『貴方には聖の資格がある。』

周りの人間が驚いた様子で自分を見ていたのを覚えている。最初の祭禮の儀にて司祭からお言葉を授かった。齢僅か５歳の頃だったか。

「聖＿＿＿＿＿？」

聖などと言う言葉をかった私は知らなかった。

「ディアーナ」

母は嬉しそうに自分を抱きしめる。父は後ろの方で頰を上げ嬉しそうに笑う。

「流石、俺の娘だ。」

私はそんな二人の顔を見てどうにも嬉しくなった。

「ママとパパはディアーナがせいじょでうれしいの？」

街で裁店を経営する母と父の間から生まれた娘が聖となる。

「えぇ、勿論よ。」

「まさか俺達の間に聖様が生まれるなんてなぁ。お前は俺たちの誇りだ！」

頭を父にでられる。今に思えば何も知らなかったからこそ當時は頑張れたのだろう。

「＿＿＿＿＿＿さて」

暫く父母と會話をわしていると司祭が近くにより、膝を著き目線を合わせた。

「ディアーナよ、其方には此れより神殿にて修練を積んでもらいたい。」

神殿。初めて聞く言葉。

「ママとパパも一緒？」

しかし司祭は首を橫に振り謝罪をする。

「＿＿＿＿世界を安寧へと導くのだ。其れを可能とするのは神から恩恵を與えられることが可能な聖のみ。盡力するのだぞ。」

難しい言葉を並べられ困の表を見せる。

「どんなに離れていようと俺達はお前をしている、ディアーナ。」

「そうよ。必ず立派な聖様になって弱き者達を導きなさい。」

二人は再び自分を強く抱きしめた。

（ディアーナがせいじょになればパパとママが喜ぶ！）

故郷の街は信仰都市。齢が５つになる頃、教會へと赴き、天の奇跡にてその者に相応しい道を啓示する風習がある。そして今日が私にとってのその日だった。

「うん！パパとママと離れるのは寂しいけど、ディアーナ、立派なせいじょさまになる！」

自分が聖と言う役職を背負うになれば父母は喜び、教會の期待に答えらるのだろう。しかしその甘い考えが、後に影響する事になるなど考えもしなかった。

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「何をしているのです！次の者の治療を！！」

「はい！」

約３年の研修、『神殿』での勉學を完了すると、直ぐに私は戦場へと投された。

「違う、其れではこの者の魔力路を傷付けてしまう。魔力を微量に神経系へと流し込み対象者を麻痺狀態にしてから治療に務めるのです！」

「は、はい！」

神父筆頭の指示をけ、治療を完了させる。

（よし、出來た．．．．）

上級の回復魔を使える神父達は戦場では重寶視され、國から戦爭がある度に招集される。そして私達の様な存在を國はこう呼稱した＿＿＿帝國教會醫師大隊、又は帝醫隊（Ｅｍｐｉｒｅ Ｃｏｒｐｓｍａｎ）と。

「私は前線付近へと向かいます。この周囲は既に我らが軍、帝國騎士隊が占領し安全な筈です。未な貴方を一人殘す事は心配ですが、聖の力ならばここ等一帯の重軽傷者を救う事はそう難しくは無い筈です。」

「ま、まってください．．．．．私一人では」

「より多くの重軽傷者を救うのですよ、聖よ。」

「っ、」

そしてディアーナもまた経験を積ませる為に教會から派遣をされた帝醫隊の一人。しかし大事な聖である為、危険な地區、最前線には派遣しない様にと司祭から指示が出されている。

「誰か．．．．．助けて、くれ。」

隣國と戦爭が続く帝國は常にと隣合わせだ。

「うぅ．．．．．．が．．．．止まらないっ」

神殿での座學では努力のおか常に一番の績を叩き出した。それに回復魔や応急処置などの研修も難なくこなして來た。

「がはっ！」

なのに治療が上手く行えない。手が常に震える。

（神父様達の的確な指示があったからこそ、私は治療を行えていた。なのにっ）

神父達がいなくなった途端にこのたらく。

「噓、治療魔を掛けたのになんで傷口が塞がらないのですかっ！」

必死に魔を再構築し対象者へと掛ける。だが、

「うぐぁ．．．．苦し．．．．．．＿＿＿＿＿＿」

目の前にいる重癥者の瞳からはが消え、息絶えた。

「あぁ、あああああああぁ！！」

が止めどなく出る死。

「だ、だめっ、死んでは駄目ですっ！！」

醫療魔を何度も何度も掛けるが、回復されない。

「なんで、なんでなんですかぁ！！」

神殿で教わった通りの事をしているのに何故、失敗するのか。

「回復してよっ！」

次の重癥者へと回復魔を掛けるが、上手く行かずに命を散らせてしまう。

「お願い．．．．．」

また次の重癥者も。

「．．．．．．． ． ．．．．なん．．．．．で」

そして最後の一人もまた治療が遅れたことで命を失った。

「は、はは．．．．．．」

騎士隊の生き殘り達からは殺意の籠もった視線で睨まれる。

「ちっ、使えない聖様だな。大層なのはその二つ名だけかよ。」

「仲間を殺しやがって」

「治療も出來なぇガキを戦場に送んなよ、クソが。」

文句や不安の聲が右往左往とする。

（必死に．．．．．私だって．．．．必死にやったんです。）

小ぶりの雨がを打つ。

「私は．．．．．私は聖様などと言う大層な役目に就けません．．」

雨が降る天を見上げ小聲で問い掛けた。

「主よ．．．．．．．何故、私などを聖にお選びなられたのですか。私では力不足です。私以上に相応しいものなど教會、いえ、信徒には大勢といます。」

無數に転がる死の上で神へと懺悔する。

「いえ、ごめんなさい．．．．．私は、私は沢山の命を救えませんでした。救えた命を私は．．．．．私の未さ故に殺してしまった。」

謝罪の言葉を口にする。

「どうか、私を．．．．．．私の不甲斐なさをお許し下さい。そして私に皆を救うだけの力をどうかお授け下さい。」

【天界の奇跡】を行使する事が出來れば萬人を救う事が出來る。神殿では百年に一度、神に真にされた者のみが與えられると學んだ。

「．．．．．．．お願い、しま」

の球が雨に紛れ落ちてくると、ディアーナは其れに気付き手の平を広げた。

「......これは」

するとその球はディアーナのへと吸収されるようにへとって行く。

「あぁ＿＿＿＿＿＿＿此れで多くの者達を救える。」