《疑似転生記》『魔法』の開発

VRブースを堪能した芽依は一ノ瀬博士の講演會場に來ていた。流石は魔法の開発者を父親に持ち自も開発チームに末席ながら所屬していたと言われている人の講演である。會場の広さも中々のものだがカメラの數が半端ではない。一ノ瀬博士の講演は新技や商品説明などに比べればやや劣るが、世界中で希が殺到する。そのため會場の席を特別席とし一般席としてライブビューイングで講演を配信するのだという。

(魔法の実演とかならまだしも講演なら會場で見ようがライブビューイングで見ようが変わらんだろう)

芽依はため息を吐きながら用意された席に座る。この席も最前列という特別招待に相応しい席である。まあ最前列であるため別に見やすくは無い。聞きやすいかも知れないが博士の講演中に騒ぎだす輩もいないだろうから別に利點にはなり得ない。

今の芽依は『箒』を攜帯はしていない。しかし普段からの特訓の果として初級魔法ならば『箒』無しでも発可能なまでの魔力量とっている。そのため講演中『魔力循環』による能力向上で視力や聴力を上げれば最前列よりも最後列の方が見やすかったかもしれない。

Advertisement

そんなことを思いながら一ノ瀬博士の講演を待っていると遂に一ノ瀬博士が登壇した。

「一ノ瀬魔法研究所所長。一ノ瀬潤です。本日はよろしくお願いいたします」

一ノ瀬博士の講演テーマは『魔法について』である。かなりざっくりとしたテーマである。ただこの人が、というより一ノ瀬魔法研究所が魔法について語るというのはかなりの重みがある。魔法が発見されてから20~30年ほとが経過しているが『魔法』を開発できたグループは一ノ瀬魔法研究所以外にいない。

現在この世界では様々な種類の『箒』が存在する。特定の魔法に特化した、制力や威力に特化した。このように『箒』の開発は次々となされている。しかし様々な『箒』が生み出された現在においても『箒』の『魔法』の幹、魔法を発するシステムだけは一ノ瀬グループが最初期に発表したプログラムの複製をそのまま流用しているのが現狀だ。各グループが眼になって新しい魔法発プログラムの開発を行っているが結果は芳しくない。

「であるからして、『脳力』を箒の中の『魔法発プログラム』に伝えることこそが魔法発の…」

何かしらの研究果を一ノ瀬グループが獨占していることは間違いない。ライバルグループや外國からそれらも全て公表しろと圧力が掛けられたと噂されたこともあった。しかし魔法分野でトップをひた走る一ノ瀬グループがそんな圧力に屈する筈もない。圧力を掛けたところで困るのは一ノ瀬グループと繋がりが無くなる掛けた方なのだから。

「魔法の制力向上にはVRでの演習が有効であり…」

そんな一ノ瀬グループのトップの講演であるため一般人のみならず多數の人たちから人気である。しかし今回の講演はかなり初歩的なである。魔法について分かりやすく説明しつつ新技についても隨所に散りばめている。講演慣れしているのだろうが、一般人以外の人が求めていたとは違ったのだ。ただ芽依を除いて。

(私の知識の中の魔法と被ることが多い。同じ魔法であるからこそのニアピン、偶然かな?それとも…)

「…とあまり延々と話しててもですね。一度質疑応答に移りましょう。會場の皆さん、ライブビューイングでご視聴の皆さん何か質問はこざいますか?」

(ちょうどいい。し試すか)

芽依にとって良いタイミングで質疑応答タイムとなった。これを逃す手は無い。芽依は真っ先に手を挙げた。

「えー、はい。わかりました。ではそこのお嬢さん」

係員の人が芽依にマイクを屆けてくれる。それをけ取りつつ芽依は

「一ノ瀬さんは…魔法とは何だと思いますが?」

初歩的な、と言うかそれを今まで説明していたのだから何を聞いていたんだと言うレベルの質問をする。空気が多白ける。

そんな空気を芽依は『魔力解放』をして鋭敏になったじつつも気にせず一ノ瀬博士を見つめるのだった。

      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください