《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》8.使えるものは何でも使うべきですよね?

長くなってしまったので切りました。掲示板は次あたりにまとめます。

幸いなことに、一人でうろつく骸骨さんはすぐに見つかった。他の骸骨さんは土から這い出るのに必死だったし、り口に移してる途中ではぐれたのかな? フレッシュな方は、単純に追いつけなかったんだろうね、足も良いじに腐り果ててたし。

そんな訳で、早速実験開始。骸骨さんの武はその辺に落ちてたであろう木の棒だし、當たってもたいした威力はない。どちらかと言うと、骸骨さんが摑みかかってくることを警戒した方が良い気がする。あの骨度じゃ、多分振りほどけないしたたき割るのも難しい。首なんか絞められた日には、間違い無く召天してしまうよね。

まずは挨拶がてら、骸骨さんの右手目がけて気合の一閃。これで木の棒を落としてくれれば儲けものと思ったけれど、現実はやっぱり甘くなかった。うーん、いな本當に。

仕方が無いので、剣で骸骨の左腕を牽制(けんせい)しつつ、左の人指し指に先程のようにを燈す。骸骨さんの右腕のきは警戒しているけど、先程の一閃が骨に響いているのか、きが鈍い。

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は持っていないけれど、左腕の力も十分強く、長引くと押し負けそうなので、そうそうに眼窩に人指し指もろともを突っ込んでみる。うっ、目玉は無い筈なのに何か嫌な覚が……。と言うか、筋もないのに力負けしそうってちょっと納得がいかないんですが。強みは骨度だけにして下さい。

何となく嫌がる素振りは見せているものの、制を失って頽(くずお)れる、なんて言うこともなし。やっぱりただのじゃ駄目なのかな? ちなみに僕が骸骨さんの立場なら、間違い無く目玉は焼けただれていると思います。って怖いよね。お日様みたいに暖かくて、皮がちりちりして強制的に召天させて、廻に引き込もうとしているじが強くて。あれ、そう考えるとこの骸骨の方が吸鬼よりも強い……?

気を取り直して、左指にもっと魔力を込めてみよう。こう、人指し指の先端から、徐々に広がるじで……。

あ、待って。剣にひびがってきてる。骸骨の左腕が剣よりも強いってなんか認めるの嫌なんだけど。これでも昔は刀一本で相手の骨まで斷ち切ったこともあるんですよ。いくら剣の質が違うからって、骨に負けるのはいかがなものかと。

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「食は確保出來ない上に剣まで折られたんじゃ完全に大赤字。ここは一つ、王都に報だけでも持ち帰れるように、協力お願いしますよ骸骨さん……! 金の恨みは怖いんだってところを見せてあげます!」

いけ、僕の人指し指! さっきからじている不快の中へ、抉(えぐ)るように更に奧へと指を突き刺す。正直、絵面的に最悪。でも、さっきより明らかに骸骨さんの抵抗が強くなっている。やっぱり目玉がないだけで、僕のことを視認出來るが眼窩に存在するのかな?

「こう、なんか良いじに弾けろおおおおおおおお」

必死になって指先からが広がるイメージを捻り出す。そう、さっき僕の目がやられたような強いをもっと広範囲に! 骸骨さんの頭が発したらさすがに活を停止してくれると信じて!

僕の絶と気合が功を奏したのか、パンッと軽い音と共に、骸骨さんの頭が跡形もなく消失した。否、その場に灰となって落ちている。念の為これもリュックに詰めておこう。見る人が見ればアンデッドのれの果てと分かるかもしれないしね。

は、と言うと――うん、ただの死に見えそうな程度には、きが落ち著いている。各部位の結合も、頭蓋骨が核となっていたのか、なくなった今、比較的簡単にバラバラに出來るようになっていた。とりあえず、手持ちのロープでコンパクトに縛り上げて、っと。

時々腕がぴくぴくいて居るのはごと言うことで。

でも、殘念なことに僕の剣もご臨終してしまったようだ。どうしよう、王都まで戻るにしても、さすがに丸腰は不安すぎる。

「腕、一本拝借したら……やっぱり亡くなった方に失禮かな。失禮だよね。でも貴方の骨度は正直、魅力的なんだけど……」

あ、ロープから一本腕が抜け出てきた。え、貸してくれるの? じゃあお言葉に甘えて王都までよろしくね、相棒。

ありがたいことに、長時間死闘を繰り広げていた為、空は白み始めていた。このまま王都までさくっと戻ることにしよう。

考えてみれば、明るいところを連れ回したら、僕の相棒どうなるんだろう。骨度が低くなってただの脆い骨になったら困るんだけど。僕の安全は今、君の手にかかっている! 腕だけに!

