『瘴気』とは元來、星の防衛機能である＿＿＿＿＿＿

人類の増加に伴い発した星の抗、それが瘴気の正だ。しかし、それは質を変化させ星のみならず世界を覆い込める程の深淵に昇華する。冥府から出現した魔族。彼らは瘴気の出現を好機と捉え地上へと侵攻を開始する。そして高魔族が四ある瘴気の起點、即ち渦と融合する事により、より冥府との繋がりを強くしてしまう。この時點ではかろうじ星の防衛機能として機能していた。しかし、特異質を持つ人間が現れてしまう。

＿＿＿＿＿それこそが聖ディアーナ

その人間は瘴気を己のへと還元をさせる事が出來る異端の子。神に使える彼は己の運命を歓喜した。自分を犠牲にする事で世界を救う事が出來るのだと。そして語は加速し、その聖は四ある起點を己へと帰してしまう。全ての瘴気が取り込まれ、冥府との繋がりをも完全なへとしてしまった。聖其のものが深淵の現者と化してしまったのだ。己ののゆくままに天界を滅ぼした聖は冥府と現世を繋げ完全なる闇の世界へとかえてしまった。

闇の住人である魔族ですらも魔力値が高くなければ死してしまう程の混沌の世界。月は赤く染まり太は輝きを失う。其処にあるのは底知れぬ暗闇、そして異形と化した化達のれの果てである。

「はぁ.....はぁ........」

青年は紅い月が照らす沼を靜かに歩んでいた。

(息苦しい.........頭が狂ってしまいそうだ.........)

辺りにはの山がつもり、沼は月明かりと並行しのをする。瘴気の苦痛が常に心を襲う。神が常にから切り離されそうな覚に陥っているのだ。しかし、それをかろうじて自我で抑えつけている。

“ユダネヨ”“ユダネヨ”“ユダネヨ”“ユダネヨ”“ユダネヨ”“ユダネヨ”

の口から淡々と言われ続ける。

「黙れ.....俺はっ」

(壊れたりはしない........約束..........守る..)

脳みそが揺れる。痛くて痛くて今すぐにでも中を取り出してしまいたい。

「約束........何を....守るんだ？」

記憶が曖昧になっていく。中に広がる不快と共に青年は歩くのを止めた。

(...........うぅっ)

そして頭を抑え、沼の中へとを沈ませていく。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

沈みゆく沼の中、瘴気で取り込み殺してきたであろう人間、天族、、昆蟲、魔族の悲鳴の聲、そして映像が延々と見せ続けられる。

『いや、私、こんなところで死にたくない!』『死にたくないよ、助けて、お母さん、お父さん、誰か、誰でもいいから僕を助けて!』『た、たのむッ！オレに出來ることがあるなら何でもする、だから命だけは！！』

瘴気に呑まれ苦しむ痛み。常人ならば既に発狂し、命を投げ捨ているだろう。

「だめ.........だ」

手を天へとばし沼の奧底から這い上がる。

“貴方は一度、己の神にるでしょう。全てをけれるのです。例え、大切なものを壊し、殺すという選択肢があろうとも。”

ディアーナの最後の臺詞を鮮明に思い出し自我を取り戻す。

「...........そうだ、俺は瘴気そのものと向き合わなければならないんだ。」

拒み続けるからこそ苦痛が続く。だけど意識が、が全てを拒絶反応を示す。

(言うのは簡単、だ..........)

けれど、思考がが震え言う事をきかない。

「すぅ.........はぁー」

頭痛やの違和を我慢し深呼吸をする。

「........................いるんだろ?」

青年は顔を上げる。すると紅い月をバックグランドとしの丘の上に玉座を構える『深淵の王』の姿が目にった。

「私の存在に気づくか、人間。」

深淵の王ディアーナ。瞳のは紅く、髪は白と染まっていた。

「ディアーナ.................なのか?」

圧倒的迫、そしてプレッシャー。対面しただけで尋常な冷汗が出る。

「.....................くく、それでは問答をはじめようか。」