私が『聖』様の付き人となったのは25歳の時だ。聖様はまだ十歳とくはあったが、勤勉で寡黙な方だった。

「お初にお目に掛かります、聖様。私は〇〇公爵家が次、シアリーズと申します。此れより聖様のの回りの世話、公務の支援をさせて頂く事になります。以後お見知りおきを」

二大貴族の一角、公爵家の次として生まれ、名譽ある聖の【付き人】としての使命を與えられた。しかし、心では苛立ちもじている。兄との継承権爭いで敗れ、私は會った事もない上位貴族に嫁ぐ予定だった。あの頃の私は燃え盡き癥候群と言うのか何に対してもやる気も反抗する気持ちもなく流されるままに生きて行こうと投げやりな気持ちだった。

『シアリーズ、良い知らせだ。お前には聖様の付き人について貰う事になる。』

家名に箔がつくと父上は喜んでいた。兄上もまた祝福はしてくれた。だけど私の心は怒りに満ちていた。知らない男に嫁げと言われ、次は子守をしろという。これに怒らずして何に怒れと言うのだ。だけど私も大貴族の端くれ、私を挾んではならない事も重々承知している。故にを殺し聖様と対面する。

「貴方は隨分と生きづらい格をしているようですね。肩の力を抜いて気軽に接してくれても構わないのですよ、シアリーズ？」

微笑を浮かべ私の手を取る聖。その小さな優しさに私は何故か涙していた。

「うぅ......................」

「し、シアリーズ？」

聖様は大変心配しておられたが、今思えばおろおろとした聖様は可いなとは思いました。

（とは言え聖様は公務外ではあまり笑わないお方だ。）

時折見せる微笑を思い浮かべ悶る。あの可らしさよ。もうし他者に対して心を開かれても宜しいのではないかと時々心配に思います。

「シアリーズ、行きますよ」

「は、はい！」

聖様は寛大で慈悲深い方だ。京國の兵士を処刑するでもなく祖國へと返された。とても義理深く人をよく想う方だとじた。

（それに『聖』としての力は強大で、あの力に現狀正面切って戦えるのだとしたら騎士団長くらいしか考えられません。）

公國の三英傑【力のヴァータ】【速のヴュール】を圧倒し、最強と名高い京國の妖刀【村正】を屠ってしまった。

（強すぎる、強すぎるでしょ、うちの聖様.........一生ついていきますよ、うん）

聖としての背を見ていろと言われた時、私は完全に惚れましたね。だけど。

『年端も行かない14の淑に淡い路を抱いてはいけませんよ、シアリーズ。それは慕ではなく尊敬なのです。従ってご自の相手はしっかりと殿方からお選びなさいな。』

なんて冷めた目で優しく諭された時は逆に興を覚えたのは良い思い出です。とはいえ確かに14歳のの子にガチ惚れするアラサー子ってのはちょっとキツイですね。私も今年で29ですし。

「はぁ......良い人、いないかしらぁ.........」

なんて思いにふけっていると教會の展から見える帝都にて妹の歩く姿が目にる。彼は貴族の名を捨て騎士団へと団した。

「ヴェヌスぅ.....」

してしまった。てかなんで止めなかった私。

（あの子は確かに武勲を上げているけれど.....）

やはり心配で心配でしょうがない。

（昔はお姉ちゃんお姉ちゃんと後ろをついて回ってたのに........あのくそ親父のせいで格が曲がってしまったじゃないの！）

周りの裁を考えて強く當たってしまう自分が憎い。

「會いたいよぉ、ヴェヌスぅ「會いに行けばいいではないですか」そう簡単な話しじゃって聖様ぁ！？」

ニコニコと意地の悪い笑みを浮かべる聖様。

（聖様ってたまに格が悪いのが傷なのだけど、そこもまた可くて大好きです、結婚しましょう？」

「_________いやです」

真顔で斷られたが、その冷めたジト目にがピリッとくる。私の日常は今日も今日とて平和です。