《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百三十七話『新たなる地へ』
「.............おい、あの蛸の手の殘骸は何だ?」
インドネシアの報道番組にて報道をされていたのはリンジャニ山付近の慘事だった。巨大な手の殘骸、そして辺り一面が燃え焦げ、かつてのしさが其処には無かった。
「あらまぁ、此れではリンジャニ山には行けませんねぇ。やる事がなくなってしまいましたしぃ次の地へと飛びましょうかぁ。」
「其れではインドネシアに因んでインドにしませんか、ディアーナ?」
「ふふ、そうですねぇ♩」
勝手に話が進んで行く。青年は疑心の表を二人へと見せる。
「アンタらと同じ存在だったのか?」
単刀直に聞いた方が早いだろう。
「えぇ、クトゥルフに連なる神格の様でしたが所詮は我らの敵ではありませんでした。」
「彼の方、最後はこの星ごと私達を焼き盡くすつもりでしたよねぇ♩」
「えぇ、私達が其れに至る前に命を摘み取りましたが。」
「おお〜♩という事は私達は世界を救った英雄と言う訳ですねぇ?」
「えぇ、英雄には褒賞が付き。我ら天使は本來、を出してはならないのですが、郷にっては郷に従えと言うものです。」
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青年はジト目となり二人を互に見る。
(此奴ら、打ち合わせを事前にしていたな?)
「はぁ、取り敢えずお疲れ様。其れで、しいものは何だ?金なら寶くじのお金があるし、俺に出來る事は限られて來るぞ。」
青年はどうせ的な事だろうと予測したが、返ってきた言葉は普通の願いだった。
「空港へと向かう前にお揃いのリングを買いませんか?」
「リング?」
「結婚指でも良いのですがぁ、やはり私達の繋がりをより濃くするためには同じを著用すべきだと思うのですよねぇ。」
絆、と言うだろうか。
「I LOVE INDONESIAってTシャツを著ているんだが。」
二人は頰を膨らませテーブルを叩きつける。
「此れはお土産ものであって寶とはなり得ません!大切なのは大切な者から手渡されると言う過程です!」
ルキフェルが力説をする様に青年へと説く。
「戦場にて仮に私が死に貧する時が來た時、貴方に與えられた者があれば私は満足して......」
ディアーナは口を閉じ庭園へと出て行った。青年はディアーナの心を察し、リングの購を決意する。
「あぁ、そうだな。俺達は仲間であり、今となっては大切な家族みたいなもんだ。」
しかし青年は知らない。庭園に出たディアーナが舌を出しルキフェルへと笑みを見せ、ルキフェルは親指を青年に見せない様に突き上げていた事を。
一同はリゾートホテルのチェックアウトを済ませ裝飾店へと來ていた。
「やっぱりリングってのは結婚指みたいなばかりだな。」
「當然です。私達が購する裝飾品はペアリングと言うですので。」
「ジョンぅ、ブランチェさん達の分も忘れずに購をして下さいねぇ♩」
ガラスケースにる指らを興味深く見つめる二人はそう指示をして來た。
「Atlas narrow ring、か。デザインもかっこいいし値段もそんなに高額ではないな。」
Tiff●nyと言うブランドのリングであり信用も出來る。
(此れにするか。)
値段は一つ$250程度のだ。其れを五つ掛ければ$1250の出費だ。悪くない。
「This one please.」
(これでお願いします。)
インドネシア語が分からないので英語で店員に説明し、指を五つ購することにする。
「ルキフェル、ディアーナ、買ったぞ。」
包裝して貰い會計を済ませると未だに商品を見ているルキフェル達を摑まえにいくことにする。
「そうですか。其れでは空港へと向かいましょうか。」
「席の方が空いていると良いのですが、」
リングは飛行機の中で渡すことにし、三人はタクシーへと乗り込むため、ロンボク空港へと向かった。
インドへと渡るには乗り継ぎをしなければならない。その為、國際線で先ずはマレーシア、クアラルンプール國際空港へと飛ぶことにする。
「ふふ、ファーストクラスにはやはり空きがありましたねぇ♩」
「裕福層の特権です。」
「金だけどな。」
マレーシアにあるクアラルンプール國際空港へと向かい飛行機は飛んでいる。
「そう言えばさっきは急いでいたから渡すことが出來なかったけど、ほら、指だ。」
二つの箱をルキフェルとディアーナへと手渡す。
「あぁ、やはり幸福を私はじます。」
ルキフェルは心底嬉しそうに箱を開け指を見るとにっこりと笑った。
「プレゼントを貰うと言う行為は司祭をしていた際に何度か経験はありましたが、やはり真にする者から貰うのとでは大分、いえ、天と地程の違いがありますねぇ。」
指を左手薬指に當て大切そうに指をなぞる。
(何だろう、ディアーナから溢れ出るの重さは........ルキフェルとはなんというか、違う、もっと深い..........いや、俺の気のせい、か。)
嵌めた場所にはの進展と絆と言う意味が含まれている。
「ジョン、私の指にも指をつけなさい。」
ルキフェルが立ち上がり青年へと左手を差し出す。
「何処に嵌めてほしい?」
「聞かなくともわかるでしょう。薬指です。」
どうやら天使様もの進展と絆を主張したいらしい。
「ふふ、謝します。」
ルキフェルは上機嫌で自分の席へと戻り指を眺め続ける。
(俺も嵌めるか。)
せっかく買ったのだから嵌めなければもったいない。
「以外にかっこいいな。」
左手親指へと指を嵌め開けた箱などを片付けて行く。
「左手親指ですかぁ?意味するのは逆境を跳ね返す力、ですね♩一何を跳ね返すのでしょうねぇ、ふふ。」
青年は苦笑いをすると、窓から見える空を見た。
「アンタらの無茶振りって言ってやりたいけど、やっぱり死んでしくないんだよ。」
無茶苦茶な出來事ばかりだったが其れでも楽しかった。楽しかったんだ。友人がいないかった自分に初めて出來た友人がお前達だ。だからこそ、死んでしくない。
(ジョン........あなたはいつだって私を、私たちを想ってくれていた。だから貴方は來てくれた。)
ディアーナはの余り涙が零れ落ちるが直ぐに拭い、心に誓う。
「貴方がいる限り、私は決して死にません。」
(そして二度と______貴方の手を離したりはしない。)
指を抑える。ディアーナは下を俯き震えていた。嬉しかったのだ。 親指への指には他に自分の信念を貫きたい時、難関を突破したい時、反対を押し切ってを貫きたい時などに効果がでると言われている。
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