《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第六十九話『 神の敵対者』

天界に存在する殆どの天使達が天使長であるルキフェルの元へと集う。

「____我が同胞達よ」

そして天界は靜寂に包まれ、視線は一點へと向かれた。

「________我ら天使はいずれ、人間達に搾取される。」

天使達は先程までとは違い鋭い表へと顔を変えていく。

「以前、我らが同胞であったアザゼルは人の扱いに対し異を唱え、天界を追放されました。人と言う種は現在、二の個が存在します。ですがそれらは忌の実を口に含み知識を得ていないからに過ぎない。生行為の恩恵を授かれば人は増し星の害悪となるでしょう。しかし人はまだ純白な神をしている。故に主は原罪を課さないのです。」

天使達は聞きる様にルキフェルの話へと耳を傾けていた。

「いずれ彼らは忌を犯し主の命を破ると斷言します。この危険がどれほどのものかお分かり頂けますか?」

天使達はザワつき始めるがルキフェルは話を止めない。

「そう、主から授かる寵が人へと向くことになるのです。そして、それだけでなく主自らが作り上げたこの星を終焉へと齎す要因となるのです。」

天使達は口を閉ざす。だが、一人の天使が言葉をらした。

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「主は平等に我らをして下さる筈だ。それに主は何かお考えがあるのではないのか?」

その一言が他の天使達にも影響し、そうだ、違いない!と言い聞かせ始める。

「確かに主は何者に対しても平等である。ですが、同胞よ_________貴方達は【人】へと盡くせと命じられれば疑問はじないのですか?」

空気が変わるのがじられる。天使達はルキフェルの意図を理解したのか”何故我らが神以外の者に盡くさねばならぬ”と憤怒の表を各個に見せ初めていた。

「我ら天使は主以外に頭を垂れるべからず。我らのは常に祖である神の為にくべきであり、【創造】に盡くす為でない。故に我らは主に意見を唱えなければならない。」

天使達は驚きの表をルキフェルへと向ける。何故ならば、天使は神の従順な使いであらなければならないと言う掟があるからだ。そして天使の長でもあるルキフェルが其れを破ろうとしているのだから。

「ですが、私一人で赴いたとて裁かれるのも事実。私には同志、天使の総意が必要なのです。」

両腕を靜かに上げると晴天のしがルキフェルへと向け神々しく照らされた。

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「天使の未來の為、私へと協力をしてくださいませんか。」

その一言と共に天使達から喝采が上がった。

(_________我らが偉大なる主に再び寵を授かる為に)

ルキフェルは安堵からか見逃していた。その天使の群集に置いて喝采を上げずその場を去るがいた事に。

『そうか、報告ご苦労であった。』

神はルキフェルの行なった演説についての報告をける。

『ミカエラよ____________明けの明星を捉えよ』

現在、神の間へとほぼ全ての天使達がルキフェルの唱える疑問について、解を得る為に向かっていた。だがそれよりも先にミカエラは神の元へと馳せ參じ、ルキフェルについての報告をしたのである。

『【裁きの神剣】の帯刀を許可する。』

ミカエラは驚きの表を見せる。

「.............裁きの神剣」

此の剣は熾天使階級以上の者しか振るってはならぬと言われる天界の象徴的な武である。降るわば大陸は容易く割れ、刀れた者は一切の躊躇なく存在ごと完全に消滅する理の様な代だ。

(ルキフェル _______ふふ、此れで君は僕を)

ミカエラは一禮をすると玉座の間から退出し天界の奧底にある武庫へと向かうのだった。その瞳の奧には兄弟であるルキフェルの姿ただ一人映っていた。

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(これ程の賛同者がれば主も我らの意見へと耳を傾けて下さる筈だろう。)

ルキフェルは余裕然とした様子で賛同する天使達と共に神の元へと向かっていた。

「_______此処から先は行き止まりだ。」

しかしその行く手を止める者がいた。

「聞け!!明けの明星、反逆者たちよ!直ちに投降し罪をれるのだ!」

立ち塞がるわミカエラ。び聲とは裏腹に表は何処からかく微笑みを浮かべていた。

「貴方に構っている暇はありません。そこを退きっ!?」

ミカエラへ退く様に言葉を紡ぐが突如としてが天から降る。

「これは______」

天から降るを目にルキフェルは唖然とした。

「_____________天の裁きっ!!」

臺詞を言い終えると同時に大勢の天使が遙か高き天から裁きのけ地上へと落ちていくのを目にする。

「主よ!!何故我ら罪無き天使達を罰っせられる!!!」

ルキフェルは天を仰ぎながらぶ。そして天使の長槍を顕現させる事により天の裁きを防ぎ勢を立て直す事に功する。辺りを見渡すと複數名の天使達は強大な力である‘天の裁き’を何とか回避しようと闘している。

「主は君達を裁こうとしているのに避けては駄目じゃないか。」

ルキフェルの直ぐ目先に剣先が迫る。それを寸前のところで避け距離をとる。

「っ_____ミカエラ!!!」

怒聲と共にミカエラは追撃をする様に襲い掛かる。

「その程度の攻げっ____」

天の槍にてミカエラの振り落ろす剣をけ止めようとするがその剣の正に気づきとっさにけに回らずを回転させ回避した。

「逃がさないよ。」

ミカエラは更なる猛撃を繰り出す。それらを紙一重で避け続ける。

「何故貴方がその神剣を持つ_____それは熾天使にのみに振るう事が許された剣。大天使である貴方が振るってよい剣ではない!!」

の裁きは常に降り注ぎミカエラからの攻撃と共に避け続ける。防戦一方。

(くっ、一何が置きているのですか)

