《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百五十一話『深淵の王』

「問...........答?」

クスクスと笑うディアーナを見上げ疑問的に聞く。

「そう。本來ならば余の心象は深淵と共に鮮を示すのみ。だが、其方らとの邂逅を得て大きく人格が変したらしい。」

確かに原作のRadiance2のディアーナとは比べられないほどにマイルドな心象世界にはなった気はする。

「................ジョンよ、ディアーナ(余)を抱けるか?」

いきなりの質問に目が見開く。

「其れはどう言う、」

質問の容が余りに可笑しく耳を疑う。

「抱けるか抱けんかの話だ。はよう答えねば其方を余がへと取り込む事になるぞ、ふふ。」

妖艶な笑みだ。けれども目の前に見えるディアーナは本來のディアーナではない。

(........瘴気の意思だ。)

の目が本気でその質問の答えを求めている。

「ディアーナは..................魅力的なだ。」

格に難ありだが、容姿的に見ればドストライクだ。

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「ふふ、其れは嬉しい答えだと言っておこう。」

首を縦に振り自分の全を舐める様に見るディアーナ。

「本來の余のであらば虛無しかうつさぬだろうよ。だが、ディアーナの影響か其方とわす會話は実に心地が良い。」

興味深い表を見せ玉座を立ち上がる。

「さて、茶番は此れにて終了。汝は何故、闇ヲ求める?」

余裕ある表を捨て深淵の王としての言葉を吐く。先程までの瘴気の影響が再び全へと広がっていくのをじる。

「闇を求めたところで碌な事はありはせんぞ?」

その碌な事に既に巻き込まれてるから力がしいんだ。

「あぁそうか。其方のへと直接瘴気を流し込んだのはディアーナだったな。非はない事は認めよう。だが、其れを使いこなしたいとならば話は別であろう?」

知った事ではない。

「俺には...........守る........力が必要なんだ!」

頭が割れるように痛い。けれどもこの言葉はんででも言わなければならない。

「ふふ、ふはははははははははは!世界を呑み込む程の瘴気を守る為に使いたいか!そうかそうか!!良きかな良きかな!!!」

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腹を抱え笑うディアーナ。彼が笑う度に強い衝撃が中を駆け巡る。に流れる瘴気が喜んでいるのだ。

「ぐはっ!」

口から膨大な瘴気がを吐き出すように流れる。沼へと手をつけ意識を必死に保つの一杯だ。

「なんとけない。我が喜びを共有しようとはおもはなんだか?」

共有できるのならば瘴気の塊など吐いてはいない。

「はぁ.......はぁ.......」

「ふむ、ならば其方の願いをれよう。」

くるりと振り返り玉座へと座り込むディアーナは何かを提案したように顎に手をつける。

「だがまぁ、一端とは言え力を與えるのだ。試練を與えよう。」

「...........試............練?」

息を必死に整えを起こす。

「そうとも。其方はディアーナのお気にりとはいえ無條件ではゆくまい?仮にも世界を征した深淵の王よ。報酬を與えるには覇を見せてもらわねばな。」

「........俺は、何をすればいい。」

「何、簡単な事よ。今より其方の前に余が眷屬を創造する。其れを見事討ち破れたのならば、其方に我が一端の力を與えよう。」

ディアーナは頰を吊り上げそう言った。

「倒せなかったら..........」

ごくりと唾を飲み込む。

「出來ぬというのならば瘴気の渦に呑まれて死ぬがよい、くく。」

ぐっと歯を噛み締めると右手を前方に折り曲げ、中段に構えをとる。の頃、學んだ空手の構えだ。

「ふむ、覚悟が出來たようで何より。」

心した面持ちで杖を軽く回すと二の人型らしき深淵の眷屬が玉座の両左右に出現する。

(...........戦闘なんてど素人だぞッ、くそ。)

心の中で毒を吐く。構えたはいいが本當の戦闘と言うものを経験がした事がない青年は焦りをじていた。

「くく、愉快に踴り狂えよぉジョン。」

ディアーナの合図と共に眷屬の一が此方へと向かい走ってくる。

「クソ、一か八かだ!」

鉤爪らしき攻撃が直線上に迫る。

(見極めろッ!)

