたい?」

凜もその一人であった。魔法技能の試験も含めて無事全教科で赤點を回避してから、授業など殆ど聞いていなかった。

「私はゲームかな。」

「もう、そればっかりじゃん。折角なんだからどこか行こうよ。お母さんも夏休み中に何日かは休み取れるって言ってたし、遊園地とかさ。」

「別に良いけど、そうやって夏休み満喫して、最終日に宿題やってないって泣きつくの止めてね。」

「えっ、だ、大丈夫だよ。」

凜は芽と違って友達も多く、毎年夏休みを満喫するのだが、結局、31日になってからヘルプ要請をするので、芽まで大変な思いをすることになるのだ。

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「まあ、それなら良いけど。海も遊園地も時間があったらね。」

「ほんと?やったー!」

(斷っても、どうせ行くことになるんだし、無駄なことはしない方がいい。)

基本的に斷る芽を無理矢理連れ出すのがいつものパターンのため、芽は斷っても無駄であることを學んでいるのだった。

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メイリーは、暴風狼や旋風狼の出沒した地點よりもさらに奧地を捜索している。魔獣増加は一応の落ち著きを見せ、昔に比べて格段に魔獣が出現する頻度は増したものの、これ以上の増加の兆候は今のところ確認されていない。何らかの原因で起こった生息地の移が一段落したのだろう。

(その原因を何とかすれば魔獣もまたゆっくりと元の縄張りに戻るだろう。けどこのまま小型の魔獣が出沒するくらいなら、ランクが上がった冒険者が都市部に流れることもないし、こっちの方が良いのでは?)

メイリーとしては、暴風狼以上の魔獣がいるのなら會ってみたい気持ちはあるが、今のメイリーではそう易々と倒しきることも出來ないだろうし、最悪このままの方がいい可能もある。

(まあ折角、裝備も新しくなったんだし強敵と相見えたい気持ちもあるけど。)

メイリーが新たに羽織っているのは暴風狼の外套であった。それ以外にもに纏うの殆どは暴風狼の素材を使用している一級品であった。魔獣の解用の短剣すら暴風狼の骨を使っている。

暴風狼を倒し、処理をして暫く持っていたのだが、このまま腐らせるのも勿無いので、ティーチに頼み、裏に々と手配して貰ったのだ。本來ならかなりの代金が発生する所なのだが、余った素材を全て渡すと言う條件で格安で作ってくれようであった。

(『地図化』でここら辺はおおよそマッピングしたけど、魔獣が増えた以外に変わった點は無いか。と言うことはもっと奧か。まあ今日は帰ろうか。っと)

「『焔の矢よ、敵を、撃ち抜け』」

「キャ?キャキャッ!」

飛び掛かってきた火炎猿に屬矢によって急所を撃ち抜く。火炎猿は火には耐があるので、火魔法によって魔獣の素材が駄目になる心配をしなくて済むので、そこまで強くない魔獣には、相手が得意としている屬を撃ち込むようにしているのだ。

「さて、今日も結局、魔獣狩りになってしまったな。またレレナさんに呆れられてしまう。」

依頼で無いのでランクが上がらないのだが、中型を含む多くの魔獣を連日狩ってくるメイリーの評価は上がっていることに気づかないのはメイリーだけであった。

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