《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第十二話『救助』

黒騎士。その騎士を一言で表すのならそう呼ばれるのだろう。霧以上に漆黒の鎧、そして珍しい黒剣を攜えている。

「お前は、」

「話は後だ、此処から離する。」

マールスを背負い、そのまま最大速度で離を試みる。

(流石に數が多いな。)

無限とも言える魔の群れ。それらの攻撃を上手くかわしながら、瘴気からの出を図りたいが、どうも相手方はそれを許してくれる程、優しくはないようだ。

「もういい、お前だけでも逃げろ。」

マールスは狀況を察したのか、自分だけでも逃げろと言う。冗談じゃない。此処でコイツを見捨てれば先程までの行は無駄になる。

「マールス、あんたは帝國にとっての、いや、人類にとっての希だ。」

噓は言っていない。事実、未來に置いてマールスは深淵に墮ちた聖と【相打ち】を果たしている。才能はないが、努力、経験、そして何よりも強き覚悟が勝利へと導いた。

「俺は無力だ。」

今は無力だろう。だが、いずれは大する。剣を振るい大立ち回りをしながら、マールスとの會話を続ける。

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「今はアンタの言う通り無力なんだろう。だからこそ力をつけろ。」

「だが、俺は........」

焦れったい奴。

「団長は何の為にアンタを庇い死んだと思っている。」

説教臭い事はあまりしたくはないが、こいつをい立たせねばディアーナ達の旅路に影響が出る。

「________未來へと希を殘す為だ。アンタが今すべき事は何だ、マールス!!!」

へと蹴りをれ剣で切り裂く。そして手や爪の攻撃を用に躱し、弾きながらマールスへと問う。

「俺がすべき事、それは_____」

視界が暗闇からへと変わる。周りを見渡すと霧の及んでいない領域に出たようだ。魔達の追撃もない。黒騎士はマールスをその場へと下ろしゆっくりと腰を下ろした。

甲冑は至る所を破壊され、にもいくつもの傷が出來ている。勿論、瘴気による自己再生が現在進行形で行われているのだが、痛いものは痛い。勿論マールスを庇いながら戦っていた影響のせいだが。戦闘が続けばマールスを殺られ、此方も瀕死に近い狀態になっていただろう。瘴気領域から何とか出出來た事に安堵の表を見せる。

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「それで答えは出たのか。」

「あぁ、俺が今すべき事は『生きる事』だ。生きて、団長、そして仲間の仇を取る。」

マールスはこの先に見える瘴気を睨みつけそう宣言した。どうやら覚悟は決まったようだな。

「そうか。」

(さぁ、あとは帝國へとことの事実を報告して退役するだけだ。)

重癥にも近いであるマールスを再びと背に乗せ、帝國へと歩みを進める。一応はある程度の応急処置、止などは済ませてあるが、ポーション、又はヒールなどの治療行為が必要だろう。

(そして冒険者になってユーノ達と合流すれば良い。)

そんな思を思考しながら歩いていると、マールスが聲を掛けてきた。

「お前は_______________________________何者なんだ?」

さて、どう言い訳したものか。

「俺は______」

いや、簡単な話だ。

「騎士団の馴染みに雇われたに過ぎないただの傭兵だ。それも腕に自信のある、な。」

傭兵なんて都合のいい言葉は本當に使い勝手がいい。

(ただの傭兵だと......あれ程の実力があれば各國の騎士団達は放って置かない筈だが。)

マールスは疑心に満ちた様子で黒騎士を見る。

「傭兵を卒業して冒険者にでもなろうと思った矢先に顔見知に合ってな。」

冒険者という単語にマールスは反応する。

「冒険者......」

(確かにこの男が冒険者になればミスリル級、Sになる事など容易な事だろう。)

「あぁ、高位の冒険者になれば地位、名聲、しいままに出來るからな。俺は騎士団やら教會やらに仕える気はない。縛られた人生はもうこりごりなんでね。」

わざとらしく両手を軽く上げ、首を橫に振る。

「自由に生きたい、か.......」

その気持ちが分からなくもない。だが、アレだけの強さを兼ね備えたこの傭兵を用いても、霧の脅威はそれを軽く凌駕して見せた。

(今の帝國が霧に対し抗える力があるとなれば、聖以外にいない。)

帝國の主力が壊滅した今、この大陸は危険に曬されている。可能ならばこの傭兵を帝國軍へと引きれたい。

「なぁ、お前はあの霧をどう考える?」

マールスは問う。

「霧、か。アレは人を死滅させる呪い。または浄化作用なのかも知れないな。」

「浄化作用?」

黒騎士はマールスの部を指差し言う。

「神々の怒りを買ったと言うことだ。」

「神の怒り.....だと?」

「そうだ。俺やお前の様な存在が常に戦爭ばかりする世界をどう思う?」

マールスはを強く噛み締めた。確かにここ數十年、隣國だけに留まらず、數多の國々と戦爭ばかりして來た。

「人と人とが手を取り合い生きて行かねばならぬ世をで穢したのは誰だ?」

答えは簡単だ。

「..........俺達人間だ。」

マールスは霧へと視線を向けた。

「だが、あれが天罰だとでも言うのか。」

「.......さぁな。」

もちろん、黒騎士は瘴気の正を知っているが、敢えてそれっぽい噓と真実を混ぜた事を言う。

「そろそろ帝國に著く。生き殘りは【アンタ】だけだ、マールス副団長。」

帝國への報告に自分の存在を匿する様、遠回しに言う。

「.........ダメだ。俺には真実を明確に説明する義務がある。恩人とは言え、俺は騎士大隊副団長.....ついて來てもらうぞ。」

ふざけるな。これ以上語に関わる訳には行かない。自分と言う存在のせいで語が大きくズレ始めている。軌道を元ある形に戻さなければディアーナの在り方が変わってしまう可能がある。

「斷らせて貰う。俺はただの雇われ傭兵だ。雇い人が死んで報酬はゼロ。其れに帝國の報告について來いだと?笑わせないでくれ。金にならない事はしない主義なんだ。」

敢えて守銭奴な傭兵を演じる。

「ほう、金か。ならば俺が王宮に掛け合ってみよう。一騎士が支払う報酬以上のものが手にるぞ。」

マールスとの距離を早急に置かなければならない。だが、金もなく宿代もないのは確か。

(どうする......)

帝國についたとしても野宿をしなければならない。其れに食事はどうする。昨日から何も口にしていないし、今から冒険者ギルドでクエストを取るのも力的に辛い。そもそもギルド登録するのに金がいる以上、まずクエストもけられない。

「くっ..........すまないが一つだけ條件を出させてくれ。其れが通ればアンタと共に報告に行ってやる。」

異界での金銭問題がシビアである事にため息を吐く。

「その條件とは何だ?」

黒騎士は自分のに著ける鎧を指差し告げる。

「武類の武裝は解除する。だが、鎧の解除は無しだ。」

「王宮の連中がいる。そもそも検問で武裝解除を要求されるだろうから無理だ。」

「其処をなんとかしろ。仮にも恩人なんだ。それくらいの無理は通してもらう。」

「.........団長の申請なら通っただろうが、俺はまだ顔が知れてないんだ。」

まだまだ歴が淺い副団長と言う立場なのだろう。

「一応は試して見る。だが斷られたら鎧は外してくれ。」

「........検討しておく。」

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