《疑似転生記》魔法演舞 2次予選

2次予選の競技は『旗取り』であった。これは1次を突破した全出場者がスタート地點より一斉にスタートし、エリアに散らばって配置された旗を探しスタート地點に帰ってきた者は、2次予選通過となるシンプルな競技である。

この競技で一番大切なのは制限時間でも旗が何本用意されているかわからず大抵奪い合いになることでもなく、1人が取れる旗の數に制限が設けられていないということであった。ただ通常の『旗取り』と異なり、今回は旗を守護する目的でエリア各地にガーディアンが配置されている。今回は戦闘不能となったら所有している旗が元の場所に戻り、スタートからやり直しとなるため、他者を妨害するのもリスクが高いとも言える。リスクを冒してまで他者の妨害をする人は數派なのが現狀である。しかし

「よし、3本目か。順調だな。」

芽依は數派に屬するようであった。ただ別に芽依の目的は他の出場者の妨害ではなく、今回の『旗取り』エリアの世界観がファンタジーであり、配置されているガーディアンが諸に魔獣であるため暇潰しに観してるにすぎない。そちらの方が尚更悪いような気もしないでもないが、

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(私の空間把握じゃエリア全域はわからないけど、旗の數が多い気がする。1人1本は用意されてる印象。まあガーディアンの強さもまちまちだし、上手く隠されてる旗も多いから、そこまで通過者が出るとは思えないけど。)

芽依自は空間把握というある種のズルをしているため、簡単に旗を発見できるがそれ無しなら芽依も制限時間で1、2本が限度だろう。それに加えてガーディアンの強さも絶妙だ。芽依はああいう手合に慣れているため比較的容易に退けられるが、1次予選で見たじ、突出している十數名を除けば苦戦は免れないだろう。

(おそらく、これの本番は旗を取ることじゃなくて取った後だな。)

戦闘不能となればスタート地點に戻される。殘り時間が減って焦った者たちが考えることは、想像がつく。旗を持って戻ってきた者からの強奪である。旗を探しガーディアンを出し抜き旗を取るよりも、やって來る旗を奪った方が遙かに効率が良いのだろう。

(まあ私には収納があるし関係ないけど…いや折角だし試してみるか。)

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予選を勝ち上がってきた猛者たちであっても本選は厳しいものであった。殘り時間も半分を過ぎたが旗を一本持ち帰ってくることも葉わない。もう10人近くが合格してしまっており、どのくらい旗が殘っているかもわからないのが現狀である。そのためスタート地點には自力での旗取りを諦めた、ハイエナ組が終結し出していた。

「一斉に魔法を!」

「でも倒すなよ。倒すと旗が戻ってしまう。」

そんなやり取りがスタート地點の各地で聞こえる。現に旗の奪取に功した者も出始めた。そうこうしているに次の標的が現れた。

「せーのでいくぞ、せーの!」

威力は低いが防いだり避けたり出來ないように波狀攻撃を仕掛けるハイエナ組。すると可哀想な標的は、

「『魔力を紡ぎて、我がに纏い、干渉せよ』」

魔法を唱える。しかし防魔法は基本的に一方向にしか対応していない。そのため全方位からの波狀攻撃は防げない。

「よし、旗を奪え!」

「早い者勝ちだ」

戦闘不能寸前となると判斷したハイエナたちが一斉に飛びかかっていく。しかし彼らも目を疑う事態が起こる。

「ま、待て!魔法が消えた?」

標的に當たる前に魔法の威力が弱まり消失してしまったのだ。初めて見る現象に驚きを隠せない彼らは警戒して近づけずにいた。そんな彼らに無な視線を向けつつ標的のは詠唱をし出す。

「『我の願いに応じて、空間は支配され、斷裂せよ』」

攻撃魔法が放たれる。ハイエナたちは避けようとするが魔法の発は確認できたが、何が起こったのかわからずただ攻撃を食らうしかなかった。その魔法は一瞬で五人のハイエナたちを消滅させたが、結局彼らは何をされたのか理解することは出來なかった。殘されたハイエナどもも呆然と立ち盡くすだけであったが、そんな彼らに標的のは無表に、

「通っていいですか?」

「は、はい。」

數的有利が失くなったハイエナたちに標的のを止めるはなく。そそくさと道を譲るのだった。

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