目で必死にその攻撃を読みへと軽いスナップを掛け紙一重に避ける。そして外側から蹴りを化の頭部へと向け放った。 カウンターによる裏回し蹴りである。

(よ、よし、當たった!!)

けれどもディアーナの眷屬がその程度で怯むはずもなく蹴りを放った足を摑まれの山へと思い切り投げ飛ばされる。

「ぐッばッ!?」

ドンッ!

助骨の何本かは折れ、息が更に苦しくなる。ぶつかった場所がコンクリートなどであれば死んでいただろう。

「くく、愉快愉快。どうだ楽しかろう?」

楽しい訳がないだろ。

(こっちは一般人なんだぞ、)

「おほッ、おほッ、」

を吐き出し、投げたであろう眷屬を睨みつける。

(次はどう出る..........いや、相手の攻撃は人間程度の速さだった。)

青年は先程の軽い攻防を得て、相手の速度が普通の人間程度のだと推測する。

「此方から攻めに出るッ!!」

力は人間以上ではあるが、捕まらなければいいだけの話だ。

「ほぉ、勇敢ではないか♪」

ディアーナは走り出した青年を見つめる。

(だかなぁジョンよ、この現世に住まう人間の耐久力ならばなぁ壁に直撃した時點で死にと化しておる。)

あれ程の衝撃をこの現代の人間が耐えられる筈がない。ディアーナはクスクスと笑いながら青年が反撃に出る姿をみる。

「くく、己のの異常を忘れておるなぁ。)

ディアーナは眷屬を創造する前にこう設定した。

1.現代の人間に置いてもっとも瞬足な腳と同値の速度。

2.重量挙げ、クリーン&ジャークに置いての世界記録の三倍の膂力であること。

最早、化の名に相応しい人外っぷりではある。しかし、この程度の力量など、召喚されている創造からすれば普通以下の代だ。敵にはりえない。に言う雑魚と言うものである。

(あぁ、なんでだろう。)

青年は化へと馬乗りとなりひたすら頭部へと向け拳を叩き付けていた。

「なんで、俺は高揚じているんだ...........?それに、くひ.........」

自分よりも力は上の筈なのに、軽く組み伏せる事ができた。抵抗する眷屬だが、その攻撃を無視し頭部を毆り続ける。

「あはっ!あはははは!ははは!!」

笑いが止まらない。

「..........楽しい!」

眷屬はグチュグチュとを上げ小さなき聲を最後にはかなくなる。それでも尚、潰れた顔面をひたすら毆り続けた。

「あはははっ..........あ、あれ、もうかなくなったのか?」

頭がズキリとする。

「うぅ、俺は.........違う、何だ、これは.........」

意識はあった。だけども殺戮を楽しんでいた。

「生命を奪う。さぞ、心地良かろう?」

ディアーナが膝を著き呆然とする自分の元へとやって來た。

「瘴気の本質は命を殺める事にある。そして其方はそれのけ皿となろうとしている。」

此れが瘴気を宿す殺人衝なのか。

「私の眷屬を殺したはどうだった。快楽以外にじたか?否、快楽以外に何もじなかっただろう。」

確かに楽しいと言う以外に何も沸き起こらなかった。

「な、なぁ............アンタの隣にいるそいつ、もういらないだろ?」

ディアーナが創造したもう一人の眷屬の片割れを指刺す。

「なんだ、殺したいのか?」

まったくもってその通りだ。早くそいつの頭を潰し、をみたい。殺したくて殺したくてたまらないんだ。

「あぁ、まるでが渇いた時の様な衝だ。」

そう、そこに水があるから飲む。まさに生理現象に近い気持ちだ。

「おっと、此奴は殺してはならぬ、くく。」

「な、何でだ!」

乾きを癒したい。早くこのに鮮を浴びたい。

「私は試練の容を全て説明した訳ではない。」

息を荒げ視線のピントが上手く合わない。其れに尋常ではないほどの乾きがを襲っている。

「くく、この『者』を殺さずに仕留めて見よ。」

「なっ!?ぐッ」

バシャン! バシャン!

青年はその言葉を聞き拳を何度も沼へと叩きつける。この手で殺せない事に怒りをじているのだ。

「はぁ.....はぁ.......」

ギロリとディアーナを睨みつける青年。その瞳に映るのは殺させろと言う歪んだ願いだった。

「................もう一度問うぞ、ジョン。お主の願いとは何だ?」

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