《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第十六話『決闘』

「此処が騎士大隊の本部ですか。」

ディアーナは馬車から下りると騎士大隊が本部としている帝國騎士団の居城を見上げた。

「「聖様、お待ちしておりました。」」

門が開かれると左右に騎士達が控え、奧へと続く道を作っていた。ディアーナは付き人の修道二人を連れ歩き始める。

「行きましょう。此れより先の険しき戦い、聖道なきものには務まりません。指揮を取るものは常に最善を考え、隣人を支え合わなければならないのです。」

故に副団長へと任命された男を見定めなければならない。

(先の遠征で帝醫隊として派遣した神父、修道を死なせてしまった。私の淺はかな判斷が招いた失態です。これ以上の死傷者は出してはならない。我が主の導きに従い、闇を払いましょう。其れこそが聖としての使命なのですから。)

「聖様、マールス団長並びにジョン副団長は訓練所にて修練の指示を出しております。此方について來て下さい。」

達は案をする騎士の後を追う。

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「「「いざ尋常に勝負!」」」

細剣、しいレイピアを武とするヴェヌスが聲を上げる。そして同時に低い位置からの鋭い突きが頭部目掛け飛んできた。

(完全に殺しに來てるな)

黒騎士はを曲げ紙一重に避ける。そして長剣を橫払いに振るうと、ヴェヌスは跳躍し其れを避け、連撃の突きを空中にて浴びせてくる。

(流石に強いっ)

剣を盾に防ぐが何撃かは喰らってしまう。

「ぐっ!」

瘴気で編んだ漆黒の鎧があるにも関わらずを裂かれた。

「當方の【寶剣】はし特別製だ。」

その言葉を聞き黒騎士は即座に理解する。

(鎧に傷はない。と言うことは過する事が出來るのか。)

瘴気の治癒力で傷は再生されるが痛いものは痛い。

「新たな力をに著けたか、ヴェヌス。」

マールスはその剣を集中深く見る。

(アレは以前、ヴェヌスと稽古した際には見なかったものだ。)

黒騎士は瘴気をへと流しこんでいく。素の狀態では完全に勝てないと悟ったのだ。速度、そして技量は自分の遙か上を行く。

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「うぐっ」

(瘴気の反はやはりきついな、)

人間では勝てなくとも人外ならばその上を行く。

「___________済まないがここ迄だ。」

の強化を行うにあたり瘴気を活化させるが、やはり殺人衝にて広がる。

「其れは負けることを認めると言う事か?」

口元を緩ませ挑発をする様に問うヴェヌス。

「いいや。あんたの負けだ、ヴェヌス。」

「ふっ、面白くない冗談だ。」

ヴェヌスは間髪れず、レイピアによる直線的な突きを放つ。しかし黒騎士は其れを避けず長剣を振るった。

ガキンッ!

「なっ!?」

手元から弾き飛ばされた剣を見て驚くヴェヌス。

「__________終わりだ。」

首元へと剣を突き付けた後、一度払うと鞘へと長剣を戻す。

帝國貴族_____その中でも公爵家の三として生をけた。

「お前は子を産めば良い。相手は儂らがしっかりと選定した者だ。何一つ心配する事などないのだ。」

長男であるメリクリウスは家督を継ぎ、姉は聖の付き人と言う重大な役割についた。殘された當方は母胎としてのみの役割を果たせと父上に命じられる。

「何処にいくのだ、ヴェヌス!」

しかし、當方には其れが我慢ならなかった。

「家を出て行くのですよ、父上。」

き頃より習っていた剣、そして魔法技の才能を活かせない未來など要らぬと家を後にする。

「當方は初代公爵様の様に帝國一の騎士になる。」

祖先である初代公爵は王の剣としての活躍を認められ、公爵の立場までなり詰めた偉大な騎士だ。だからこそ、當方も立場だけに甘んじる貴族ではなく実力に見合った真たる騎士になりたかった。

「お嬢様、お戻りになられ下さい!當主様が心配しておられます!」

騎士団にって尚も常に家の者達が自分を連れ戻す為に訪れる。

「當方をお嬢様と呼ぶな!ヴェヌスは騎士であり何者でもない。あの老害に伝えるのだな。本當に心配をしているのは當方なのか、子を産む為の母胎なのか。」

それ以降、家からは何一つと連絡は來なくなった。其れが答えだ。政略結婚の為の道。あの父親は公爵家の事しか考えていない。當方は毎日と剣の修練を積んだ。剣などの大會や催しなども全て出場し見事に一位に輝いた。努力は欠かさない。

「ヴェヌス、しは休んだらどうだ?」

団長やマールス副団長を除いた戦士達には手こずる事もなく勝利して來た。

「いえ、団長や副団長に追い付くには休んでいる暇などありません。」

隣國との戦爭でも剣を振るいこのが鮮に染まるまで敵を躙して來た。當方は強い。何れは副団長のみならず団長の力を越える実力者になるのだと。

「ヴェヌス、次の任務では帝國の防衛に當たって貰う。」

「何故ですか!當方も共に霧の調査に連れて行って下さい!」

しかし大規模な調査任務では當方は外された。

「我らが遠征する事で帝國の守りが弱くなる。聖様も殘るが、萬が一を考えお前を殘す事にしたのだ。」

団長は當方の肩に手を起き、後の事は任せると仰言って下さった。

「_______當方がいる限り、帝國に危険は訪れない。この剣に誓い帝國を守り抜く事を約束しましょう。」

最高戦力である団長と副団長が遠征に出るのだ。誰かが殘り、防衛に転じなければならない。

「そうか、後の事は任せたぞ。」

調査任務に行けないのは悔しいが、実力を認められているからこそ自分は殘されたのだと、心の中では歓喜した。

「.....1萬人の調査団、全滅だとよ。」

「はぁ?あの団長と副団長が一緒にいたのにか」

信じられない話を耳にした。

「ありえない......」

數々の戦役で無雙を誇ったあの二人が同行したにも関わらず全滅した。それ程までにあの霧は驚威と言う事なのか。

「おい、生き殘りはいるのか?」

「あ、誰っ....ヴェ、ヴェヌス殿!」

驚いたように此方の顔を見る二人の騎士達。

「______マールス副団長がご存命です!」

マールス副団長が生きていた。

「そうか.......」

邪な考えが頭に浮かぶ。仮にマールス副団長も死んでいれば繰り上がり的に自分が団長の立場になったかも知れないと。

「いかんな、當方は騎士だ。」

だが、副団長への昇進は決まっただろうと心余裕を見せていた。

「此れでやっと當方は目標に近づける。」

最強の騎士の稱號。き頃より夢みた己の姿が後しで本になると。

応援、想、宜しくお願いします。

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