リュックの中は食材だらけ。この中に骸骨さん(相棒)のれるのはちょっと抵抗があるので、くくっていたロープの殘りを使って、肩掛け仕様に。リュックの上に薪の要領で骨を擔げば、これぞ現代の二宮金次郎。我ながら良いアイディアだと思う。まあ、絵面は最悪だろうけど。

森の異常の影響か、行きよりも明らかにエンカウント率が下がっている。と言うかこれ、僕が余計なことして森の奧に行ったせいで、街道に居た希な獣も消えたじ? どうしよう、また一歩食料難に拍車がかかって、NPCにもプレイヤーにも恨まれる予しかしない。

あと地味にさっきから街道ですれ違うNPCやらプレイヤーに、ものすごい形相でガン見されてて落ち著かない。まあ背中に骨を背負ってるだけでもおかしいのに、それがぴくぴくいてたら引くどころの騒ぎじゃないか。

いや、腰に差してる骨を武に、兎を何羽か狩ってるからかもしれないけれど。これはほら、エリュウの代わりにせめて兎くらいはジョンさんに渡さないと、申し訳ないと言うかなんと言うか……。

検問でも絶対なにか言われるんだろうなあ、本當、事前にジョンさんに一筆書いて貰っておいて良かったよ。

§-§-§

「そこの君! 止まりなさい!」

検問に辿り著いた途端、門番に聲をかけられました。まあここまでは予想通り。あとはジョンさんの手紙と僕の説明でどうにか納得してくれたら良いんだけれど。

「うん? 君は昨日ここを通った青年か。その背中と腰の騒なは一なんなんだ……? エリュウを狩りに行くと言っていた気がするが」

「はい、森にエリュウを狩りに行ったんですが、エリュウが一頭も見つからず。

森の奧まで行った結果、骸骨さんとフレッ……えーと、ゾンビさんがたくさんいらっしゃいまして。

戻って報告を、とは思ったのですが、証拠がないと取り合って貰えないかと思い、とりあえず一人捕獲してきたじですね」

「なんだって!? 森でそんなことが……? それで、腰に腕を差してるのは?」

「あ、骸骨さんの相手をしてたら僕の武が壊れてしまったので、武の代わりになって貰ってます。大丈夫です、本人にはちゃんと許可を取りましたので!」

「……」

なんか門番含め周りの人皆の視線がなんとも言えないじになってるのは気のせいだろう。気にしたら負け、だって現実問題武がなかったら帰って來られなかったんだからね! 僕は使えるものは何でも使っていくスタンスです。背中見せたら切られるのが現実、武士の不文律なんてものはもう、とっくになくなってるからね。

「まあとりあえず、元ははっきりしてるし、って良いぞ。悪いがエリュウの涙亭に行く前に冒険者ギルドに直行してくれ。そのなりで王都の中をうろつかれたら困る。スケルトンなんて滅多にお目にかかれないからな、すぐに信じて貰えるだろう」

「承知しました。恥ずかしながら冒険者ギルドの場所を知らないので、教えていただけると……」

「おお、そうか。君は冒険者じゃないのか。それだけの腕があるのに勿ないが……なにか理由があるなら仕方がない」

いや、単純にメインクエストが発生しないだけで、特に理由とかないです。お金が稼げるのであれば冒険者でもなんでもなりますよ? とは思うものの、口に出しては言えないので、曖昧に頷いておく。

「じゃ、これが冒険者ギルドへの道筋だ。分からなかったら誰かに聞けば教えてくれるだろう」

「ありがとうございます!」

思ったよりもスムーズに検問を通過し、僕は王都の中へとることが出來た。背中と腰辺りにんな人からの視線をじるけれど気にせず、門番から貰った概略図を手に冒険者ギルドを目指す。

五分程度歩いたところで、「絶対これだろうな」と言う建が見えてきた。なるほど、冒険者ギルドだから門から比較的近い位置にあるのかな。とりあえず玄関を開けて中へとってみよう。

って正面にある、付と思しきところへ歩を進めてみる。ツテがある訳でもないし、とりあえず誰に報告すれば良いのかから聞いてみるしかないよね。

「いらっしゃいませー、冒険者ギルドへようこそ! ご依頼……ではないですよね?」

にこやかな笑顔で迎えてくれたの顔が、僕の背後と腰を見た瞬間にちょっと真顔に戻ったのはショックだ。ええ、冒険者ギルドってこう言うの見慣れてるんじゃないの?

「あ、えっと……東門から出たところにある森にエリュウを狩りに行ったんですけど……肝心のエリュウは見つからず、奧の方でこの方々がうようよ居たので報告に來たんですが」

「え、森ってすぐそこの森ですよね!? しょ、々お待ちいただけますか? マスターへと話して參りますので」

「あ、はい」

ばたばたと慌てたように走り去っていく付の。でも僕はそれよりもさっきから気になることがある。なんか……注目を集めるのはここまでの道中で慣れてしまったけれど、どうにも先程までの雰囲気とは違う気がする。「ほら、例の掲示板の……」とか「あの配信の……」なんて単語がちらほら聞こえるけれど、なんだろう?

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