《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第十三話『皇帝』

皇帝の間にて_______

「そんな......馬鹿な」

「有り得ぬ.......」

王宮の連中は言葉を失っていた。

「1萬人以上の騎士、それも魔力に秀でた鋭達が全滅.........此れは悪夢なのか。」

マールスと共に膝をつく黒騎士。もちろん鎧はに纏っている。

【俺にれてみろ、次は殺す。】

先程裝備を剝がされそうになった黒騎士は王宮の兵士たちをあろうことか毆り飛ばしたのである。マールスはため息をつきつつ、各方面に謝罪の言葉を口にしやや疲労気味である。

「して生き殘りはマールス副団長、そして其処の狂犬だけか?」

玉座に座る帝國の最高位階である皇帝が問う。

「はっ。仲間達は私を逃す為に命を賭し戦い......戦死、しました。」

「死んだ、か。だが、その判斷は正しい。我が帝國には貴殿の力が必要だ。騎士団長を失った事実は惜しい。だが、全てを失った訳ではない。」

黒騎士は皇帝の顔を鎧の中から覗き込む。

(アレが帝國の皇帝か。聖が闇に落ちた際に彼の使役する魔幹部に王宮の連中ごと皆殺しにされていた気がするが........)

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明確には覚えてはいないがそんなじだった気がする。

(いやまて...確かあの皇帝は幹部の一人を葬っていた。)

最後にはもちろん殺されてはいるのだがそこそこの戦闘力はある。故のあの威厳なのだろう。下手したら現狀のマールスよりもかなり強い可能が高い。

「全てはこの者のおです。死の間際、この者が私を救ったのです。」

皇帝の目付きが鋭くなる。

「そうか.......傭兵だったな。見事な働きだ。だが、そなたが先程犯した愚行は見過ごす訳には行かぬな。無論、此度の報酬は與えよう。」

報酬を貰い此処から出ていきたいと言うのが本音だが。

「何を要求するつもりだ?」

「口を慎め!」

「下賤な傭兵風が!」

「陛下の前であるぞ!」

王宮の連中がぎゃあぎゃあと五月蝿いがそれらを無視して立ち上がる。

「要求は一つ。」

皇帝へと視線を向ける。

「貴殿には新たに作る騎士団に加わって貰う。斷れば帝國から即刻退去して貰う事になるが。」

帝國領以外の地域に安全な場所はほぼない。

(........斷れば死ねと言っている様なものだ)

「俺は傭兵だ。」

語に必要以上に関わりたくはないが、此方側が死んでしまっては元もこうもない。つくづくと己の進む道が茨である事に苛立ちをじる。

「報酬が出るなら引きけよう。」

マールスへと目線を移すと薄っすらと笑っていた。

(こいつ......)

こうなる事を予期していたのか。

「マールス副団長、貴殿を新たなる騎士団長の任を命じる。」

「はっ!皇帝陛下の名の元に必ずやあの霧を振り払いましょう!」

..........最悪な事態になった。

(マールスらとは極力干渉してはならないと言うのに....)

帝國にて與えられた家。そして新たなる騎士団にて副団長の地位も與えられた。宰相や他の王宮の連中からの反発もあったが皇帝の意志故に決定が下されてしまった。

コンコン

扉を開くと私服を著たマールスがいた。

「..........ジョン、新居はどうだ?」

どうにも運命の神とやらは自分を混沌へといたいらしい。其れに馴れ馴れしく名前の呼び捨てか。

「悪くない。だが、最悪な気分だ。誰かさんのせいでな。」

「何度も謝っただろ、許してくれ。」

苦笑を見せながらずかずかと人の新居へとってくるマールス。手には大きな袋を持っていた。

「飯は食べたのか?」

「今から食材を調達しに行くところだった。」

「なら良かった。丁度、食べをいくつか買って來たんだ。食べよう。」

袋から何やら食べを取り出すマールス。とても良い匂いがする。

こいつの前で鎧の解除をしていいものかと迷う。しかし、目の前に出された飯の匂いが鼻を刺激して思考が緩和している。

「はぁ......マールス、誰にもこの姿の事は言うなよ。」

空腹には負けた。認めよう。だが、一応は警戒をする。

「.........」

しかしどうやらその心配は杞憂のようだった。

「ま、そういう事だ。」

マールスは自分の目を疑った。

(なんだ、こいつは.....伝説に記される妖の類か?)

「.....ふつくしい」

言葉が自然と口かられる。

「気持ち悪いぞ、マールス.........飯にしよう。」

黒騎士の言葉をけ目を覚ました様に飯へと手をつけていく。

「あ、あぁ。」

冒険者になる必要はなくなったが.......

(...........余計な事に巻き込まれたものだ。)

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