寶竜の迷宮の難易度はそれなりに高く、空間魔法と『地図化』を併用して最短で進むと言うメイリー獨自のスタイルでも數日で半分程度しか探索出來ていなかった。明け方に自の屋敷より長距離転移してきて、夕方にクリーアの冒険者組合で今日の果である、魔獣の素材やドロップアイテムを売って帰るというかなりのハードスケジュールをこなしてこれである。普通の冒険者からすれば早すぎるのだが、メイリーはこれでは満足出來なかった。

(と言うか組合で何か話し掛けられる時間を考慮にれなければもうし迷宮探索出來るのに。まったく迷な連中だ。)

に群がる大人の図は事を知らない者たちからすれば、異常な景だろう。そしてメイリーも何故自分にそんなに群がってくるのか正確に把握していないため、彼らへの嫌悪は更に募っている。

メイリーがパーティーを組まないのは、パーティーを組めばメイリーの自由な行が妨げられると考えられるからである。今まではある程度勝手にけていても、パーティーを組めばそれが許されなくなる。既存のパーティーにれば尚更、そのパーティーのルールに縛られるだろう。最悪でも自分がパーティーリーダーにらなければ駄目だし、そうであってもパーティー全員が自の判斷に完全に従うとなるとパーティーを組む意義が損なわれるだろう。

(まあいい。今日もこれくらいで帰るか。狙ってたドロップアイテムも出なかったし。)

そんなじで他の冒険者の態度に怒っているメイリーだが、それだけでは無い。メイリーの苛立ちの原因の１つにドロップアイテムの問題があった。『寶珠』が出ないのは仕方がないと言える。『寶竜の迷宮』で一番手難易度が高いアイテムである。しかしメイリーがこの迷宮のドロップアイテムで唯一しいと思った『無の寶玉』関連のアイテムが一向に出ないのだ。

迷宮から帰還して組合に戻ったメイリーは、毎度お馴染みとなった勧合戦を押し退けて買い取りカウンターに辿り著く。そこにはメイリーが持つスキルと同じ『鑑定眼』を保有する付嬢ロザリアが立っていた。

「あら、メイリーさん。お疲れ様です。」

「はい。まあ一番疲れるのが組合なんでどうにかしてしいんですが。そんな事より買い取りをお願いします。」

軽くお喋りをしつつ、メイリーは今日の果をカウンターに並べる。

「今日も全部買い取りでいいんですか？」

「ええ、しいものが全然出なかったので。」

「毎回思うんですが、メイリーさんは魔法使いですよね。ならこれらの『寶玉の杖』を裝備すれば良いんじゃ無いですか？」

寶玉の杖は各魔法の発の補助と威力を増幅する裝備品である。本來なら魔法使いの必須裝備とも言える。しかしこの杖には欠點が存在した。

「それは緑の寶玉ですから風魔法しか強化しません。それに威力や発規模の調節がしにくくなります。私は々な魔法を調節しながら使うタイプなので。」

これらの杖は前世の『箒』のような役割をするのだが、『箒』の劣化のため今のメイリーには使う必要の無い代であった。しかし『無の寶玉』は、魔法自の補助ではなく、魔力の増幅をする効果であるため、長期戦になる迷宮探索に便利であるのでメイリーはしているのだった。