新たに覚えた魔法の試し撃ちもすみ、寶竜との戦闘での疲労や傷も癒えたので、寶竜に再戦を挑むことにしたメイリー。作戦も練ってきたし寶竜の特徴も頭にっている。前回のようにはならない自がある。長距離転移で寶竜のいる最下層の大部屋の前まで移したメイリーは、自に強化魔法をかけていく。

「『焔の戦士となりて、我進む』『魔力を纏いて、我戦え』『魔の力を、支配せよ』」

耐火能を高める魔法、普通の強化魔法、魔力制の度を上昇させる魔法の３個の魔法を重ねる。寶竜の攻撃で一番恐ろしいブレスを防ぐために耐火、そして今回の作戦の切り札の発の補助に魔力制の上昇を選択していた。

(さて、準備萬端ってじだな。そろそろ行くか。)

メイリーは寶竜が待つ大部屋にっていった。

「ガァァオォォーー」

(相も変わらずうるさい奴だ。まあ今回はちゃんと倒してやる。)

序盤の作戦は前回と同じで転移で寶竜の攻撃を回避しつつ、攻撃魔法を撃ち込んでいく。勿論、メイリーの魔法は弱化され寶竜に傷１つ負わせられない。しかし前回の戦いで寶竜の魔法弱化の特徴を摑んだメイリーにとって、この戦法は合理的であった。魔法の弱化には多なりとも集中力を要するに。そのためメイリーの攻撃ではダメージを負わすことは出來ないが、神的疲労を蓄積させることは出來るのだ。

(ただ、この戦法はこっちの魔力の消費も激しいからそんなに長いことはっ！)

「『距離よ、め』」

ブレスは予備作があるので避けられやすいことを悟ったのか、寶竜は自の尾によりメイリーを叩き落としに來た。咄嗟のことだったが何とか転移で回避することに功する。しかしそれは寶竜の罠であった。寶竜は転移先を予期してその場所に攻撃を放つ準備をしていた。

「ガァァオォォ」

(ブレスの溜めが完了してる。ここか！)

しかしメイリーにも策は存在する。と言うよりも今回の作戦の開始はメイリーが無防備な狀態で、真っ正面からブレスをけることが合図となる。

「『千の矢よ、散りて、抜け』」

「ガァァオォォグァァー！」

メイリーの魔法矢による波狀攻撃と寶竜のブレスがほぼ同時に放たれる。メイリーの千の矢は寶竜にダメージを與えられないが、寶竜のブレスは耐火魔法をかけてあるメイリーをほぼ確実に焼き殺すだろう。このままでは。

「『遅延よ、解放せよ』」

メイリーの目の前に真空の障壁が展開される。メイリーの策その2こそが空間魔法と風魔法の複合魔法である真空障壁であり、その発を管理していた遅延魔法であった。遅延魔法とは詠唱を済ませておくことで解放宣言とともに準備しておいた魔法を即時発できるという補助魔法の一種である。

ただしこの障壁も寶竜のブレスの前では十秒も持ちこたえられないだろう。メイリーは最後の策を唱えだす。

「『我の願いに応じて、空間は支配され、斷裂せよ』」

千の矢の全範囲攻撃の弱化とブレスに集中しており、なおかつ自のブレスの直撃をけているメイリーなど眼中に無い寶竜では、このメイリーの攻撃は弱化出來なかった。

寶竜の頭部が空間ごと削り取られる。魔法弱化が無くとも、メイリーの魔法を防ぐ堅牢な鱗であっても空間ごと切斷されれば関係なかったようであった。寶竜の殘された亡骸はの粒子とな

り後には『寶珠』のみが殘されるのであった。それと同時にメイリーを守っていた障壁も破られる。

(勝ったか。)

自の勝利を見屆けたメイリーは空間斷裂の使用による魔力不足と疲労で気を失い、ブレスの余波に曬されすなく吹き飛ばされるのであった。