《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百三十八話『出陣』
ルキフェルらがマレーシアへとフライトを始めた頃、カミーユらは決著をつける為の準備をしていた。
「腕........直した.........けど......長く.......持たない」
芙蓉が施した呪の応用により、擬似的な腕を取り戻したカミーユ。藁人形を介に三時間と持たない代だ。その間に戦闘に勝利せねば腕は消失し、片腕のみの戦闘となる。
「アンタにこんな能力があるなんて驚きね!でもありがとう!此れで心置き無く戦えるわ!」
カミーユは立ち上がりはにかむ。
「..次は.....芙蓉.......カミーユ.....鎧.....相手......する....ワンワンは.......」
芙蓉がブランチェへとアイコンタクトを取るとブランチェは頷いた。
(芙蓉は気づいていたか。我輩たちを覗き見る邪しき存在。この次元へと引き摺り出し、我輩が誅罰を下そうぞ。)
いつ奇襲を仕掛けてきても可笑しくない存在を此方側から襲おうと畫策する。
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「それにしてもルキフェル達、一人やったらしいじゃない!其れもご丁寧に寫メで送って來てさ!」
攜帯に移るのはルキフェルとディアーナがクトゥグアの死骸に足を乗せ、ピースをする姿だった。
「くく、まるで観者の様だな。」
ブランチェが笑う。
「うぅ、負けていられないわ!行くわよ!」
左腕を叩き切られて尚も闘志は衰えない。
「カミーユ.......仇.......討つ......」
芙蓉はニヤリと笑うと先にホテルの一室を出ていく。
「私は死んでないわよ!」
カミーユは怒鳴り聲を上げながら芙蓉の後を追った。
三人は遊牧民から買収した馬を使いツェツェルレグを抜け、オルホン渓谷を目指す。
「むっ、いるな。」
草原を駆けているとブランチェは何かをじ取りカミーユ達とは真逆の方向へと馬を走らせていく。
「賢者様!」
馬を止めブランチェへとび掛ける。
「吾輩はもう一人の敵を討つ!其方らならば奴に勝てる!」
馬へと鞭を打ち速度を上げ彼方へと消えて行く。
「カミィル........行く.......ぞ......」
「...........賢者様。」
馬へと指示を出しオルホン渓谷の奧へと進んで行く。既に日は完全に沈みきり空は星空に溢れていた。
「ねぇ、芙蓉は聞いてたの?」
「當たり前........だろ」
こいつ、アホか?と言う表で返す芙蓉。カミーユは目を瞑り笑うとブランチェから授かった剣へとれる。
(信用、ね...........私が彼奴を倒せるの?)
自信がない。しかし勇逸打倒し得る可能があるのは純粋な人間である自分だけだ。
「ダメね、私。倒せるのじゃなくて倒す、でしょ!」
鞘から魔剣ではない方の剣を抜き巨大な圧がじられる宮殿へと辿り著く。しかしその眼下に聳え立つのは宮殿を背後に月明かりに照らされた英雄だった。
「どうやら貴様達は早死にをしたいらしいと見える。」
ゲシル・ボグドーは槍を一振りする。大地はその斬撃の余波で砕け大きな傷跡が出來る。
「その減らず口がいつ迄続くのかしらね?」
カミーユが反論をする様に噛み付いた。
「安い挑発だ。」
これ以上の言葉は不要と二人は睨み合うと、互いの獲を握り締め打つかる。
「出てこい、邪しき者よ。」
虛空へと向け問い掛ける賢狼。しかし返事は返って來ない。
「吾輩は出て來いと言ったのだ!!」
空間を裂くように腕を振り下ろし何者かを無理矢理と引き摺り出す。
「くっ、無茶苦茶だな。神という存在はつくづく、くく。」
現れたのは巨大な角を持つ山羊だった。しかしは人型であり助骨が浮き出るように出ている。そして心臓分である部分は黒く濁り何処迄も続く深淵な姿を見せる。
「貴様がいたのでは吾輩の仲間達が安堵して戦えぬからな。」
「過保護は結構。しかし神とは靜観するもの。人の戦に本來は手を出すべきではないと思わないかね?」
「戯けた事を申す。貴様とて魔神の一種だろうに。」
山羊はニッと口元を歪ませ黒き翼を広げる。
「私はデルクエン・サガンの孫ほど王道には行かぬぞ。」
二メートルは越えるであろう軀から更に巨大な武を虛空から取り出す山羊。フォークの様な形狀をした武、トライデント。
「笑わせるな。此方こそ、早急に貴様を屠るとしようぞ。」
銀狼の姿となり大地を踏みしめる。
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