《疑似転生記》絵空事な理論

突如として現れた魔法の正を解明しようと、各國各地で様々な研究がなされており、勿論『箒』の開発者に攜わった者たちも、開発の中心メンバーであった博士とその弟子數名を除いてだが、研究に協力した。研究者たちは中心メンバー、特に博士へ協力を幾度と依頼したが結局彼らは一度も首を縦に振らなかった。そのせいもあり未だ魔法の解明には至っていないのが現狀である。しかし毎年膨大な研究結果が発表されており現在は幾つかの仮説が立てられるようになった。

「太とか重力みたいな自然エネルギーを発力源にしてるって説が主流。後は別世界に私たちが扱ってる魔法が存在してて、『箒』を使って別世界から魔法を召喚してるって考えもあった。その中にに私たちが認識できないエネルギーがあってそれを力源として魔法を発してるんじゃないかって説もある」

「それが魔力なの?」

「そう」

「でも魔力って魔法開発初期に唱えられてた都市伝説じゃなかったっけ?」

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凜はかなり胡散臭そうな目で芽依を見てくる。それもそうだろう。この魔力説はかなりマイナーであることとファンタジーが廃れたことが相まって、最早この説を信じているものはある種の夢想家だけであった。芽依としても別に魔法の真実などどうでも良い。ただゲーム世界と魔法の使う覚がほぼ同じであり、児期より『箒』に依存せず鍛え直した結果、現実世界での魔法力が飛躍的に向上したことを踏まえて総合的に判斷した場合

(『箒』によって魔力制を自でやる機能とか魔力を増幅する機能があるから、自力での魔法発ができないのままって考えたら結構すんなり理解できる。この理論を証明するには私の魔力量を増やす必要があるんだけど…)

そんな事を考えながら、魔力についての數ない研究果を読み進めていく。その中には『箒』を使わずに魔法を行使した者の存在なども記載されている。しかし魔力を観測できない現狀下では魔力仮説は実証不可能であるのだ。まあそんな事は研究者ではなくゲーマーである芽依には全く関係ない話なのだが。

(実証出來なくても、『箒』無しで魔法が使えるようになれればそれでいい)

もし実証出來れば世紀の大発見であったとしても、殘念ながら芽依には価値の無い事なのであった。芽依の目的はもしゲーム世界と現実世界で魔法の理論が一致しているのならば、現実世界でも魔法の練習ができるということだけであった。

そうと決まれば々とやりたい芽依だが、學校では原則としてVRの中と授業中など特定の場合以外での魔法の使用は止されている。今の芽依が先生に頼めば許可が下りる可能もあるが、ただでさえ目立っているのにこれ以上注目を浴びる行を取ることは嫌なので、魔法行使の自由な放課後まで待つことに決めた。

「何か見つけたの?凄くそわそわしだしたけど」

「ちょっとやりたいことができただけ」

ただ放課後はできるだけゲームに費やしたい芽依としては、この決定は苦の策である。昔のように目立たない1生徒であれば、先生の監視から逃れてこっそりと魔法の練習、なんてこともできたのだが今の芽依の立場では難しい

(頑張ったら頑張った分だけ生き辛くなる。難儀な世の中だな)

芽依はそう嘆くのだった。

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