メイリーが出発しようとすると商人がフォローとして護衛を2人派遣すると言い出した。商人の護衛は大がヨハンのような隠型の者たちだが、この2人は戦闘を得意としているとのことだった。メイリーとしては態々不馴れな相手と一緒に行したくは無いと斷ったのだが、どうしてもと言われ斷れなかった。竜がいる場所への道案は必要ではあったため、全滅したときや誰かが負傷した時の証人用にヨハンを後ろから同行させることを條件にけれたのだ。

「ヨハンさんは戦闘に參加せずもし戦況が不利だとじたら離を最優先に考えて。竜が人の味を覚えたら村の危険度が高まるから」

「わかりました」

「それからえーと…」

「俺はクロウ、こっちはマーメ。見ての通り俺が剣士でこいつは魔法使いだ」

「よろしくお願いします」

同伴者の2人は元Cランク冒険者らしく、これ以上は先がないと引退を考えていたときにあの商人に雇われたのだという。仲睦まじい様子から察するに人なのかもしれない。

「あのヨハンさんを一撃でって聞いたときはどんな奴かと思ったが、こんな嬢ちゃんだとは思わなかったぜ」

「クロウ！ 私たちは2人でCランク、彼はソロでBランク。もうし敬意を持ちなさい」

「んだよマーメ。俺たちはもう引退したんだぜ？ ランクがどうかとか今さらだろ」

「戦闘に攜わる人間なら強者に敬意を払えって言ってるの」

元々、人付き合いを好む質ではないメイリーにり込む隙もないまま、會話は続いていく。とは言えまだ魔獣が出る區域では無いため放置するに限るだろう。

(実力は兎も角、のこなしやコミュニケーション能力に不備がある訳でもない。まあCランクと考えるとし落ちるが。まあ人っぽいし、これ以上増やせなかったのかもな)

パーティーの人數を増やすのも1つの手だが、人同士で組んでいればそれ以外の人をれ難いだろう。それでもCランクならば商人の護衛をやるよりも稼げるような気がしないでもないが、護衛の方が安定してるとも言える。メイリーもそこまで立ちる気は更々ないためこれ以上考えるのを止めた。

しして、村の近くの狩場にたどり著く。その狩場の奧深くに竜がいるのだと言う。その狩場にろうとするとき、クロウが何かを懐から取り出し食べ始めた。するとマーメが焦ったようにメイリーを見た。

「クロウ！」

「…あ、いやでも今から相手するのは竜だしさ。萬全を盡くした方が」

「…それは何ですか？」

「いや、これは…」

いつもの癖だったのかつい、というじで食べ始めたクロウを怒るマーメ。この慌てようから考えれば重要な、後ろに隠れているヨハンには警戒してない様子から察するに商會の機なのかもしれない。

メイリーはこっそり2人を『鑑定眼』で観察する。このスキルは人の良し悪しを判定するものであり、見える範囲も自の知識量などによって変わる。よく知っている人なら様々なことが鑑定できるがクロウたちくらいの會ったばかりの人間では、名前とおおよその強さ、そして所有するスキルの數くらいしかわからない。

(あ、本當にクロウは『剣士』でマーメが『魔法使い』なのか。ジョブスキルとは萬能な。それでマーメはもうひとつスキルありか。こっちはわざと隠してるとすれば…)

クロウは『剣士』をマーメは『魔法使い』ともうひとつスキルを所持していた。自己紹介でスキルを紹介してくれていたためか、スキル名まで分かった。そんな気前の良いクロウがこれを言わなかったのだとすれば先ほど食べた者とマーメのもうひとつのスキルが関係ある可能は高まる。

「別にそれについて追求するつもりはない。ただそれはどんな効果があるのか聞いても？」

「…回復力が高まります」

「なら私には必要ないか」

「そうですか」

『自回復』のあるメイリーには興味のないものだった。強化魔法を使えるメイリーが消耗品で強くなるのはどのみち非効率である。

(食べることで強化。『錬金』とかなら作れるか？ でもそれならあんな態度は取らないだろ。私が斷ったら明らかにほっとしてるから、バレたことよりそれを私に渡すのを嫌がってるような。考えすぎか)

仮にそうであったとしてもメイリーに関係ないことである。そのためメイリーは言った通り追求することはなかった。それを後で後悔するとも知らずに。

『ジョブスキル』

その職業に関すること全般に補正がるスキル。『剣士』であれば剣を扱う作だけでなく能力なども向上する。反面、特化スキルに比べて補正はない