「主よ_____」

神剣にれればいかな者と言えど消滅をさせる裁きの剣。振るうだけとて大陸をも容易く破壊をする事が出來る危険な剣だ。いかに天使長とて斬られる訳には行かない。

「ルキフェル、君はどうやら誤解しているようだね。」

剣を振りながら不敵に笑う。

「主に疑問を持った。それこそが大罪にして忌。それは天使の存在価値を貶める悪である事を知れ!」

ミカエラは剣を橫払いに振るう。斬撃は同胞をも切り裂きながらルキフェルへと屆こうとする。だが剣はルキフェルにあたらず、代わりに白銀の羽が舞った。

「______兄弟よ。」

12対の翼から羽が綺麗に舞う。そしてルキフェルはミカエラの背後にいた。ミカエラはルキフェルの存在に気づき振り向こうとするが頭を摑み上げられる。

「離っ」

熾天使としての力を振るいミカエラが剣を振るうよりも早く意識を削ぐ。

「主よ、何故ミカエルに神剣をお與えになられたのですか。」

意識無きミカエラの手から神剣を奪い取ろうと手をばす。けれど、その剣を摑む事はなかった。

『明けの明星』

視線をミカエラから上げると神の玉座へといつの間にか移をしていた。

『傲慢なり、一天使である其方が神にり代わろうとはな。』

神はルキフェルへと重圧を掛ける。

「ぐっ!」

重圧をけ膝を著く。

「わ、私が神にり代わる.............何を申しているのですか。」

『天使達の潔白な神を揺さぶり、神の座を狙うか。』

神は裁定をする様に言葉を並べていく。このままでは斷罪が下るのは時間の問題。ルキフェルは弁解の為、言葉を紡ごうとするが口が開かない事に気づく。

『罪人に口を開く資格はない』

神による暴政。

(主よ.........................................)

ルキフェルは自と神の間には他の天使達よりも深い信頼があるだと自負していた。だが現実は違った。ありもせぬ疑いを掛けられ、裁きをけようとしている。

(...................................疑われておられるのですか)

世界が構築されるよりも遙か昔から仕えてきた遣いである自分を無実の罪で裁こうとしている。

「______何故」

神気による重圧に爭うように口を開く。失意と怒りが同時に渦巻く。思考する中に置いても罪の重さを延々と話し続ける神を見てルキフェルは初めて神と言う存在に対し『殺意』というを覚えた。

(神に誤りなどあってはならない。)

神は完全であるからこそ我ら萬全ての頂きへと立つ事が許さる。正道を歩まぬ神は神足りえない。

(この偽善に溢れる神は_____)

ルキフェルは冷めた目で太の元に照らされる神を見た。

(_________________________出來損ないだ)

膝をつかされているがそれに抗い立ち上がる。そして閉ざされた口をも熾天使の力を完全に開放し拘束を振り解どいた。

「貴方はいずれ同胞達に厄災を齎すだろう。」

ルキフェルは口元を歪ませ神へと告げる。

「私が神にり代わる、ですか。それは実に合理に満ちている。貴方の翳す正道は正道足り得ない。ならば、私自らが天を統治し世界を管理しましょう。」

ルキフェルの臺詞が言い終えると同時に半數の羽が神のにより焼かれた。痛みにより悲鳴を上げそうになるが、それを耐え歪んだ笑みを絶やさない。

なくとも私ならば、同胞である天使達へと不満はじさない。」

神へと近づくに連れルキフェルの皮は焼け、あらゆる箇所からが流れ出る。だが、歩みを止めない。

『世界の理を知らぬ者に、世界を統べる資格なし。』

ルキフェルは神の眼前へと迫るが銀の鎖が拘束をする様にへと結びつく。

「理を知って尚、そのたらくが不満を生んでいる事に何故気づかない?」

鎖に繋がれて尚も減らぬ口に神は表を変えぬまま手を翳す。

『去らばだ、明けの明星。世にをもたらす者とりえたやも知れぬ者よ』

先程よりも數段と重い圧をじる。抗うがしずつと地上へと引っぱられている。抵抗は時間の問題だろう。

「私は天使に栄が訪れるまで止まらない............止まりはしないッ!」

最後の足掻きとばかりに鎖を膂力で引きちぎり長槍を顕現させ神へと襲い掛かる。だが、突進は兄弟である天使の手より防がれる事になる。

「ミカエラッ!!」

地上へと引っぱられる重みを耐え、ミカエルとの激しき攻防が再開される。

「主に手を上げるなど、何を考えているんだ!そこまで落ちたか、ルキフェル!!」

「邪魔だと言っているのが聞こえないのですかぁ!!退きなさいっ!!」

殘る翼へと無理を掛けだらけになりつつもミカエラの攻撃を防ぎ神へと攻撃を仕掛けるが全ての攻撃は神の直前へと到達する手前で四散してしまう。

「君はこの狀況でも僕を見てはくれないんだね。」

ボソりと小さくらすミカエラ。しかし反対に戦っているルキフェルはミカエラなどに目もくれず神だけを見據えていた。

「私が神にッ!!」

既に視界はに濡れ、朦朧としていた。だが、その闘志は未だに盡きる事はない。ミカエラはを噛み締め神剣ではない自の保有する天使の剣をルキフェルの腹へと突き刺した。

「終わりだよ、ルキフェル。後はボクに任せてくれればいい。」

耳元で小さく呟やくとミカエラは剣を引き抜く。剣を引き抜かれた事により地上へと墮ちて行くが視線は未だに神へと向いていた。

「私は天使に栄が訪れまで抗い続ける。いずれ私自らが貴方を斷罪する。過ちをれぬ神は不必要、真に神に相応しい者は________私だ。」

朦朧とする意識の中に置いてルキフェルはその発言を最後に天から墮ちていく。

『愚かな考えだ。』

神は墮ちゆくルキフェルへと最後の言葉を口にした。

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