初めて人を見てしいとじた。一角以下の時代しか過ごせなかった私にはとても尊くしくても屆かないものだと自覚していたが、この気持ちこそがなのだろう。

(けれど、一目惚れなんて言葉で片付けたくはない。)

この気持ちは何処か久しく、とても暖かいものだ。まるでかつて家族として暮らしていた様な、そんなしくを彼の姿を見てじる。

「__________此れで満足か、聖？」

そして素顔を曬した彼は何故だかは知らないが常に私に対し優しい表を見せていた。

(の何処を調べても瘴気に侵された事実はない.......)

深淵にも似た黒の髪、そして端整な顔立ち、瞳は鋭く紅い。は鍛え抜かれ、彫刻のようだ。

「貴方は魔．．．．．なのですか？」

彼は何かを考える素振りを見せるとこう答えた。

「俺は．．．．．．アンタの『仲間』だよ。」

まるで私を虜にする魔の微笑み。

「仲間、ですか．．．．．．それを信じろと？」

私を見ているのに私を見ていない。何処か遠くにいる誰かを私を通して見ている。

「大丈夫。俺はアンタ『だけ』は絶対に裏切らない＿＿＿＿＿＿＿必ず守る。」

聖である私に対し守るとこの男は言った。一騎無雙を誇る私に。他の騎士や教會の人間が聞けば笑うだろう。だが、彼の目は本気だった。決して冗談を言う目ではない。

「そう．．．．．ですか。」

研鑽に研鑽を重ねた私に対し墮落しろと脅している様に聞こえる。それ程までに彼は私の心にめる何かを揺りかす。

「．．．．．．．．マールス団長、本日は時間を取らせて頂きありがとうございました。し、気分が優れないので後日、改めて伺います。」

マールスの方ではなく黒騎士の方へと視線を向け、言葉を発する。

「あぁ何時でも來てくれ＿＿＿＿＿＿＿＿＿待ってる。」

聖へとも含めた顔で手を振った。其れを見た聖は耳を赤くし、逃げる様に家を出る。

「ジョン．．．．．お前はああ言うお堅いが好きなのか？」

クスリと意味深に笑うと、キッチンへと向かう。そして湯を沸かしながらディアーナの事を考えるのだった。

「__________だ」

（いや＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ディアーナだから良いんだ。）

「聖様！」

ディアーナは付き人達を無視して馬車へと乗り込む。

「あぁ．．．．．．私はっ///」

赤面した顔を両手で抑える。あの傭兵に関する瘴気の件などどうでもいい程に甘い熱をじていた。

「聖様っ！何かあの男にされたのですか！？」

「あの者を教會の名の元、処斷しましょう！！」

二人の付き人は心配してか、馬車へと同乗しディアーナへと話を掛ける。

「いえ、彼の方は潔白です。副団長の席は務まるでしょう。」

（けれど、やはり次に訪れる際には聞いた方が宜しいのでしょうね。)

奇跡を拒絶した事実。それは彼が何かしらの呪いを背負っている可能があると言う事だ。もし仮に放置でもして魔と化してしまったらディアーナ自の責任で大勢を危険に曬した事になる。

（私は民を闇から救う聖。沙汰に現を抜かしている場合では在りませんね。）

従って定期的な監視、接にて容を見る必要があるだろう。

（此れは決して彼の方に逢いに行く為の口実ではないのです！）

心の中でそう言い聞かせてはるが、口元が緩んでいる。

【何時でも來てくれ。】

先程の言葉を思い出す。

（あの方は常に私に好意的でいてくれた。）

あれ程の善意を人からじた事がない。話した言葉はないけれど伝わってきたあの思い。天界から奇跡を授けられている事もあってか、人の心がなからず伝わってくる。故にあの方からは溢れ出んばかりの親にも似た

が自分に向けられている事をじられた。

（教會にいた際に私は幾度と貴族達との縁談を持ちかけられて來ました。それに帝醫隊として前線に出ていた際にも仲間から求を幾度とけた事があります。）

けれども全てが聖としての力、を求めるだけのものだった。中には私に本気でをするものもいただろうけど_______

（_______私は全てのいを斷った。）

私はどうやら世間で言う人らしい。鏡などあまり見ない為に自分の容姿を評価は出來ないが周りの反応を見るにそうなのだろう。

（どれもあの方の様に純粋なを向けて話す方々は過去にはいなかった。）

気になる。何故、彼が私に対してこうまで好意的なのか。