インタビューを終えた芽依はまたゲームの世界に戻ってしまった。それを見た男記者の高橋さんは苦笑いを浮かべてしまう。

「すいません。芽依は基本的にこんなじなので。もともと目立つのも好むタイプじゃなくて。」

「そうなんですね。こちらも三は、學生の頃に『魔法演舞』の本選に出場したこともある実力者ではあるんですが、1次予選を突破できなかったことをコンプレックスに思ってるようで、良い績を修めた選手を見ると…」

「そうなんですか。まあ芽依も悪かったと思うので。」

何故か雙方の連れが謝ると言うよく分からない狀況が暫し続くのであった。

歴戦の魔法使いなら話は別だが、學生の魔法使いともなれば得意魔法の系統は１つ２つが限度だ。芽依もある程度満遍なく扱えるがそれでも得意魔法と言われれば、空間魔法が突出していて、他には特に思い付かない。そのため學生にとって敵に自分の競技をじっくり観察されると言うことは、とても不利な狀況であることを意味する。

「つまり敗者復活戦に出場するってこと自が不利になるってことだよね？」

「まあそうなんじゃないか？私は見てなかったから知らないけど。」

「もう！まあいいけどね。私はしっかり見たし。」

「…まあでも何人か面白そうな人たちはいたね。」

敗者復活戦も終わり、２日目の最終予選への出場者50人が決定した。

「そうだね。2次予選で芽依と同じように包囲網突破した、漣選手と太選手が印象に殘ってるな。」

「うん？」

「あの重力使ってた方が漣選手で、線で焼ききってたのが太選手。」

「ああ、あの人たちね。でもえーと、漣さんは多分重力じゃないと思うけどな。」

その２選手ならば芽依の印象にも殘っていた。

「そうなの？」

「まあ本當のところは食らってみないとわからないけど多分ね。それよりも私としてはえーと水魔法で無雙してた人の方が印象に殘ってるな。」

「えーと、渚選手かな？そうかな。確かに凄かったけどそんなに特殊な魔法は使ってなかったけど。」

「いや、水の無いエリアで水魔法使ってるのは相當に特殊だよ。」

火や風、土等と異なり水魔法を使うにはまず創生魔法で生み出すか、空気中のない水を集めなくてはならないため、水魔法が得意な者でも水が回りに無い場合は使うのを躊躇うのが常識である。しかし彼は躊躇なくしかも充分な威力の水魔法を披してみせた。

「何らかの特殊な魔法を用いてるのか、それとも発速度が卓越してるのか分からないけど警戒するに越したことはないね。」

「へぇ。」

興味ないじではあったが流石によく見ているなと心する凜であった。

翌日の朝早く、最終予選の競技が発表された。それは『陣取り』であった。『陣取り』とはフィールドに配置されたターゲットに魔法信號を撃ち込むとそのターゲット周辺のエリアが自分の陣地となり、他の人がそのターゲットに魔法信號を打ち込めばその人の陣地となる。これを繰り返し制限時間に陣地をより多く持っていた人の勝ちとなる競技である。

今回は50人を5グループにわけ、フィールドのターゲットは５つ。つまり獲得できる陣地は５つの狀況で始まる。そして各グループ上位３名が決勝トーナメントに進み、5グループの4位の中で一番績が良かった者が1名勝ち上がるようであった。

「５つあって上位3名ってことは２つ陣地が確保できれば勝ち上がり確定ってことか。」

「そうだよ。他にも細かいルールが載ってるからちゃんと見といてね。」

ルールブックを見せつけてくる凜に芽依は、

「うーん。いや多分、問題無い。この競技なら取って置きが使えるから。」

と自信満々に答えるのであった。