《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百三十九話『闘爭』
草原に剣戟の音が鳴り響く。
「アンタが幾ら強かろうと、私がその上を行くわッ!!」
月夜に照らされながら激しい攻防が幾重にも連なる。
「速度が以前よりも増したな、娘ッ!」
剣を上段から振り下ろし頭部を狙う。だが、カミーユは其れを避け反撃の一手に出る。
「ぐっ!?」
カミーユは蹴りを繰り出しゲシルを左方へと飛ばす。しかし即座に勢を立て直し、カミーユへと視線を向けると剣が
自の鼻先へと存在していた。
シュ!!
頭部の鎧の一部が砕け皮を裂く音が聞こえる。しかしゲシルは剣を素手で握りカミーユを引っ張る。
「ふんッ!」
ゲシルへと引きよせられたカミーユは頭突きをされる。
「ぐばッ」ばんッ!!
鼻の骨が折れる音、そして鼻が大地へとぶち撒かれる。
「アンタ、はぁ......はぁ.....乙に容赦が無さすぎるのよ......」
その臺詞を聞いたゲシルは鼻で笑う。
「”普通”のおなごであれば違ったさ。」
再び數撃の剣戟が続き鍔迫り合いを始まる。
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「差別、反対よ!」
「私は平等主義者なもので、ねッ!!」
カミーユの剣を弾きトドメの一撃を決め込もうとするゲシル・ボグドー。だが___
「やら......せない.....」
芙蓉がカミーユとゲシルの間へとり込んだ。
「なっ!?.........ぐはッ!!」
槍の一撃を流し地面へと即座に組伏せる芙蓉。芙蓉本人は戦は出來ないと言うが、不意を突いた形でなら100%の確率で技を決められると言う。
「......死...ね」
首の骨を折るべく手刀を決めようとする。だがゲシルは己のから衝撃波を生み出し、芙蓉含めるカミーユを弾き飛ばした。
「うぅ........神の.......覇気。」
魔眼を解放しゲシルを捉える。
「呪われた目か、だが”奴”ほどの威力は持ち合わせていない。」
ゆっくりと立ち上がりもう一振りの大槍を顕現するゲシル。
「出たわよ、芙蓉。」
「見たら........分かる。」
魔神殺しの槍。アレにれられれば最後、魔の屬を宿す芙蓉は死ぬ。
「此処から先は死戦と思え。」
もう一つの槍と合わせ雙槍の構えを取るゲシル・ボグドー。
「言われなくても!!」
ブランツェから貰いけた魔剣を鞘から抜き此方も雙剣の構えを取る。
「我が地を贄に、彼の者の重みを奪いとらん。」
芙蓉は後方へとさがり、指先を爪で裂きを大地へと垂らす。
(が軽くなった........)
芙蓉は自のを代償にカミーユから重みを半分奪い取ったのだ。
「重い.........」
しかし強力な呪には対価も必要。奪い取った分の重さは全て芙蓉のへと加算される。
(この呪は”信頼”が無ければ発しない呪。そして芙蓉は今はけない。相手に悟られれば此方へと標的が変わる。)
一か八かの賭けだがブランチェがこの場にいない以上、カミーユに掛けるしかない。
「...絶対に...勝て」
魔の屬を宿す以上、芙蓉では勝てない。カミーユが敗北をした時、芙蓉の敗北も確定する。
「_______ったり前よ!」
後ろを振り向かずゲシルへと駆け出すカミーユ。
「なっ!?」
ゲシルは余りの速度に反応が出來ず左肩にカミーユの一撃を喰らってしまう。
(噓、に羽があるみたい。)
「次よ!」
カミィルは左右からゲシルの首を狙う。
「まだだッ!!」
ゲシルは槍を回転させ雙撃を弾き返す。しかしカミーユは隙を取られる前に蹴りを放ち一旦距離をとった。
「私のスピードについて來られるかしら?」
「調子に乗るなよ、小娘が。」
ゲシルは二対の大槍を大地へと突き刺し、地割を起こす。
(足場を不自由にしたのね、良い判斷ッ!!)
一面の大地は歪み砕けた。速度を活かす戦闘に置いて不利な場を作られたのだ。
(でもッ____)
「________私は止まらないわ!」
超速のスピードでゲシルへと攻撃を繰り出す。
「この戦、我らと貴様らとでは志す覚悟が違うのだ!!」
しかしゲシルは槍を橫払いし凄まじい衝撃を與えた。宮殿の一部は余波により倒壊し、まさに神話の戦いをオルオン渓谷にて再現していた。
「何が違うって言うのよ!」
カミーユとゲシルは剣を打ち合いながら問答を繰り返す。
「世に平和を齎す。其れこそが悲願なりッ!!」
カミーユを大槍により大地へと叩きつける。
「ぐぶッ!!」
口からを吐き出すが態勢を立て直そうと手を地へとつけた瞬間、強力な蹴りを腹に喰らってしまう。
「うぐっッ!!」
蹴り飛ばされるも剣を大地に差し込み吹き飛ばされる威力を抑え込む。しかしはオルホン川近郊まで屆き水に濡れる事になる。
「どうした、水と戯れたくなったか。」
「冗談ッ!!」
挑発を流し水飛沫を上げながらゲシルへと襲い掛かる。
(何故だ、何故、吾輩の攻撃が奴に屆かぬ.........)
権能を駆使し山羊を樹木を使い圧殺しようとするのだが、全ての攻撃が無傷で終わるのだ。
「何故、私のに傷がらないと言う顔だな?くく。」
山羊とブランチェが戦う地形はあらゆる場所が砕け、ブランチェの権能により長させた樹木がまばらに広がっていた。
「君に権能がある様に私にも権能が在るのだよ。もっとも私自には此れしか無いのだがね。」
ブランチェは大口にて加える大剣を大きく振りかぶり山羊へと叩き下ろす。
「それにしても歯は痛くならないのかね?」
叩きつけた剣の上に片足を乗せ挑発をする山羊。ブランチェは口から剣を離し山羊を鉤爪で引き裂こうとする。だが山羊は霧狀となり斬撃を素通りさせた。
「次元の狹間から無理矢理とこの私を引き摺り出したんだ。楽しもうでは無いかね。」
山羊、原初の悪魔は不気味な笑みを浮かべブランツェを見下ろすのであった。
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