《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百五十三話『瘴気の短剣』

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の底から力が満ちる。まるで全が一振りの刃の様だ。何者にも負けないと言う自信さえもじる。瘴気を極限までに圧した短剣、黒のリングダガー。

(この短剣があればオレは..........)

みんなを守れるかも知れない。

「おぉ見事に形にしたか!」

隠れる事をやめマールスの視界へとる様にを出す。其れを確認するディアーナは喜ぶ様に笑みを見せた。

「準備は出來たか、ジョン?」

「言われずともッ!!」

が如く速度で、マールスの左腕を斬りとばす。

「黒き稲妻、か。」

(このでは生前の1/10程度の能しか出せないとは言え、左腕を奪われた。つくづくと面白い男だよ、お前は)

マールスは心する様に青年のきを見る。

(が軽い!)

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瘴気によるの強化、そして短剣の鋭さが極限まで引き上がり、マールスの反撃を許さないのだ。

「此れで、お終いだッ!」

マールスの背後へと反応できない速度で回り込み、即座に切り伏せる。

「甘いな______」

マールスは斬り伏せられた衝撃を利用し、青年の腕を摑むと大剣を青年の腹部へと差し込んだ。

「___________自惚れるな。」

剣を突き刺された青年は短剣を地面へと落とし、膝をつける。

「お前はまだスタートラインに立ったに過ぎない。強大するぎる力には其れ相応の代価がある。それを使いこなし、俺を打ち倒せ_______お前ならそれが出來る。」

ディアーナは上から鋭い眼でマールスを睨みつけていた。それを一瞥するとマールスは小さく鼻で笑い瘴気へと姿を変え、消えていく。

「余計な事を。」

無敵を覚えた。だが、勝てなかった。恐らく先ほどまで戦っていたマールスは本來の力から程遠い程に弱化しているにも対してだ。

(俺のスペックは彼奴よりもかなり上だった________だけど負けた。)

経験不足だ。力に過信してはならないと言う事をを通して學ばされた。

「くそッ.............」

俺はまだまだ弱いんだ。力を完全に使いこなすまで修練をつまねばならない。

「おめでとう、と言いたいところだが分かっているな?」

あぁ。完全に経験、そして実力の差だ。完璧なる敗北である。

「________覚は摑んだ。この短剣は多分だけど、いつでも出せる筈だと思う。」

拾い上げた短剣は手元から青年のへと還元される様に瘴気の粒子となり戻っていく。そして自再生の機能が戻ったのか、腹部の傷が再生していく。

「.............この短剣、制限時間があるんだろう?」

マールスが言っていた通り、強力な力には代償が必要だ。そして、この短剣を出すには瘴気の消費が余りに激しいのだ。ディアーナの様に包する瘴気が無限ではない以上、考えて使わねば己のめる瘴気が底を盡きてしまう。

「長くて三分だ。それ以上を越えれば其方は死ぬな。」

その制限時間を超えると瘴気からではなく壽命が消費されると言う。瘴気は言わば命と繋がっている狀態。瘴気の殘量を超えたのならば本來の命の燈火からも引かれるとになるということだ。

「関係ない。あんたらの助けるになるなら戦うだけだ。」

苦笑をし頭を掻く。ディアーナは一瞬鋭い目で見た後、自分へと近づき抱擁をした。

「仲間を助ける事は素晴らしい。けれどもなぁ、ジョン...............私は貴方にだけは死んでしくない。側にいてくれるだけでいいのです。」

耳元で呟かれる臺詞は深淵の王ではなくディアーナ本人のものだった。

「私はもう一人にはなりたくない。貴方を消える姿をもう見たくないのです。」

「ディアーナ..............」

ディアーナは手を青年の頰へと優しく添える。

「一つだけ........もし、私が本當の意味で狂ってしまったのなら、その時は迷わずに殺してください。」

を離しディアーナの顔を見上げる。けれども、目の前にはディアーナは存在せず見慣れた三人の姿が目にった。

「..........此処は」

周りを見渡すと木々は枯れ、池は干からびている。其れに空気も淀み薄い黒の霧が広がっていた。

「意識を取り戻しましたか。」

ルキフェルの手には天使の長槍が握られていた。

「ふぅ、人払いをしていなければ一何人の人間が死んでいたと思っておるのだ、ディアーナよ。」

ブランツェが怒るようにディアーナへと言葉を向ける。

「ふふ、ですが功したではないですかぁ♩」

ルキフェルが目を細め、殺気を持った目でディアーナを睨みつける。

「一歩間違えればジョンは死んでいた。それに私達の存在がいなければ間違えなく人里へと降り、殺戮を始めた。」

辺りに広がる被害は全部自分の所為なのか。

「貴方はジョンに罪過を背負わせていたかも知れない。」

「其れをさせない為にお二人にはジョンの相手をさせていたのではありませんかぁ。」

クスクスと笑う。ディアーナから反省のが見えないのかルキフェルとブランチェはため息を吐く。

「大方今の話を聞いて分かったと思うが、お主が意識を手放しいる間、は瘴気にられ暴走を起こしていたのだ。」

「......迷をかけた。」

頭を下げ謝罪をする。

「頭を上げなさい、ジョン。真に謝罪をするべき者は他にいるのですから。」

「そうだ。説明もせず姿を消し、ジョンが意識を取り戻す前に戻ってきた阿呆がおるのだからな。」

その説明をけ青年はゆっくりとディアーナへと顔を向けるとディアーナは満遍の笑みを浮かべていた。神世界にいたあのディアーナは紛れもなく此奴にいるディアーナだったのだ。

「ふふ♩」

片目を閉じ口元へと人差し指を當てる。ですよと普通の聲量で言葉に出している時點でではないと思うのだが。

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