『話＿＿＿＿_銀狼と』

森の賢者、森神、賢狼、銀狼、森羅萬象を司る者、と數多の呼び名を持つ白銀の狼がいた。は病に苦しむ祖母を救う為に森の賢者が住むと言われる聖域へと旅立つ。森の賢者は人、、蟲と全ての生きが持つどんな病、怪我をも治すといわれている。反面、その力を利用しようとする者達には裁きの鉄槌を下すとも言われ、聖域には人は近寄ろうとしなかった。は険しい道程を得て森の賢者が住まう聖域の中心へと辿り著く。其処は緑かで蝶や花が咲き誇る神的な場所だった。

”お願いです!私のおばあちゃんを助けて下さい!”

は涙を流し、森の賢者へと縋りつく。森の賢者はに二つの條件を授け祖母を助ける事を約束した。

【一つ、一月の間に祖母に別れを告げること。】

【二つ、聖域に必ず戻る事。】

は迷う事無くその約束を承諾した。は急ぎ故郷へと帰還する。

”おばあちゃん、私はもう此処には戻って來る事は出來ないの”

祖母は涙を流しの手を離さなかった。だがは祖母の手を振りほどき聖域への道程へと走り出す。免なさいと言う謝罪を何度も口に出しながら夜月へと向かいぶ。

”おばあちゃんを..........助けて”

聖域へと足を踏みれたは息を切らしながらも必死に言葉に出し祖母を救う様に懇願する。森の賢者は遠吠えを上げると聖域は木霊を上げる様にしく白きを上げ天空を照らした。そして森の賢者はへと告げる。祖母の病を取り除いたと。森の賢者は靜かに首を地面へと垂らしを慈悲深く見た。自の死が近い事をに伝える森の賢者。

”＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ありがとう”

最後に生命を救う為に力を使えた事に謝する。そして幸福をじながら銀狼はゆっくりと眼を閉じるのであった。

此処でこの話は終わりを告げている。因みにではあるが話、即ちメルヘンチックなファンタジーな世界でもある為、聖域のクリーチャー達は可らしい姿をしている。

「可いわね。」

しかし、その殘は外見とは真反対だった。ぬいぐるみの様な姿の奧には獣の様な牙が隠れている。森の霊とクリーチャー達は歌を歌いながら殺しに來る。

「邪魔よ。」

しかしには関係なかった。腕を噛まれようと爪で裂かれようと邪魔をするものは一匹殘らず殺した。武屋で買った剣をひたすら腕力のまま使い撲殺するのだ。

「私はおばあちゃんを救うの.........絶対に死なせたりしないんだから。」

執念により覚が麻痺していると言えば良いのだろうか。故に彼は正常に戦えていた。

「賢狼は何処か!出て來なさいよね!」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿

唯の町娘であった彼には戦うには理由がある。其れは育て親である祖母を助ける為。不治の病と言われ、様々な醫者を訪ねたが治す方法は見つからなかった。

「もう良いのよ。おばあちゃんの事は良いからいい人でも見つけて一緒に暮らしなさいな。」

日に日に弱っていく祖母。どうにかしないとと言う強迫観念が常に襲う。

「............どうすれば良いってのよ!」

一人、涙を流しながら蹲る。もう時間がない。祖母の命を助ける事が出來るのなら何だってする。

「神様.......うぅ........お願いですから.......おばあちゃんを助けて........」

窓から指す。神に願おうが何も起きはしない。

バサ

その時、一冊の本が棚から落ちた。

「____________聖域の狼。」

昔読んでもらった伽話の絵本。

「そう.........おばあちゃんを助けるには......」

近寄っては行けないと言われている聖域のお話。

(行くしか.............ないのね。)

は直ぐに鞄へと食料を詰め込み、武屋へと向かう。

「このお金で買える剣を頂戴!」

袋にった金貨を手渡すと武屋の店主は安い剣一振りと投げナイフ數本を見繕った。

「嬢ちゃんが何しようとしてんのかは分かんねぇが、後悔だけはするな。」

店主の言葉をけたは剣を奪い取るように取ると告げた。

「後悔しない様に私は剣を手に取るの!」

そして店を出て行く_______覚悟と共に。