《疑似転生記》黒幕釣り

久しぶりの投稿ですが短めです。

メイリーたちが商人の家から出発してそれなりの時間が経過した。予定通りならばそろそろ竜の確認を終えた頃であろう。商人のそんな考えは淡く砕かれる。ヨハンが息を切らせて帰還したのだ。

「お館様! 急事態です」

「ヨハン? 急事態だと。何だ?」

「マーメが、マーメが竜に食らわれました!」

「な、何!」

「現在、メイリーさんが食い止めていますが、長くは持たないとのことです」

ヨハンがもたらした報告は、最悪のモノであった。しかしそれを理解できるのは商人しかいない。他の護衛たちは仲間が亡くなった報告にただ驚くのみであった。

「わ、私は何故危険な地にマーメを派遣…」

「お館様! 後悔をしている暇はありません。今はここから離れませんと。幸い商品もさほどありません。今出発すれば被害は最小限で済みます」

「し、しかし、ここの住人を放っては…」

そのとき、ソーマという護衛の者が前に出る。

「お館様。私めが殘って住人への避難勧告をしましょう。【だからお館様は早くお逃げください】」

「…そうだな。私は避難しよう。みんな、最低限の荷を持ち即刻、出発するぞ!」

「「は、はい!」」

揺してた筈の商人の突然の変わりに戸いつつも護衛たちは、主人の指示通り荷をまとめ出す。それを見てニヤリと笑顔を浮かべたソーマは家から出ていった。

それを見屆けたヨハンはほっと一息いれる。

「ヨハン。何をぼさっとしている。お前も早く出発の準備を…」

「いえ、お館様。もうその必要はありません」

「何を、いって…おる、の、だ…」

「目が覚める頃には全てが片付いていることでしょう。それにしてもあの距離で家の中にいる複數人を対象に『睡魔』を作用させるとは…末恐ろしい」

そう言いながらヨハンは、眠りこけた主人と護衛たちを寢床に運ぶのだった。

商人の家から出てきたソーマは、勿論村の住人に逃げるよう呼び掛ける様子もない。それどころか彼が所屬していると思われる『バスディ』の本拠地とは逆方面に向かっていた。となればメイリーの黒幕が存在するという仮説が現実を帯びてくる。

「『バスディ』は目眩ましに利用されたってとこか? さて神干渉系スキル持ちを惜しみ無く使える組織。楽しみだね」

メイリーは見つからないように遠くからソーマを追いかける。これから食らう大に思いを馳せながら。

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