取材を斷り教室に戻った芽依はかなり不機嫌そうであった。親友の凜が近づけないくらいには。そのおもありチラチラと視線を向けてくるクラスメートたちも、話し掛けては來なかったので芽依としてはラッキーであった。

そして放課後。校門前を見ればチラホラと記者らしき人影が見える。芽依が學校に來ているという報が流れているのだろう。學校に來ている限りその報を遮斷するは無い。

「芽依、帰りはどうする？ また私の家に泊まる？」

「いや、今日は大丈夫。用事もあるしね。もし何かあったら頼らせて貰うよ」

「わかった。それで用事？ またゲームの新作でも出たの？ 今くらい我慢したら？」

「違う。ライセンスの更新に行くんだよ。この前試験けて合格したから」

「え、それってB級？」

芽依はコクりと頷く。『魔法演舞』の績優秀者の特典でB級ライセンスを取得しやすくなっていたので、ついこの間講習と試験をけてきたのだ。

「手続きがあって今日けとる予定だった。まあこんなことになるならもうし早めにしてもらえば良かったけど」

「凄い凄いよ。B級なんて。先生たちでも持ってる人いないんじゃない？」

凜は芽依を稱賛する。それほどB級ライセンスの取得難度は高い。制限はあるが人を傷付ける可能のある魔法の使用すら許可されるライセンスであるため當然だが、魔法従事者の3割程しか取得出來ていないと言えば難度の高さも分かるだろう。

「それをけ取りに行きたいんだけど、このままだと難しいな。4人、5人かな？」

鈴から注意するよう言われた企業スパイであろう。芽依を遠くから視てる者たちが複數存在する。記者たちよりも危険な彼らがいることを考えれば余計にB級ライセンスはあった方が良い。ただ普通にライセンスをけ取りに魔法事務局に行けば記者はともかく、彼らは著いてくるだろう。ライセンスけ取りに時間が掛かれば接してくるかもしれない。それは面倒である。

(それにしても私の知圏にるなんてスパイってのも大したこと…いや違うか。無限竜との戦いで私の魔法力が大幅に上がったからか。あいつらがいる場所はし前の私の知範囲外か。『魔法演舞』みて私の魔法力を正確に予測してきてるのか？ だとすると凄いけど)

まさかゲームでそんなに能力が上昇するとは思わないだろう。とすれば彼らが芽依に見つかったのは不可抗力である。本來なら誰もいないと油斷した所で接されていた筈だったのだ。

しかし芽依は彼らの存在に気がついた。そうなれば対応もできる。

(接されれば『マジックジャマー』みたいな魔法阻害をけるかもしれない。転移も転移先を探知されると面倒…いや逆に探知させればいいのか)

芽依を相手にするならば転移対策は必須。転移の対策として挙げられるのはそもそも転移をさせないか、転移先を探知して追うか。後者なら追跡者も転移使いもしくは大人數での追跡をする必要がある。

おそらく彼らは探知して油斷している芽依に接するつもりかもしれない。ならばその出鼻を挫くのが有効だろう。

放課後になり、芽依は帰宅するため空間魔法の準備をする。いつもなら即座に発できる転移にし時間を掛けてとある仕掛けを施す。転移先は魔法事務局なのだが、探知されれば芽依の家のすぐ傍の公園だとなる仕掛けを。

「じゃあまた明日ね凜」

「う、うん。またね」

芽依は転移で學校から出ていった。それを見屆けた凜はし首を傾げる。

「校則に『公共の施設に魔法を使用した無斷侵をずる』ってあるけど下校なら良しって訳じゃ無い気がするんだよなー」

無事、魔法事務局付近に転移してきた芽依は『空間把握』で辺りに変なのがいないか調べ、誰もいないかとを確認する。

(ふう。ならライセンス貰って帰ろ。それにしても転移偽裝か。かなり高等技だったんだけど、すんなり出來たな。やっぱりあのゲームって凄いんだな)

芽依は改めて『疑似転生』の凄さを実しながら、手続きを済ませてライセンスをけとった後、悠々と帰宅するのだった。