《疑似転生記》紅鬼との再戦

『紅鬼』のシドがメイリーの前に現れたのは、彼が討伐クエストを終え街に戻っている最中であった。

「卑怯だと罵ってくれてもいいぞ」

「いえいえ、私が歩いて戻っている時點で分かるでしょう?」

「ふん、われていたか。やはり焦るとダメだな。隠の戦力分析もどこまで當てになるか分からんな、こりゃ」

「まあ取り敢えず、手加減はなしだ『焔槍』」

「ふん! 當たり前だ」

メイリーの挨拶代わりの『焔槍』はシドの大剣に斬り裂かれた。先の戦闘では街中ということもあり攻撃魔法は使えなかった。そのため勝ち目が薄いと見て撤退したメイリーであったが、攻撃魔法が使えても簡単には勝たせてくれないようだ。

「魔法を斬るのか。面白い」

「遠距離の対策も出來ずにSランクにはなれん」

「それもそうか!『焔槍』」

「はっ!、こればかりでは蕓がない。他の魔法も見せてみろ!」

「なら近づいてきなよ『焔連槍々』」

シドの実力であればメイリーの魔法を掻い潛って近距離戦に持ち込むことはできる。メイリーからすれば地上に留まるのではなく、飛行魔法や浮遊魔法で空中からシドでも防げぬ大魔法で攻撃する手もある。しかし両者とも自の有利な戦法で戦う素振りは見せず、メイリーは『詠唱破棄』で速さ優先の攻撃をし、それをシドは防ぐのみであった。

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(私としてはSランクの剣を間近で見れるチャンスを逃したくないが、あっちの狙いは私の魔力切れか。何かここら辺一帯に変なの張り巡らせてあるから『転移』で逃げれないし。まあ逃げる気もないが)

シドからすればメイリーの攻撃なら防ぐなり避けるなりできる算段なのだろう。それは実際ほとんど正解である。『空間斷裂』等の大技の発には一瞬の間がある。彼ほどの実力ならその間で躱すことは難しくない。かといってこのまま遠距離でチマチマやっていても効果は薄い。

そのためメイリーは、相手の土俵に踏み込んでいく。

を強化魔法で強化しシドに突っ込む。その速度は並の近接職を凌ぐ。がその程度ではシドの眼から逃れることは出來ない。

「舐めるな!」

シドが大剣を振り下ろす。

「舐めては、ない」

その瞬間メイリーの遅延魔法が発し、『風楯』がシドの大剣とぶつかる。しかしその程度の魔法でシドの剣を防げはせず、メイリーの肩に深々と斬り込まれる。

「その程度で防げると」

「思ってもいない」

「な、剣が! くそ!」

しかしメイリーはシドの大剣をで止めるこの形を狙っていた。シドは異変に気づき即座に剣をメイリーから抜き、距離を取るがもう遅い。シドの自慢の大剣はボロボロに朽ちていってしまう

「何をした!」

「…『鉄朽紅』。武破壊用の魔法だ。流石にそれほどの業を朽ちさせるには、これくらいの大怪我…ああもう『回復』されたか」

メイリーは挑発するように、回復した肩を見せつける。大切な相棒が朽ちた代償が何もなくなってしまったのだと見せつける。

シドはメイリーが挑発していることを理解し、理解した上でそれにのる。

「やはり舐めているか」

「特にそういう意図は無いが」

「いや、舐めている。俺を剣を失ったくらいでせると思っているんだからな!」

そう言ったシドは今までと比較にならない速度でメイリーに接近、打突を繰り出す。メイリーはギリギリで防したが耐えきれず後ろに吹き飛ぶ。

何とかを取り、瞬時に起き上がるが目の前にシドの姿はない。見失ったとメイリーがじた瞬間、橫から蹴りがとんでくる。それをまともに食らいまた吹き飛ぶ。それでもシドの攻撃の手は緩まない。

「ほらどうした! 狙い通り武を破壊したんだろ!」

「…………」

「だんまりか、よ!」

先ほどまでとは一転、メイリーがただやられるのみとなってしまう。ぼこぼこにされるメイリー。これ程までに一方的にメイリーがやられていることはなかった。

そんな圧倒的優位に立つシドだが、戦況とは裏腹に心、焦ってもいた。彼の目的はメイリーを生きたまま連れ帰り自分の主の前に持っていくこと。そのため魔力切れを狙い、今は気絶させるため弾戦を行っていた。しかしメイリーも絶妙に急所を避けダメージを減らしているし、『自回復』により與えたダメージは目に見えて回復している。

そして何よりパトライ侯爵家お抱えの魔法使いで張り巡らせた『転移阻害』の網の制限時間も迫ってきている。

「なら一撃だ。な!」

「っ!」

そのためシドは『威圧』を使い避けれない狀況で渾の一撃を叩き込むことにした。

『威圧』は発され、直しけなくなった。

「…な、ん、で?」

「さあ? 1つ言えることは、お前が私を舐めてくれたおで狙い通りになったと言うことだ」

メイリーではなくシド自が。

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