_________世界の半分が瘴気に染まった。

「司祭様っ！！」

天は深淵に包まれ常に暗い天候となる。帝醫隊の一人が急いだ様子で駆けつける。

「何事ですか。」

「そ、それが......あの霧の中にったもの達が突如苦しみ出し、倒れたのです！！」

數多の負傷者が教會へと運ばれる。

「此れは.......」

即座に治療を開始しようとする。だが、治療に失敗した。そしてその原因が何にあるのかを即座に理解した。

「_______魔素の消失」

魔素の略奪。あの霧に囚われたが最後、魔力を奪い取られる。そしてそれだけに留まらず人へと強大な呪詛が植えつけられるようだ。魔力量が低い者は即死するレベルの毒。例え助かったとしても狂気へと狂わせる猛毒。

「奇跡よ＿＿＿このもの達を救い給え。」

天の奇跡を使い治療を試みる。

「あがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ！！！！」

天界から與えられた奇跡を唱えるが回復されない。それ以前に逆効果だった。殘念だがこのもの達を現狀救う事は出來ないだろう。

「司祭様、一我々はどうすればっ！」

神父や修道達が救いを求めた目で見ている。

「瘴気についての調査が必要です。直ぐに王宮へと向かいますよ。」

外の様子を見る限りあの霧は大陸へと徐々にではあるが拡大されている。戦爭などしている暇はもうない。

「あの霧が帝國を包み込む前に避難を警告しなければなりません。」

直ぐに原因を突き止め対処しなければ大慘事になる。

(_________急がなければなりませんね)

「．．．．．．．．此処は」

意識が覚醒すると、男は倒れていた。

（俺は確か．．．．）

記憶の混濁。月明かりが周囲を照らす。

「.................」

しい湖、そして木々や山々が並ぶ大自然。人の気配は無く、や蟲の鳴き聲、そして風により揺れる葉の音だけが聞こえてくる。ポケットの中を漁るが、何もっていない。

「うぐっ、」

（この覚は．．．．．．）

頭痛が突如として襲う。の奧を引き裂く様な痛み。頭の中で何者かが暴れる。まるで自分が自分ではなくなるような。

______力が、闇が突如として側から溢れ出る。天候は闇に染まりその場にて膝をつく。

「うがぁあああああっ！！！！」

呪われた力、瘴気。手元にはいつの間にか握られた黒剣。禍々しくもあり手によく馴染む。

「ガルルルルる』「グルルルル』『アアアアアアア』

周りにはき聲にも似た聲がいくつも木霊していた。男は痛みを抑えつつ立ち上がり、剣を構える。

（瘴気の力が...........戻っている。いや、あの時以上に今回は濃くて重い。）

まるで闇が全を覆うが如く、力が溢れる。一瞬でも

気を許せば神が奪い取られそうな程に。

「愉快な事だ」バッ

グロテスクな容姿をした化達が闇に紛れ男へと襲い掛かる。しかし男は冷靜に攻撃の軌道を読み避けた。

「此れが__________魔」

瘴気の力を得ているおか視界は闇にいて尚も死んでいない。明確に相手の姿形が見える。其れは同時に魔達にも適用されて居り、男の姿も丸見えである。

「＿＿＿＿っ」ザク

一の魔の攻撃を紙一重の距離で避け、黒剣を脇腹へと突き刺し、橫へと振り払う。は裂け、黒いが周囲へとぶち撒かれた。

「あぁ、そうか。」

口元が歪む。本の高揚、快がを包む。を切り裂き生を殺す事に最大の喜びをじた。まるで自分を満たしてくれる。其れ程の幸福を。

「さぁ、続きをしよう。いい練習になる。」

男は即座ににもう一の魔の背後へと周り抱きつくと首へと黒剣を突き付け引き金を引くように剣を引いた。切り裂かれた斬り口からが止めどなく流れ、その場へと為すもなく倒れる。其れを満遍の笑みで眺め最後の魔へと首を曲げる。魔はビクリとを跳ね、恐怖をじた。何故、瘴気の中でこうもけ喜びの表を見せるのか。まるで此方側が人間の様に弱者ではないかとさえ本能がじた。

「がああああアアアアアアア』

數多の手をばし男を殺そうとするが黒剣で軽くあしらわれ、ゆっくりと近づいてくる。魔は後ずさりをしながらも攻撃の手を緩めなかった。

ザクっ

しかしその抵抗は虛しく正面から剣を部へと突き刺される魔。そして優しくその魔の頭部らしき部位へとれ告げる。

「ディアーナ、待っていろ。」

魔達は吸収される様に男へと還元されていく。そして其れは鎧を形作る様に男を包み混んだ。

「この手でお前を........」

全黒に染まった鎧、甲冑＿＿＿＿＿そして黒の剣を握る手に力がる。

「............救って見せるよ。」